中国の越境EC規模(中国・日本・アメリカ間)、2016年は2兆1,737億円、前年比32.6%の伸びと世界第1位の市場規模であった。中国消費者の日本からの購入額は1兆366億と前年比30.3%の伸びで、初の1兆円超えとなった。
訪日中国人も過去最高の約637万人となっており、訪日外国人数では中国人が2015年に続き、トップとなった。越境ECではインバウンド商品が売れて、それが口コミとなって一気に商品が売れるというケースが多く、中国では、SNSでの口コミ拡散での商品マーケティングが大きな影響力を持っている。
今回は、その中国SNSマーケティングで絶大な影響力をもつ「網紅(ワンホン)」について調べてみた。
「ワンホン」とは「Internet Celebrity」の意味で、中国におけるインターネット・インフルエンサーのことを言う。このワンホンと呼ばれるインフルエンサーが一般消費者の購買意思決定へ与える影響が年々増してきており、中国のECサイトではワンホンが消費トレンドの鍵を握っているといっても過言ではない。
なぜ、中国ではこのようなインフルエンサーが影響力を持つに至ったかは、中国市場では企業の信頼度が低くなっているというのがその理由の一つだ。消費者の中国企業への不信感から、誰か信頼できる人の意見や、世の中の流行を頼りに意志決定を下す傾向があるようだ。
健康的で明るく、前向きに商品を紹介するワンホンを見て商品に興味を持ち、購入に至るケースが多くなっているのだ。
ワンホンが活用するのは、SNSプラットフォームである。微博(ウェイボー)SNSサービスで、日本で言うTwitterのようなサービスで微博(ウェイボー)に動画を投稿することで商品のメリットを説明する。 また、ワンホンとなるにはフォロワーが50万人以上いる人気者でなければならない。
そして、ワンホンの人数も2016年6月24日、「網紅経済白書」よると100万人を超えたというから、これもすごい。いかに、ワンホンは商品購入の際に影響力があり、かつ、中国EC市場が活況しているかがうかがい知れる。
中国のワンホン人数は100万人を超えており、そのうちの82.5%が容姿端麗な女性だと言う。芸能人ほどの知名度はないが、ネット上で多くのフォロワーが存在するワンホンはどのような仕事を行い収入を得ているのだろうか?
ワンホンの収入は仕事として提携している企業の商品やサービスの宣伝である。 宣伝方法は、動画アプリや動画サイトなどを使い、自分のフォロワーに向け、リアルタイムに情報を発信する。動画の撮影も今では、スマートフォン1台あれば、最低限製作できる。
動画内容は自分が商品を使ったときの感想や商品の取り扱い方法などである。 収入は、企業とのタイアップ契約または、歩合給にもとづいたもので、稼げる金額はワンホンの影響力次第だが、1時間の生放送で1,300万円もの収入を得るケースもあるようだ。
日本企業もワンホンの信頼感、影響力を活用し、商品やサービスのPR宣伝として中国消費者の購買力を刺激する施策が増えてきている。
訴求力を高めるには先ず、何を行う必要があるのだろうか?そのポイントをまとめた。
中国は市場が大きく、ターゲットを明確にしなければ、訴求力がない。その上で何を伝えたいのか、どのように伝えるかが見えてくる。
ターゲットをしっかり定義して、ターゲットを絞りこんで、アプローチすることが重要である。
ワンホンは100万人もいて、それぞれ強烈な個性を持っている。どのようなターゲットに対してメッセージが届きやすく、どんなメッセージを発信するのが得意か、ワンホンのキャラクターを理解したうえで依頼する。
ワンホンのキャラクターの投稿スタイル、得意ジャンル、カテゴリを把握することが重要である。
ターゲットが何を要求しているしているのかよく考え、自社サービスの押し付けにならないように注意なければならない。
商品の効能や成分、メリットのみを伝えるのではなく、明るく楽しく商品を説明し、好感度を高める工夫も必要である。
日本には、中国のワンホンを中心としたマーケッティング事業を推進する企業がある。エンパワーショップの運営する『CHINA BUZZ』やVstar Japan(ブイスタージャパン)株式会社の事業などがそれである。
それら企業は中国ワンホンとネットワークを作り、展開しており、中国向けの日本商品やサービスをワンホンを活用したプロモーション施策を企画、制作し中国展開を支援している。内容はワンホンによる商品レビューから、日本国内名所などライブ配信、イベント出演まで様々あるようである。
中国では、SNSで人気のある大きな影響力をもつネットインフルエンサーのことをワンホンと呼ぶ。
日本でも「将来の夢はYouTuber」という子供が増加しているが、中国でも多くの若者たちがこのワンホンに憧れ、ネット上で人気ものになる、ブレイクすること目指し、日々、動画を投稿している。
韓国の企業ではすでにワンホンをうまく活用しており、現代百貨点などが成果をあげている。日本には優れたブランド商品がたくさんある。越境EC、ワンホンを活用すれば、もっと多くの中国の潜在顧客にリーチしてゆくことができるだろう。