今後、10年も経たないうちに、世界の全て産業は3つの市場に絞られていくだろうと言われている。
それはアメリカと中国そして、インドである。インドは若い世代が多い。そして消費意欲も高い。
インドの2015年~2018年のオンラインショッピングの平均成長率を見ても38%と急激な伸びを見せている。今後はインターネットインフラが整備されることで、ますます、EC市場は活況すると予測されている。
先日もソフトバンクは、インドで隆盛を誇るAmazonに対抗するため、インドのECサイトFlipkartとSnapdealの合併交渉を進めているとの報道があった。
今回は今、注目のインドのEC市場ポテンシャルとインドの有名なECサイトなどについて見ていこう。
2015年時点のインターネットの利用人口をみると、3億 7,500 万人となっている。これはインド全人口の3割程度だ。今後もインフラの整備により、インターネット利用者は増加することは間違いない。
そして、インド合同商工会議所(Assocham)の調査によると、中間所得者の拡大、顧客の可処分所得の増加が携帯電話、スマートフォン、タブレットの需要を生み出しており、2015年時点では2億2,000万人がスマートフォンを利用しEコマースで商品を購入し、市場を拡大している。
インドのEC市場規模の推移図をみると2015年時点で230億ドル(約2兆5300億円)、2020年では1031億ドル(約11兆3000億円)に達している。
これは、インターネットや携帯電話の高い普及率、オンライン決済のインフラが整い始めているからと言える。インドのEコマース市場拡大は国の急成長分野の一つとなっている。
上のグラフはMorgan Stanley Researchによる2013年から2015年の間で小売りサイトが売上げがどれだけ成長しているか、その成長率を調べたものだが、この成長ラインキグをみると、インドの小売りサイトの成長が著しいことが分かる。
世界平均が16%に対して、68%という数字は驚異的な伸び率と言える。
インドでは小売りサイトを利用する年齢は低く、18から35歳のユーザーが90%を占めており、男性が65%、女性で35%の割合となっている。
また、Eコマース決済では現金決済が主流で、約70%は代金引換である。次いで20~25%程度がクレジット決済、PayPalなどのオンライン決済は6%となっている。代金引換サービス対応が増えていることでもEコマースの拡大を後押ししている。
売れ筋商品の半数は電化製品なっている。その他にファッション・アパレル、ベビー用品・美容製品となっており、ベビー用品や家電製品の分野において日本企業が市場に参入できる可能性があると言える。
インドのEC市場シェアの45%を占めるFlipkart は2010年に代金引換を導入したことにより、ユーザー獲得に成功している。また、顧客が都合の良い時間に荷物を受け取るようにて行き先を増やし、販路拡大に努めている。
EC市場シェア26%のSnapdealは中国のAlibabaをモデルとしてEC事業を展開し、急成長を遂げた。2014年10月にはソフトバンクによる約677億円の出資を受けている。 2015年に注文した商品を1時間以内に届ける「Snapdeal Instant」と呼ばれる配達サービスを開始した。
Amazon Indiaはインドの市場シェアの12%を占める3者の中では唯一の外資企業である。 Amazon Indiaでは商品の販売を希望する企業宛にスペースを提供する「マーケットプレイス」のモデルを踏襲し、現在は家電、日用品、印刷書籍、電子書籍、Kindle端末、音楽、ゲーム、アパレル、スポーツ用品など、約1700万点の商品を扱っている。
オンライン決済ペイパルの調査によると、主要32カ国の越境ECの規模について調査した。調査内容は各国の消費者がどのくらい越境ECを利用しているのかを調査し、ランキングしたものだが、トップは中国、2位にアメリカ、そして驚くことに3位にインドとなっている。
インドのユーザーは越境ECをよく利用しているということなのだ。規模だけをみると、中国とアメリカには及ばないが、フランス、イギリスを越え、越境EC市場として有望な市場であることに間違いないだろう。
インド経済のGDP成長率は7.6%と成長しており、今後も同様の勢いを維持すると思われる。小売り業も拡大しており、推定ではあるが、現在の6,000億ドルから2020年には1兆ドルに達するとされている。
EC化率は2%未満に過ぎないが、今後、配送システムや決済システムなどのインフラが整備されれば、地理的に欲しい製品が購入できないユーザーや、自国にはない海外製品を購入したいユーザーに製品を届けるEC市場が拡大していくだろう。
記事出典: インドのeコマース市場調査(2017年1月)
タグ: 海外向けマーケティング, 海外販売, 越境EC