今やスマートフォンの普及、SNSユーザーの増大により情報の収集から、情報の発信方法、さらには消費者が購買に至る過程にも変化が生じている。
これまでの消費行動モデルといえば、インターネット広告を中心にした「AISAS(アイサス)」やSNSの口コミが大きく影響する「VISAS(ヴィサス)」などがその代表的なものだった。
しかし、近年、注目されているのが、SNSユーザー投稿コンテンツ「UGC」を起点した「ULSSAS(ウルサス)」という消費行動モデルである。
今回は、この「ULSSAS」消費行動モデルとユーザー投稿コンテンツ「UGC」について見ていこう。
「ULSSAS」とは、ホットリンク社が提唱した新しい消費行動モデルである。
SNSを利用している一般ユーザーの口コミやレビュー(UGC)が起点となり、それらにユーザーが「いいね!(Like)」を付けた後、SNS検索(Search#1)が行われ、さらにGoogle、Yahoo(Search#2)でも検索され、そして、それらを判断材料に「この商品を買おう(Action)」となり、最後に「私もこの商品買いましたと拡散(Spread)」される、という消費行動モデルである。
この消費行動モデルの特徴は、芸能人やインフルエンサーなどの投稿が影響し、その投稿に共感することで、消費行動を起こすというものではなく、一般ユーザーの投稿コンテンツ(UGC)が起点になっている点である。
SNSが登場して以来、SNSを使って口コミやレビューなど積極的に配信される時代になった。このSNSでのユーザー投稿コンテンツを集客などマーケティングに活用しようというがUGCマーケティングである。
UGCとは、「User Generated Content」の略で、ユーザーによって生成されたコンテンツを指す。
UGCには、SNSの投稿写真、テキストでのコメント、動画プラットフォームへの投稿、ECサイトのレビューなどがあり、これらを活用したマーケティングを「UGCマーケティング」と呼ぶ。
この「UGCマーケティング」としての代表的なプラットフォームがInstagramやTwitterのコンテンツの活用である。
この「UGC」を活用するマーケティング施策が重要という企業は多く、下の
「2021年 企業のUGC活用における実態調査」では、62.2%もの企業が「とても感じている」と回答をしている。
「アライドアーキテクツ株式会社によるオンライン調査より掲載」
また、下のアンケートによるとUGCを活用している企業では、76.6%の企業がCPA(顧客獲得単価)やCVR(顧客転換率)が「向上した」と回答している。これは大きなメリットである。
また、UGC活用のメリットは、CPAなどパフォーマンスの向上ばかりではなく、UGCを通して企業や企業の製品・サービスに対する信頼性を向上できる点である。
企業が直接商品のメリットを宣伝するより、第三者の一般ユーザーのメリットの方が心に響くことがある。
また、UGCを通して自社製品のファンを発見できること、ファンのレビューを自社運用のSNSにも活用できるところもメリットである。
さらに、UGCは一般ユーザーによって作られたコンテンツであるため、制作費は一切かからず、インフルエンサーの活用に比べ、費用を抑えて活用できる点である。
UGCにはデメリットもある。
UGCは一般ユーザーの投稿したコンテンツであるため、UGCの品質にバラツキがあることや活用できるような投稿が少ない点。
さらに、どのようなUGCがマーケティング施策に適切かわからない、特に高品質なものを見つけることが難しい点である。
一定レベルのUGCとして、ブランド価値にこだわる企業はコントロールしにくいと言える。
デメリットとしてあるUGCを見つける・収集する手段としては、単にハッシュタグで検索、収集するという手段があるが、SNS上で所定テーマで投稿したユーザーに対して報酬などをプレゼントするというキャンペーンが有効である。
例えば、UGCを発生させるために、企業のSNSアカウントで、所定のテーマで投稿していただいたユーザーに報酬や景品をプレゼントするという方法がある。
UGC発生キャンペーンは有名なポッカの事例「#わたしのポッカレモン 夏の投稿キャンペーン」がある。
これは、ポッカレモン100を使った料理やドリンク・スイーツの写真を撮影し、「@pokkasapporo」「#わたしのポッカレモン」の2つをつけて投稿した方の中から抽選で40名の方にレモン商品の詰め合わせをプレゼントするといったキャンペーンである。
2021年8月22日までInstagramとTwitterで同時に実施された。
次にUGCを獲得、収集できたらそれをどのように活用するかである。
それには、いくつかパターンがあるが主なものを3つを解説する。
自社が運用するSNS用コンテンツとしてUGCを再投稿(リポスト)する方法がある。
一般ユーザーのUGCを自社SNS内に掲載することで商品やサービスを身近に感じてもらい、商品イメージの訴求やブランドイメージを定着させることができる。
ECサイトにはカスタマーレビューがあるが、商品詳細ページに商品説明だけではなく、UGCによる商品の使用感やメリットの掲載などは単なるレビュー投稿より信頼性、説得力ある。
ECサイトへのUGCの掲載は、わざわざ別のサイトに行き、口コミなどのチェックの手間も省けるため、即決で購入してもらえる可能性が高まる。
商品のLPや、WEBサイト内にお客様の声、広告クリエイティブとして活用することができる。
商品に対する画像やコメントはリアルな内容なので興味を引き。広告クリエイティブとの活用は、広告感が減り、SNSのタイムラインにも馴染みやすくなる。
ECサイトの運用で商品はたくさん閲覧されているのに、購入に繋がらない、カートに入れてもらえないなどの状況が続いている場合、サイトにUGCを収集し掲載してみてはどうだろう。
UGCを見つけるのは難しいが、UGCを獲得するということは、今後のマーケティング戦略に有効にはたらくだろう。
また、UGCの活用には、UGCの許可が必須である。しっかり許可ととっていただき、出典、クレジットを併記し、正しく運用を行うことががUGCマーケティングを成功の鍵である。
参考:
資料:「企業のUGC活用における実態調査2021」アイランドアーキテクツ株式会社のアンケート調査より掲載
タグ: Eコマース, UGC, ULSSAS, マーケティング