海外発送で送れない注意すべき禁制品

イメージ画像

越境ECでは、そもそも、その商品が「送れるのか、送れないのか」まず最初に確認すべきである。
まず、「航空危険物」は送れない。さらに、各国や地域によっては、法律や条例などで輸入を禁止している品目がたくさんある。
今回はEMS(国際スピード郵便)のサイトを参考に、海外へ発送出来ない品目(禁制品)について整理した。

基本は「航空危険物」と「万国共通の禁制品」は送れない

海外に発送する場合は航空機が使われるが、航空機の安全運航を脅かしたり、航空機・空港施設等に危険を及ぼす恐れのあるものは、航空法関連法規により「航空危険物」として輸送が禁じられている。
さらに、万国郵便条約に禁制品とされている品目があり、大前提として以下の品目は発送出来ないと考えて良い。以下が主なものだ。

1.爆発物・危険物

  • 火薬類:花火、クラッカー、弾薬
  • 引火性液体:ライター用燃料、ペイント類
  • 高圧ガス:消火器、アクアラング、除塵スプレー、ヘリウムガス、キャンプ用ガスコンロ、カセットコンロ用ガス、ライター用補充ガスなど
  • 可燃性物質:マッチ、ライター
  • 酸化性物質:漂白剤、過酸化剤、個人用小形酸素発生器
  • 毒物類:クロロフォルム、加熱蒸散殺虫剤
  • 腐食性物質:水銀、バッテリー
  • 放射性物質:プルトニウム、ラジウム、ウラン、セシウム

2.麻薬および向精神剤

3.生きた動物

4.わいせつまたは不道徳な物品

5.貴重品:硬貨、銀行券、紙幣、各種の持参人払有価証券、旅行小切手

 

図01
上の画像は「[日本郵便]航空機による輸送ができないもの」より引用

参考:国際郵便として送れないもの万国郵便条約に基づく禁制品

海外発送できない注意すべき11の項目

万国共通の禁制品や航空危険物以外でも海外に送れないものはたくさんあり、 越境ECで発送する場合は、国や地域で禁制品になっていないか確認し発送いただきたい。 ここでは日本郵便のEMS便で禁制されている注意すべき内容をピックアップした。

(1)大きくて、重いものは送れない

国や地域によって多少制限が異なるが、EMSで配送する場合の荷物は、基本的に最大の長さが1.5m以内、長さ+横周3m以内、重量30kgまでとなっている。

(2)内容品が20万円を超えるものは国際郵便物の通関手続が必要

内容品の合計価格が20万円を超える郵便物を送る場合は、通関手続を行う必要がある。

(3)リチウム電池は送るには条件がある

実はリチウム電池を使っている家電製品はたくさんあるが、このリチウム電池の配送には条件が付くので、特に、家電製品を扱う事業者は注意が必要である。

  • ノートパソコン、iPhoneなどリチウム内蔵の商品:リチウムイオン電池が機器に内蔵されているものは2点まで同梱可能。 3点以上の場合は小分け配送。
  • デジタルカメラなどリチウム付属の商品 リチウムイオン電池が機器に取り付けられているもの(外せるもの)は2点まで同梱可能。3点以上の場合は小分け配送。
  • パソコンの替えのスペア電池など、リチウム電池単体の場合は配送できない

(4)食品は国によって送れるもの、送れないものがある

すべての食品が海外発送できない訳ではないが、EMSではなく国別での細かいルールがあるため、越境ECで食品を海外販売したい場合は詳細を調べておく必要があある。例えば、以下の国では肉類が禁止されている。

台湾(牛肉)/アメリカ(牛肉)/カナダ(肉製品)/オーストラリア(肉の入った商品)、
その他には、お茶やきのこ、お菓子を禁止している国もある。

(5)中古品の衣料品を禁止する国は多い

ハイブランドの商品は、「ユーズド・イン・ジャパン」(日本人が使用した)、「チェックド・イン・ジャパン」(日本で鑑定済み)として信頼され、需要が高まっている。 しかしながら、以下の国は中古の衣料品を禁制品としている。

(例)インドネシア/ブラジル/チェコ/ルーマニア/モンゴル/北朝鮮/ニュージーランド

(6)ジュエリーなど貴金属は禁制品

EMSでは貴重品は送れないというルールがある。 現金・有価証券・小切手・貴金属、信書、パスポート、宝石類・骨董品・重要美術品・未現像フィルムなどは送ることは出来ない。 また、アクセサリーで装飾に金、銀、ダイヤが扱われている商品も貴重品に含まれるため送れない。

(7)空気清浄機、浄水器、カートリッジも禁制品

商品に使われている活性炭素が危険物として判断されてしまうことがある。 インボイスのみの表記では商品の製造過程で何が使われているか判断ができないため、現在はMSDS(化学物質等安全データシート)の提出が求められる。

(8)香水やマネキュアなどは送れない

アルコール濃度が高い物は、海外へ送ることができないことが多い。 アルコール濃度が高い物というと香水である。 香水はアルコール濃度が非常に高いため、引火しやすいもののため発送できない。
香水以外にも、マニキュア、除光液などのアルコール濃度が高いものも送ることができない。 ヘアカラーやアルコール度数の高いお酒(24度以上)もダメ。 引火しやすい物質は基本的には送ることが難しいという認識を持っておくだけでも良い。

(9)カップラーメンはアメリカへ送れない

肉製品や肉エキスが入っているカップラーメンをアメリカへ送ることができない。 肉製品とは、チャーシューや肉団子などの肉の小片のことで、肉エキスとはスープのこと。

(10)お酒(日本酒)は送れる国、送れない国がある

アルコール度数24度以下であるものは、国際郵便物として送ることができる。 ただし、国によって送れない場合があるので注意が必要。 アルコールを送れる国は中国、台湾、香港。 送れないのはアメリカ。また、ヨーロッパではフランス、イタリア、ロシアへは送れない。イギリスの場合は度数制限がある。

(11)お米も送れる国、送れない国がある

収穫したお米、親戚から貰ったお米、スーパーで買ったお米を国際郵便を利用して送ることが難しい理由は、精米のときに、虫が混入している可能性があるためである。

  • お米を送れる国:アメリカ/カナダ/オーストラリア/ニュージーランド/マレーシア/シンガポール/香港
  • お米を送れない国:中国/韓国/台湾/ロシア/フィリピン/タイ/メキシコ

アメリカの場合は農林水産物、医薬品、化粧品については許可が必要

アメリカ合衆国への禁制品は、大きくは特定産地、特定品目の農林水産物や化粧品、医薬品は米国食品医薬品局(FDA)という機関の許可なしではアメリカで販売することはできない。 以下、日本郵便(EMS)がアメリカ向けで発送できないとしているものは、以下のもの。

  • たばこ
  • アナボリックステロイド(タンパク質同化ホルモン)
  • オリーブオイル
  • 鋭利な器具
  • 牛肉
  • 酒精飲料
  • 弾薬、マッチ
  • 電子ニコチンデリバリーシステム(電子タバコ)
  • 動物製品 ・肉(生肉及び冷凍肉。燻製又は乾燥肉)
  • 避妊用品等
  • 富くじ
  • 腐敗しやすい物質等(魚、果実及び野菜)
  • 包装用物質(草又はこれに類する物質)
  • 麻薬 ・毛皮、皮革

参考:[日本郵便]アメリカ合衆国への発送禁制品

中国の場合は動物、食料、薬、印刷物などが禁制品

中国の場合もアメリカと同じように、EMSを参照すると以下のようになる。

  • 貴重品(加工したまたは加工していない白金、金、銀、宝石など)
  • 硬貨、銀行券、紙幣、持参人払有価証券
  • 写真、フィルム、印刷物等(中華人民共和国の政治、経済、文化及び道徳に害を及ぼすようなもの)
  • 食料、薬(伝染病の被害を受けている地域からの食料、薬など)
  • 毒物、麻酔剤
  • 病原菌、害虫等
  • 兵器等(兵器、弾薬、及び爆薬)
  • 条件付き禁制品(その他検疫対象物、たばこ、ネジ、ラジオ送受信機、ワイン、希少な動植物、植物、植物を使用した製品など)

参考:[日本郵便]中国への発送禁制品

まとめ

海外発送で送れないものは、まず、「万国共通の禁制品」と「航空危険物」があり、更に各国、地域で送れるもの、送れないものがある。
それら禁制品を把握せずに海外発送しようとした場合、返送されるか、税関で没収という事態になる。
また、通常は送れるのに、突然、規制対象となるケースもあるので、禁制品については各国、地域の情報チェックしておく必要があるだろう。

 

関連する記事

インバウンド集客には何が重要か 2018年9月12日、日本政策金融公庫総合研究所が融資先の中小企業3,290社(小売業や飲食店・宿泊業・運輸業など)を対象に行った「外国人観光客の受け入れに関するアンケート」の結果を発表した。 その調査結果によると、中小企業の外国人観光客受け入れについては過半数以上が前向きで、積極的な受け...
2017年の訪日外国人客数と図表で見るインバウンド対策の現況... 日本政府観光局(JNTO)が2017年の外国人観光客数の発表した。2017年の訪日外国人数は前年比19.3%増の2,869万人と好調をキープしているという結果であった。 結果を見ると、ここ数年は韓国から観光客数が急激に増加しており、前年比40%増の714万人と、韓国人観光客が訪日観光客数の...
越境ECで失敗しないための5つのポイント... 日本では、人口減少から国内需要の縮小に伴い、国内ビジネスだけではますます、厳しい状況になるだろう。インバウンドが増加する中、解決策をインバウンドも視野に入れ、販路を海外に求める企業も増加している。 そして、企業は販路の拡大をアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸外国とECサイトを展開するようになっ...
2017年の日本のEC市場、越境EC市場はどのくらい成長した?... 経済産業省は4月25日、「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」 (電子商取引に関する市場調査)を発表した。この内容は2017年の日本の電子商取引市場の実態や日米中3か国間の越境電子商取引の市場動向についての調査内容をまとめたものである。 今回はこの内容をベースに201...
今年も始まる「春節」、越境ECへの影響は?... ここ最近、インバウント(訪日外国人旅行)といった話題を聞かない日はない。 ここ数年、訪日外国人の数は右肩上がりで増加しており、特に中国人観光客の訪日が大きい。爆買いブームは終わり、買い物から観光する・日本を体験することに目的がシフトしてきたと言われるが、中国では今月、1月27日(金)から2...
越境ECは今年も成長、拡大するだろう!(ebayのアンケートから)... 越境ECは右肩上がりの拡大、成長を続けており、6世界の6大市場(英国、米国、ドイツ、北欧諸国、オランダ、フランス)における越境EC の市場規模推計(2013 年)によると250 億US ドルであるが、2020 年にはその約5.2 倍に相当する1300 億US ドルになると予測されている。 そ...

タグ: , , , , ,

コメントは受け付けていません。