今週1月20日には、アメリカの新大統領にオバマ大統領が8年の任期を終え、トランプ新大統領が正式に就任する。
就任後は、日本とアメリカとの貿易、経済や軍事など、多方面において大きな変化が起こることは間違いないだろう。この変化の度合いによっては越境ECにも変化を強いられることだろう。
そこで今回は、アメリカのEC市場の現況についてやアメリカ代表的なECサイトの特徴などまとめてみた。
経済産業省の昨年の「情報化・サービス化に係る基盤整備」によると、アメリカのEC市場規模は3406.1億USドル(2015年)で対前年比14.2%の成長率となっている。日本は895.5億USドル(2015年)である。
日本を基準に見ると単純にアメリカは日本の約3.8倍の市場である。インターネット人口は日本は約1億人、アメリカは2億7900万人。普及率も87.4%となっている。
また、statista.comの調べによると、アメリカの18歳以上の84%がインターネットを日常的に利用しており、その中でも18歳から29歳のネット使用率は96%、30歳から49歳では、93%と高い数値とインターネット普及率は高い。 下の表はアメリカ、日本とのEC環境などを比較したものだ。
アメリカの有名ECサイトといえば、日本と同様、「Amazon」である。
「Amazon」はアメリカ、日本のみならず、世界シェアでもトップを誇っている。
また、statista.comのデータによると、2016年7月時点でアメリカ国内で人気のECサイトのトップは「Amazon」で、2位は「ebay」、3位は「Walmart」となっている。老舗のデパートである「Macy’s」なども人気のようだ。
その他、アメリカを代表するECサイトにはどんなサイトがあり、何を販売しているのだろうか? 以下にアメリカの代表的なECサイトをピックアップしてみた。
Amazonはアメリカのシアトルを本拠地として世界13カ国で展開している巨大ECショピングモールである。
インターネットが本格化する早期の時代、書籍販売からスタートしたが、今や商品数は約4億8800万点、最近ではインターネット販売は難しいとされている、生鮮食料品の配送も開始している。
商品の豊富さ、配達の速さ、レビューシステムなどいち早く実装したのもAmazonである。
EBayは世界30カ国に拠点をもつ、世界最大のインターネットオークションサイトである。
Ebayはあくまで販売者と消費者間の取引というのが特徴である。Amazonでは入手しにくい、お宝商品やビンテージ、レア商品などを見つけることができる。登録者数は1億5000万人に登り、これはamazon利用者の次に多い数字である。
ちなみに日本ではヤフオクが有名だが、ヤフオク登録者数は500万人程度と言われるので、その規模大きさを伺い知ることができる。
Wal-Martはアメリカアーカンソー州に拠点おく、世界最大のスーパーマーケットチェーンである。
衣料品、食料品を中心の販売に加え、生活家電の販売も行い、アメリカの家電メーカーに影響を与えている。 世界15カ国に進出し、徹底したコストの無駄を省き、低価格商品の提供を実現している。
アメリカ国内には約5,200もの店舗をを武器にしたオムニチャネルビジネス、つまりネットで注文し商品を実店舗で受け取るシステム導入で、ユーザー数を確実に増やしている。
アップル社の製品の購入や、サービス情報の取得、製品詳細情報の取得などができる。
ザ・ホーム・デポはアメリカのジョージア州に本拠地を置く住宅リフォーム、建築資材、サービスの小売りチェーン店である。
全米に約2200に店舗展開し、キッチン用品、ガーデニング用品といったものから、ペンキ、木材といったDIY製品が主流の全米NO.1ホームセンターチェーンである。
Estyは、他のお店では入手できない商品を買えるサイトをコンセプトに、手作り商品、アパレル、家具、アート作品、ヴィンテージ商品を扱うオンラインショップである。
手作りのアクセサリーなどが人気で、世界で3,000万人以上が利用している。
ベスト・バイ(Best Buy、NYSE: BBY)は全米にとどまらず、世界最大の家電量販店である。
アメリカのミネソタを本拠とし、カナダ、メキシコ、中国で事業展開している。 Amazonの台頭で、危機もあったが、コストの見直しによる低価格による商品提供、各実店舗からの迅速な配送などで、ユーザー獲得に成功している。
メイシーズ (Macy’s) は、1858年創業でニューヨークに本部がある老舗デパートである。
Macy’sはオムニチャンネルを早くから導入しており、さらにFacebookやtwitterなどのSNS、スマートフォンアプリの導入など時代に対応することで、オンラインでの顧客サービスの拡大に成功している。
Kohlsは米国内に約1,160の店舗を持つ総合デパートである。
アパレル商品が売れ筋となっており、実店舗では他の総合デパートでは見られない、買い物カートによる集中レジ方式によるコストダウンとプライベートブランドを扱うことで売り上げを伸ばしている。
アメリカでは、前段で取りあげたECサイトをみてもわかるが、Amazonを除き、ほとんどが巨大チェーンによる実店舗を誇っている。
つまり、アメリカには日本と違い楽天などのようなECモールが無いということ。実店舗が自社ECサイトを構築し、最新のECテクノロジー、マーケッティングを駆使し、競争しているのである。 そのテクノロジーの一つがオムニチャネルである。
アメリカの消費者は、ネット注文した商品を指定した日時に受け取ることができることは当たり前で、ネット注文したものをどこの実店舗でも、好きな時間で受け取るオムニチャネルビジネスが、確立されている。
消費者は実店舗のECサイトで商品を確保し、商圏内の店舗に取りに行くことによってすぐに商品を手に入れるというECサイトの利用者が多く、オムニチャネル化は高まっている。
オムニチャネルにより実店舗とECサイトを結びつけ、今や、ネット注文が増えることで実店舗への送客が拡大するという、双方向、相乗効果が発揮できるところまで、ネットビジネスは成長している。
アメリカのECサイトと実店舗の双方向のつながり、関係は日本の実店舗を持つECサイトは参考にすべきである。
そして、アメリカの消費者の買い物は国内サイトで完結しており、そのような消費者を越境ECに取り込むには、上記に紹介したECサイトには無い、日本ならではでのオリジナル商品、アメリカでは手に入らない商品ラインナップが必要になってくるだろう。
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