越境ECでは、そもそも、その商品が「送れるのか、送れないのか」まず最初に確認すべきである。
まず、「航空危険物」は送れない。さらに、各国や地域によっては、法律や条例などで輸入を禁止している品目がたくさんある。
今回はEMS(国際スピード郵便)のサイトを参考に、海外へ発送出来ない品目(禁制品)について整理した。
海外に発送する場合は航空機が使われるが、航空機の安全運航を脅かしたり、航空機・空港施設等に危険を及ぼす恐れのあるものは、航空法関連法規により「航空危険物」として輸送が禁じられている。
さらに、万国郵便条約に禁制品とされている品目があり、大前提として以下の品目は発送出来ないと考えて良い。以下が主なものだ。
1.爆発物・危険物
2.麻薬および向精神剤
3.生きた動物
4.わいせつまたは不道徳な物品
5.貴重品:硬貨、銀行券、紙幣、各種の持参人払有価証券、旅行小切手
上の画像は「[日本郵便]航空機による輸送ができないもの」より引用
万国共通の禁制品や航空危険物以外でも海外に送れないものはたくさんあり、 越境ECで発送する場合は、国や地域で禁制品になっていないか確認し発送いただきたい。 ここでは日本郵便のEMS便で禁制されている注意すべき内容をピックアップした。
国や地域によって多少制限が異なるが、EMSで配送する場合の荷物は、基本的に最大の長さが1.5m以内、長さ+横周3m以内、重量30kgまでとなっている。
内容品の合計価格が20万円を超える郵便物を送る場合は、通関手続を行う必要がある。
実はリチウム電池を使っている家電製品はたくさんあるが、このリチウム電池の配送には条件が付くので、特に、家電製品を扱う事業者は注意が必要である。
すべての食品が海外発送できない訳ではないが、EMSではなく国別での細かいルールがあるため、越境ECで食品を海外販売したい場合は詳細を調べておく必要があある。例えば、以下の国では肉類が禁止されている。
台湾(牛肉)/アメリカ(牛肉)/カナダ(肉製品)/オーストラリア(肉の入った商品)、
その他には、お茶やきのこ、お菓子を禁止している国もある。
ハイブランドの商品は、「ユーズド・イン・ジャパン」(日本人が使用した)、「チェックド・イン・ジャパン」(日本で鑑定済み)として信頼され、需要が高まっている。 しかしながら、以下の国は中古の衣料品を禁制品としている。
(例)インドネシア/ブラジル/チェコ/ルーマニア/モンゴル/北朝鮮/ニュージーランド
EMSでは貴重品は送れないというルールがある。 現金・有価証券・小切手・貴金属、信書、パスポート、宝石類・骨董品・重要美術品・未現像フィルムなどは送ることは出来ない。 また、アクセサリーで装飾に金、銀、ダイヤが扱われている商品も貴重品に含まれるため送れない。
商品に使われている活性炭素が危険物として判断されてしまうことがある。 インボイスのみの表記では商品の製造過程で何が使われているか判断ができないため、現在はMSDS(化学物質等安全データシート)の提出が求められる。
アルコール濃度が高い物は、海外へ送ることができないことが多い。 アルコール濃度が高い物というと香水である。 香水はアルコール濃度が非常に高いため、引火しやすいもののため発送できない。
香水以外にも、マニキュア、除光液などのアルコール濃度が高いものも送ることができない。 ヘアカラーやアルコール度数の高いお酒(24度以上)もダメ。 引火しやすい物質は基本的には送ることが難しいという認識を持っておくだけでも良い。
肉製品や肉エキスが入っているカップラーメンをアメリカへ送ることができない。 肉製品とは、チャーシューや肉団子などの肉の小片のことで、肉エキスとはスープのこと。
アルコール度数24度以下であるものは、国際郵便物として送ることができる。 ただし、国によって送れない場合があるので注意が必要。 アルコールを送れる国は中国、台湾、香港。 送れないのはアメリカ。また、ヨーロッパではフランス、イタリア、ロシアへは送れない。イギリスの場合は度数制限がある。
収穫したお米、親戚から貰ったお米、スーパーで買ったお米を国際郵便を利用して送ることが難しい理由は、精米のときに、虫が混入している可能性があるためである。
アメリカ合衆国への禁制品は、大きくは特定産地、特定品目の農林水産物や化粧品、医薬品は米国食品医薬品局(FDA)という機関の許可なしではアメリカで販売することはできない。 以下、日本郵便(EMS)がアメリカ向けで発送できないとしているものは、以下のもの。
中国の場合もアメリカと同じように、EMSを参照すると以下のようになる。
海外発送で送れないものは、まず、「万国共通の禁制品」と「航空危険物」があり、更に各国、地域で送れるもの、送れないものがある。
それら禁制品を把握せずに海外発送しようとした場合、返送されるか、税関で没収という事態になる。
また、通常は送れるのに、突然、規制対象となるケースもあるので、禁制品については各国、地域の情報チェックしておく必要があるだろう。