中国越境ECの現況と輸入関税引き下げ

イメージ画像

2017年の中国の越境 BtoC-EC(日本・米国)の総市場規模は 27,556億円(前年比26.8%増)となった。
この中で、日本からの市場規模は 12,978億円(前年比25.2%増)、米国からの市場規模は 14,578億円(前年比28.2%増)であった。
中国の越境ECを通じての消費動向は多少鈍化してきてはいるが、ここに来てまた盛り上がりを見せるだろうニュースが飛び込んできた。それは、今年7月より、輸入関税を引き下るというものだ。
今回は、経済産業省が公表した「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」より、中国越境ECの動向と引き下げられる中国輸入関税にはどんな商品があるのか見ていこう。

 

●2017年の中国越境EC市場規模は1,002 億米ドル

「2017年我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」の内容によると、中国の昨年の越境EC市場規模は、1,002億米ドル、約11兆円で対前年比変化率も27.6%増であった。
背景には、インターネット人口やインターネット浸透率拡大に伴う越境EC市場へのインパクトが考えられるとしている。 さらに、中国の海外旅行者の年々にわたる旅行者数の増加も考えられ、帰国後、同等商品を越境ECで購入する割合も増えて来たのだろう。

図01

2017年、中国人で越境ECを利用して商品を購入した数は、1億1,360万人となっており、今後も増加傾向にあるようだ。

図02

 

●中国人は利用する越境ECモールのトップはKaola.com

「2017年我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」の内容によると、
中国の中国越境 EC サイト別売上高シェア、トップは「Kaola.com(網易考拉海購・25.8%)」、第2位が「Tmall International(天猫国際・21.9%)」、第3位が「JD Worldwide(京東全球網・13.3%)、第4位が「vip.com(唯品会・12.9%)」、第5位が、「Little Red Book(小紅書)4.9%」となっている。
国内ECでは最強ECモールサイトの天猫(Tmall)も、越境ECモールでは網易考拉海購(ネットイース・コアラ)に座を空け渡している。

図03

●中国人の越境EC利用する割合もすごい

中国人の日本の商品購入経験をみると、67.7%の中国人が「日本輸入品の購入経験の有り」と回答している。越境ECを行う場合、この高い数字は、日本ブランドの人気の高さを示していると同時に、中国向け販売を行う際のマーケットの広さを示す有効な数字であると思われる。

図05

 

●中国人が購入したい商品トップは化粧品

中国人は日本からどんな商品を購入しているのだろう。下図はそれを示したものだがトップは化粧品の57.2%、第2位が日用品の35.0%、第3位が食品の26.8%)となっている。中国のインバウンドでも、日本の「マツキヨ」銀座店には、連日のように中国人お客様が商品を買い求る光景を目にする。

図04

 

●大幅な引き下げとなる中国の輸入関税

5月30日、中国国務院から7月1日以降の新たな輸入関税率についての正式な通達があった。 以下の商品がその対象商品と下げられる税率だが、化粧品・スキンケア商品も8.4%から、2.9%へ引き下げるとしている。 ますます、中国人は安心感のある海外商品購入に消費はどんどん加速するだろう。

  • スキンケア・化粧品・一部の医薬健康商品:8.4%から2.9%に引き下げ
  • アパレル・スポーツ用品:15.9%から7.1%に引き下げ
  • 家電:20.5%から8%に引き下げ
  • 水産品:15.2%→6.9%に引き下げ

 

●まとめ

アメリカの関税の引き上げとは真逆の政策である、中国の関税引き下げについては、越境ECについてはどう影響するかはわからない。
この税率引き下げの背景として考えられるのは、中国は越境EC関税と輸入関税の不均衡から海外商品を輸入を行いやすくしたのかもしれない。
また、海外商品の流入が増えることで、海外メーカーをライバルとする中国国内メーカーが発起し、中国の生み出す商品のレベルアップにつながることを意図しているのかもしれない。
この施策により、さらに中国に偽物が流通しないことを祈りたい。

 

※ブログ中の図及びテキストは経済産業省「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」を参考に作成した。

関連する記事

拡大する越境EC! 調査報告から読み解く... 日本政府は12月18日、訪日外国人旅行者が3,000万人を超えたと発表。 昨年の2,869万人を超え、初めて1,000万人を超えた2013年から、この5年で3倍に増えた計算になる。 インバウンド数が増加すると、同じように越境ECにおいても。近年、急速な成長を続けている。 そして、ペイパルは...
越境EC 台湾のポテンシャルは? 越境ECと言うと、まず、その市場としてイメージされるのはアメリカ、中国だが、中国の南、台湾もなかなか魅力的な市場であることはあまり、知られていない。 今年、5月9日にナビプラス株式会社が発表した越境ECで買い物をした、相手国で売上トップは台湾となって、2位はアメリカ、3位は中国であったと報...
IT導入補助金を活用して越境ECを! この度、デジタルスタジオは、2018年6月29日付で「サービス等生産性向上IT導入支援事業」において「IT導入支援事業者」に認定された。 「IT導入支援事業者」とは、中小企業・小規模事業者様に向けたITツール(ソフトウエア、サービス等)導入のお手伝いと「IT導入補助金」の申請代行を行える登...
ブルーオーシャンだが、越境EC参入が難しいベトナム... 本日、1月24日サッカーアジアカップ準々決勝が行われる。 日本の対戦相手はベトナムだ。 ベトナムと言えば、フォー、生春巻き、パインミーなど、ベトナム料理が有名だ。 今、ベトナムでは空前のサッカーブーム。そして、サッカー以外でも、昨年、2018年は経済的にもGDP成長率は6.81%と高水準...
中国は日本にとっての大口顧客であることが分かる「ジェトロのアンケート調査」... 3月7日、日本貿易振興機構(JETRO・ジェトロ)は2018年11月〜2019年1月にかけて、ジェトロのサービス利用企業、10,004社を対象に「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」を実施した。 そのうち、3,385社から回答を得た結果内容を公表した。 アンケート詳細内容は、「貿...
中国最大、モールサイト! T-mall(天猫)について調べてみた... 中国最大のインターネットショッピング・モールとして有名なのは、アリババグループの「T-mall(天猫)」である。アリババグループは2014年10月にニューヨーク証券取引所へ上場した。T-mallは7万を超える店舗、会員数6500万人、流通総額は8兆3325億と、その規模はとてつもない。 T-...

タグ: , ,

コメントをどうぞ