11月11日、中国最大のEコマースセール「独身の日」が行われた。 11日のアリババの取引額は、過去最高の2135億元(約3兆5000億円)となり、世界のEC市場における中国の存在感を示した。
日本から中国消費者へ向けて商品を販売する場合、90%以上は中国Tmall、JDなどといったECモールサイトから商品を販売するという手法が主流となっている。
なかには、自社ドメインで越境EC構築し、中国向け販売するクライアントもあるが、量的には少ないだろう。
しかし、今、中国向け販売で注目されているのが、中国最大のSNSプラットフォーム、WeChatと連携している「微店」を活用し、中国向け販売を行うという方法である。
今回はこの「微店」への出店方法や集客方法、注意点などを調べてみた。
微店とは、WeChatが運営する無料で出店できるスマートフォン向け大型ショッピングサイトである。微店内の店舗は3,000万を超えており、出店料は無料で、WeChatと連携した便利さを提供している。
メリットはWeChatと連携しているという点が大きく、WeChatは中国版LINEという位置づけで、そのユーザー数は2018年で10億人を超える中国最大のSNSプラットフォームである。
そして、このWeChatを活用して、フォロワーを集め、運営し、中国向け販売を行うことができるというものである。 微店に出店すれば、WeChatユーザートラフィックを集めることができるのである。
※WeChatについての詳細は、こちらのブログでも解説している。
微店の登録、アカウント取得には、微店アプリをダウンロードする。ダウンロード後、トップ画面から出店ボタンを押し、中国登録された電話番号を入力する。
中国の携帯番号を入力すると、認証コードが送られてくるので、その番号を入力する。これで、アカウントは取得できる。
そして、微店で商品を販売をする際に必要となるのが、中国身分証番号や中国銀行の口座番号である。 これらが無い場合は、アカウント開設を行ってくれる代行会社に業務委託すると良いだろう。
微店のアカウント画面ではメニューや商品紹介ページを作成できる。 商品一覧を作ったり、商品の複数登録が可能である。
微店への出店費用は無料となっており、決済で利用できるのは、WeChat Pay、AliPay(以前は利用できなかったようだが現在は利用可能)、クレジットカード、デビットカードなどである。
微店のアカウントを取得し、アカウント内でメニューや商品紹介ページを作成した後は、WeChatのフォロワーに向かって商品紹介記事を配信することが、最初に行うことになるだろう。 WeChatはLINEをイメージしていただければわかるが、アカウントを開設しただけで、他のユーザーと繋がらなければ、どんな良い商品を掲載しても誰も見ることがない。
まずは、フォロワーを増やすことが集客するということになる。 フォロワーを増やしつつ、商品情報を発信し、広告などを出稿し、拡散するというのが、基本的な集客方法と言える。
以下にその代表的な3つの集客方法を見ていこう。
WeChat以外のサイトにディスプレー広告を出し、直接サイトへ誘導しフォロワーになってもうらう、いわゆるインターネット上で外部露出を多くして流入を増やす方法である。
さらに、店舗が中国国内にあれば、店舗に自社アカウントのQRコードを設置する。 店舗がない場合も、販売する商品やチラシにQRコードをつけて、拡散させることも可能だ。
中国ではQRコードが浸透しており、生活に根付いているため、アカウントQRコードを拡散させることが、外部からの流入を増やすことにつながるだろう。
10億人が利用していると言われるWeChatユーザーに向けて商品広告を出し集客する、いわゆる内部流入を増やし、商品購入につなげる方法である。
WeChatの広告には3種ある。公式アカウント広告、モーメンツ広告、ワンクリックフォロー広告である。 公式アカウント広告は、5万以上のフォロワーを持つアカウントユーザーに広告表示されるもの。
モーメンツ広告とは、WeChatの個人ユーザーのモーメンツ上の投稿に広告が表示されるもの。 ワンクリックフォロー広告はフォロワー数の多い、ユーザーアカウントページに表示される広告である。
この3種類の広告はそれぞれ、広告費や、出稿する地域により金額や条件が違う。商品内容によって使い分けると良いだろう。
KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるネット上の有名人に自社アカウントを紹介してもらう方法がある。
KOLに商品を使用してもらい、その使用感を動画レポートで発信したり、こちらで用意した画像や、原稿で商品PRしたり、知名度の高い有名人に依頼することで自社アカウントの拡散することができる。
中国は、「中華人民共和国電子商務法」が来年1月1日より、実施されるため、1月1日以降、中国への商品販売には注意が必要だ。
基本的には中国政府の認可証のない一部の商品は税関を通過できない可能性がある。認可証がない場合は、国家認証認可監督管理委員会認証や配合登録証など中国の法律に基づき、登録し認可証の取得が必要になる。
詳しくは、「越境ECに大きな影響 中国のEC法が可決!」のブログでも解説しているので、参考にしていただきたい。
そして、微店のアカウントを取得し、出店するのに重要なのが、中国の電話番号、中国の現地法人登録証と中国の銀行口座である。
これらを日本で効率的に行ないたい場合は、日本でWeChatの公式のアカウント上にAPIで連携し、自社越境ECサイトを構築できるサービス、「ShopCN(ショップシーエヌ)」などがある。これらの利用するのもひとつの方法だろう。
日本では、中国インバウンド対策としてレジ支払いでWeChat Payを導入している店舗が増えている。また、WeChatアカウントを取得し、実店舗で使えるクーポンなどを配布し、実店舗の中国人集客につなげるなど、施策も増えている。
キャノン中国では、WeChat内にECサイトを構築し、中国販売につなげている。さらに、WeChatから自社ECサイトに誘導するなど施策し、越境ECへ誘導としても利用し、サイト売り上げをあげている。
微店は、WeChatでネットショップを運営できるメリットは大きいだろう。登録証など整っていれば、1分で店舗を開設できるのが魅力だ。一度、検討してみてはいかがだろうか?