世界最大級の無料チャットアプリと聞いて思い浮かぶのは、日本だとLINEとなるが、アメリカだとMessengerやWhatsApp、韓国ではカカオトークなどとなるが、登録アカウント数が11億人、月間アクティブユーザー数5億4,900万人という中国のWeChatというアプリをご存知だろうか。
LINEの月間アクティブユーザーが6,800万人と比較するとその大きさは8倍以上である。ちなみに世界最大の無料チャットアプリはFacebook傘下のWhatsAppで、月間アクティブユーザーは数は10億と発表されている。
今回は、昨年6月にも概略紹介しているが、中国SNS「WeChat」について、その機能や活用法について詳しく調べてみた。
WeChat(微信)は中国の大手IT会社Tencentが提供する、日本のLINEに相当する、中国の無料チャットアプリである。文字や音声、写真、動画、グループチャットなどでコミュニケーションができる。
WeChatユーザーは200カ国以上に存在し、男性ユーザーは64.3%、女性ユーザーは35.7%。35歳以下のユーザーは85%以上を占めている。
また、チャット以外にも各種チケット購入や銀行カードを登録し、支払いができたり、知り合いへ現金を振り込んだり、タクシーの呼び出し、ホテルの予約までできる。
インバウンドで訪れる中国人はWeChatアプリで買い物の支払いをするのが常識となっているので、中国人観光客が来店する実店舗では、WeChat Paymentの導入が必須である。
WeChatの機能は、基本的にはLINEと同じだが、LINEには無いすぐれた機能がいくつもあるので、その多様な機能について見て行こう。
WeChatにはモーメンツ(朋友圏)という機能があり、Facebookのようなソーシャル機能も装備している。
このモーメンツという機能はFacebookやTwitter同様に書いたテキストや自ら選択した写真を他の利用者と共有することが出来る機能である。
WeChat内で繋がっているユーザーとモーメンツを利用して情報共有が可能で、特定の利用者と作成したグループを指定して送信も可能である。共有したモーメンツに対して「いいね」やコメントをすることができ、モーメンツはまさにFaceBookである。
Wechatをビジネスで活用すれば、このモーメンツに商品やサービスについて投稿し、友人同士や口コミきっかけで商品購入に至るケースが期待できる。
資生堂では、中国に進出しユーザーを獲得するために、WeChatのモーメンツを活用し、資生堂の誕生から、イベントなどの情報を投稿している。
ボイスチャット機能は中国人が良く利用するもので、テキストでは伝わりにくい内容や、入力ができない場合にスマホに向かってしゃべり、そのまま送ることができる。中国語は漢字表記でテキストにするより、会話で伝えた方が効率が良いからだろう。
WechatにはSkype、facetimeのように動画通話も機能もある、WiFi環境があれば、ストレスなくチャット相手と通話できる。
LINEの友達追加方法として「フルフル」機能があるが、WeChatには友達追加以外に、おお店のBGMで気に入った音楽をあった時、自分のスマホをシェイクすると、何の音楽なのか曲名を教えてくれる機能がある。
WeChat Payは自分の銀行口座と連携することにより、買い物の際にWeChatを使うことで簡単に支払いができる機能だ。
支払い方法は、主にQRコードをかざすことで決済ができるもので、今の中国ではこのWeChat Pay同様のサービスを利用して支払いを行う人がたくさんいる。
中国の決済はQRコード決済が主流となっている。中国向け越境ECでもこのWeChat Payでの決済機能は欠かせない。
WeChatのモーメンツ機能を使うにはアカウントを取得し、自分の興味のあるアカウントをフォローすることができる。
WeChatアカウント取得し、モーメンツで情報を拡散できるところが、日本企業が参入できる部分なのである。
モーメンツでメッセージや広告を出すことで多くのフォロワーを増やし、ビジネスに繋げることができる。
では、モーメンツでフォロワーを増やすにはどうしたら良いのだろう。フォロワーを増やさない限り、ビジネスに繋がってはいかないだろう。 ここでは、代表的なフォロワーの増やし方をまとめてみた。
ターゲットとなる中国人の興味を持ってくれそうな情報、見た人が拡散したくなるコンテンツを発信することが重要である。売りたい商品のコンテンツだけでは拡散幅は期待できないだろう。
中国人ユーザーにとって面白く、有益でためになる、他人に教えたくなる情報を、継続して投稿することが集客に繋がっていくだろう。
網紅(ワンホン)とは中国のSNSを活用したインフルエンサーである。主に動画を利用して投稿を拡散する網紅(ワンホン)は、中国版YouTuberである。もともと中国では知名度がある網紅(ワンホン)に投稿を依頼することで、自社のアカウントを効率的に知ってもらうことができる。
大手コンビニのセブン銀行は、中国国内で人気のワンホンを使ってその存在の認知に成功している。
WeChat内に展開できる広告には公式アカウント広告、モーメンツ広告、ワンクリックフォロー広告と3種類あり、それぞれ用途が違う。
公式アカウント広告は5万人以上のファロワーを持つアカウントに表示されるもの。
モーメンツ広告は個人ユーザーのモーメンツ上に表示されるもので、広告の予算は、1,000回表示で北京・上海の2都市なら150元、35の大都市なら100元、その他の都市なら50元となっている。
ワンクリックフォロー広告はフォロワー数の多い、他の公式アカウントのページ内に配信する広告である。
これらの広告には出稿条件があり、Tencentからの認証の取得が必要であり、費用支払いにために中国、人民銀行口座が必要となる。
自社アカウントのQRコードを実店舗に設置し、興味を持ったユーザーにその場でQRコードを読み取ってもらいフォローしてもらう。
店舗がなくても、流通している商品、紙媒体などにも、自社アカウントQRコードを記載することでQRコードを拡散せることもできる。
中国では日本と比べ物にならないほど、QRコードが浸透しているため、店舗、紙媒体、商品にQRコードを設置することでフォロワーを増やしたり、自社サイトに流入することが期待できる。
WeChatの検索機能、WeChat Sreachに商品検索機能の実装が検証されている。 ユーザーはWeChat Sreachで商品に関するキーワードを入力することで、検索結果にWeChatで販売されている商品記事や広告などが出てくるというもの。
この機能はWechat内に販売されている商品を対象にした検索機能で、この機能の実装はほぼ決定しているようだ。
Live commerceにはWeChatに対応したさまざまな機能を用意している。
1つは、WeChat Payでの支払いプラグインの実装ができる。
2つ目はLive commerceで開設し、Discovery Japan モールへ出店すれば、自動的にWeChat内のDiscovery Japan公式サイトに紹介される。
3つ目はスタッフがWeChatモーメンツ機能を利用して、商品記事を掲載することで、フォロワーはDiscovery Japanで商品購入することができ、集客に繋げることができるサービスである。
下の画像はWeChat内のDiscovery Japan モールサイトと商品記事である。
WeChat内のDiscovery Japan モール
Discovery Japan モール内の商品記事
11億人の登録者数、月間アクティブユーザー数5億4,900万人というWeChatは中国市場のマーケティングには欠かせない存在だ。
海外のSNSを使うとなると、言葉の壁があり、敷居が高く感じるが、Discovery Japan Mallで商品販売すれば、Discovery JapanスタッフがWeChatモーメンツ内に商品記事を随時投稿し、WeChatから中国顧客へアプローチし、Discovery Japan Mallでの販売に繋げている。
タグ: 中国越境EC, 海外向けマーケティング
[…] ※ WeChatについての詳細は、こちらのブログでも解説している。 […]