先月11月11日「独身の日」は、中国ネット販売を行っている企業が特売セールを行う商戦日だった。中国最大のECサイトのアリババグループは「独身の日」の1日の取扱い高を発表した。扱い高は過去最高の1,682億元、日本円にして約2兆8,594億円と昨年の記録をまた更新した。
米ブルームバーグ社はこの独身の日を評し、アメリカの大規模セール「ブラックマンデー」、「サイバーマンデー」も後塵を拝する中国市場の好調と、この「独身の日・ダブル11」は、今や世界的なショッピングイベントに成長したとしている。
今回はこの「2017年11月11日・独身の日」の概要と越境ECはどうだったのか、など見て行こう。
独身の日とは、11月11日は「1」が並んでいるために「独身の日」と言われ、中国ではもともとは若者を中心にパーティーをしたり、買い物をする風習があったようだ。
そこへ、中国最大のECサイトを運営するアリババグループが、「11月11日」を「独身の日(シングルデー)」と称し、2009年にネット通販利用を促進するセールイベントを企画・実施したのが始まりである。
この「独身の日」に行われるセールは年を追う毎に、扱い高は増加し、今年は1日の流通総額は過去最高の1,682億元(2.85兆円)、成長率は139%ととんでも数字を叩き出した。
この数字は日本のECサイト最大手、楽天の年間EC流通総額、約1.6兆円をはるかに超える数字ある。
2017年のアリババグループの発表によると、11月11日の1日間での売り上げは、前年同日比の39.3%増の1,682億元(約2兆8,500億円)となっている。
セール開始から3分で流通総額が100億元を突破し、1時間で571億元(日本円で約9470億円)突破し、13時間で1,207億元(日本円で約2兆519億円)突破し、スタートから13時間で前年実績を上回った。
「独身の日」に参加したブランド数は14万ブランド、そのうち6万は海外ブランドとなっている。越境ECの国別ランキングでは1位が日本、2位アメリカ、3位オーストラリアの順となった。
日本ブランドも積極的に「独身の日」に参加しており、11月11日前日には、カネボウのKETEシリーズは渋谷109の広告看板で「独身の日」セールの宣伝と行った。中国人はこれをSNSで取り上げ、「日本企業の中国市場を重要視している」と話題になった。
今年の独身の日の最大の特長は、売り上げ額の大きさもさることながら、アリババグループ社長のジャック・マーが提唱する、オンラインとオフラインを融合した「ニューリテール」(新しい小売り)を販売に取り入れたことである。
具体的にはポケモンGOに似た「猫集めゲーム」は、街中に出没する猫を集めるアプリゲームなのだが、「独身の日」ではセール開催中の店舗で猫が出現しやすい仕組みになっており、効率よくバーゲンクーポンを獲得するには、実店舗に足を運ぶ必要があるのだ。
また、店舗やプロモーション・イベント会場には設置されたQRコードなどから、5,000万人以上の消費者がイベントに参加するなど、実店舗やイベント会場では多くの人で賑わいを見せたという。
このように、アリババはこの「独身の日」というビックイベントを、セール取引額の拡大だけではなく、新たな取り組み”オンラインとオフラインが融合”を広める起爆剤として活用していることが分かる。今後この”オンラインとオフラインの融合”「ニューリテール」は、どこまで浸透するか注目されるところである。
今年の「独身の日」では14万以上のブランド、その中には6万もの国際ブランドが参加している。最初の1時間でアップル、ナイキ、ユニクロ、ザラなど60を超える国際ブランドは1,000万元の売り上げを記録した。
また、今年は近隣東南アジアの消費者が、東南アジア最大のEC「LAZADA」を通じて参加している。 その中で、日本企業の存在感も高まっており、アリババグループの越境ECにおける国別売り上げランキングでは、日本がトップ、2位はアメリカ、3位はオーストラリア、4位ドイツ、5位韓国と続き、日本企業の検討が目立った。
具体的なブランド売り上げ順位を見ると、海外ブランドでは5位にナイキ、6位にユニクロ、10位にアディダスと、トップテンの中に、日本のユニクロが検討している。ユニクロはアパレルメンズでは2位、レディスでは1位と好成績であった。
ユニクロは、「ニューリテール」=”オンラインとオフラインが融合”をうまく活用したことで、大きく売りげを伸ばしたといえる。
具体的にはユーザーはネットで商品を購入すれば、中国500店舗のユニクロショップで商品を受け取ることができ、実際に店舗で商品を受け取りを行えば、10元のディスカウントを行った。
さらに、店舗で商品を引き取るユーザーには、その場でサイズ交換や返品などにも対応している。 このような戦略はショッピングモールでオンライン販売している店舗では、この「ニューリテール戦略」は効果が期待できる戦略と言える。
これからは、オンラインとオフラインをいかに有効にお客様に活用していただくかを考えなければならない時代なのである。
ヤフーは11月11日を「いい買い物の日」としてセールを開始した。 「Yahoo!ショッピング」では11月11日(土)に最大半額のタイムセールなどを行い、今年は昨年の11月11日と比較すると、約40%増の取扱高を記録した。11月11日は現時点での売上高の最高の日、つまり、「2017年でYahooショッピングがもっとも売れた日」となった。
この期間中にもっとも売れたのが商品は「キッチン家電」「暖房などの空調家電」「カメラ」「ゲーム」「スキンケア、基礎化粧品」、さらに「魚介類や海産物食品」などが人気だったようだ。
日本でもこの11月11日が、「いい買い物の日!」として多くの消費者に認知され、日本経済に新たな刺激を与えてくれる日もそんなに遠くはないだろう。
アリババグループは11月11日の「独身の日」、この日の扱い高は過去最高の1682億元(約2兆8,512億円)(254.46億ドル)、セール開始から、3分で扱い高は100億元を突破するなど、未だ中国の爆発的な消費拡大は続いていることが証明されたと言える。
そして、2009年から開始されたこのイベントは、わずか8年足らずで「世界で最も売り上げるイベント」として定着した。 今年の「独身の日」はEコマースと実店舗の融合した「ニューリテール(新しい小売り)」が誕生した。 ユニクロはこれを取り入れ、結果を残している。
今後、今回の「ニューリテール戦略」の結果を分析し、どんな商品が売れ、商品をどうやって売るべきかなど考え、実践することが必要だろう。
記事参考:
「2017年 流通総額は1,682億元で過去最高記録を更新! 越境ECの国別流通総額で日本が2連覇を達成!」
「1日で約2.8兆円を売り上げたアリババの「独身の日」まとめ【取扱高推移あり】」
「5兆円売る「独身の日」に見る中国攻略の活路」
「中国EC「独身の日」セール/大手2社で5兆円超販売/越境ECの国別売上で日本首位」