越境ECを構築して、海外販売を始める企業は増加しているが、構築はしたもののなかなか売り上げが上がらない、どうしたら良いのかわからない。
何か手立てがないかなど思案している事業者も少なくないと聞く。
せっかく苦労して越境サイトを構築したのに、「売り上げが上がらない」と海外進出をあきらめるのはもったいないだろう。あきらめる前にもう一度、今回のブログ内容をチェックして気づいたところなどあれば、取り組んでいただき、改善していただけるとありがたい。
今回は「越境ECで売り上げをアップする10の方法」として越境ECで成果を出し続けているお客様の内容などを参考にしながらまとめてみた。
ターゲットユーザー、競合メーカー、自社の強みをもう一度、明確に整理すると良いだろう。
ターゲットユーザーを明確にするとは、ターゲットユーザーの国、性別、年齢層、職業、ターゲットが自社商品を買う理由などである。このターゲットユーザーの情報が明確になっていれば、どんなメディアでリーチすれば良いかが見えてくる。
次に、競合メーカーサイトの分析である。競合サイトの商品ラインナップ、商品のカテゴライズ、商品情報の量、内容、価格。また、決済方法やクーポンなどのセール情報などできるだけたくさん集める。
競合サイトの情報を集めたうえで分析を行う。
分析するポイントは競合他社サイトがどんな商品で、何を強みにしているかを知ることである。
競合他社の強みを知ることで、自社サイトに足りない部分を、つまり自社のサイトの弱点を知ることができるだろう。
また、競合他社にないものが自社にあれば、それが自社の強みということにもなる。
今一度、競合他社がどのような商品でどんな売り方をしているか、確認することで、自社の弱み、自社の強みを整理し、その上で戦略、施策を立てることをお勧めする。
次に必要なのはターゲットユーザーが自社サイトで商品を購入する理由を整理することである。
つまり、自社サイト、自社商品、自社販売の強みの整理だ。
何故、海外ユーザーは、自社サイトに来て、その商品を買うのか、その理由をまとめるのである。
例えば、「商品ラインナップが競合サイトには無い商品を扱っているから購入する」のか、「競合サイトより商品価格が安いから」か、「返品保証があるから」か、「配送時間が早いから」など何を理由に「カートボタンをクリックするのか」を整理すべきである。
越境ECの場合は価格ではなく、扱っている商品力が重要であると感じている。
つまり、「他社にはない商品であり」、「十分な商品説明ある」、「レビュー評価が掲載されている」、「決済方法やお客様にお支払いただく最終金額の明示されている」、「配送にかかる時間がわかる」、「返品保証が明示されている」など、はじめて越境ECサイトで購入するお客様に対して「安心と信頼」を、サイト全体、商品購入ページなどで訴求できていることが重要である。
越境ECではスムーズに買物ができること、高いUIデザインも大事だが、もっとも重要なのはサイト内のテキストによる説明内容である。
サイトの使い方から、商品説明、決済や返品保証に関すること、会社の説明、クレーム対応など、翻訳は機械翻訳ではなく、実際の翻訳者を介した翻訳内容にすべきである。
特に良く無いのは、日本語サイトを単に英語翻訳サイトに変えただけのものである。
なぜなら、日本人が必要とする情報と同じ情報を、海外のユーザーが必要とするわけでは無いからである。
何が必要なのかを考えるには、海外ターゲットユーザーの視点に立ち、サイトに訪れから、購入にいたるまでのストーリーを作ることである。ターゲットユーザーを明確にし、そのユーザーの悩みや関心に寄り添い、その自社サイトの商品がどのように役に立つかを説明することが購買につながるだろう。
もし、越境ECで売り上げが上がらないとお悩みの事業者は是非、今一度、海外ユーザーが商品を購入するまでのストーリーを見直し、越境ECサイトに関して豊富な経験を持っている翻訳者か、ネイティブに一つ一つの商品説明からサイト内全体の英文についてチェックを依頼し、改善すべきところを指摘いただくのが良いだろう。
また、商品の説明と同様に重要なのが、会社説明、配送料、クレーム対応、返品保証である。自社ゴールはあくまで、海外に在住する外国人に対して物を販売するのである。
そのためには、海外ユーザーの不安や恐れをしっかり取り除くことが、購入へ第一歩である。
商品ページの商品説明はカートに入れるボタンをクリックする重要な要素だ。
どんなに良い商品であっても、適切にその商品の良さを十分説明していなければ、購入には至らないだろう。
ターゲットユーザーは何かに悩み、その解決策として、商品を購入しようとしているのである。
自社商品を購入することで、ユーザーにとってどんなベネフィットがあるかをイメージし、商品については出来るだけ細かく説明しなければならない。
つまり、ユーザーの悩みや課題、願望を把握したうえで、その商品と課題や願望に結びつけるコンテンツ(説明文)を用意し、その内容はユーザーが商品を購入することで得られるメリットを書くことである。
さらに、商品ページには配送方法や、送料が記されていることが望ましいだろう。
サイトをオープンしても、それは、砂漠の中にお店を立てたようなものだ。その店が良い商品を売っていることを広告をしなければ、お店は閑古鳥が泣いたままである。
つまり、商品が魅力的で、商品価値もあるのに商品が売れないのは、集客に問題があるのかもしれない。
3Cで行った海外ターゲットユーザーに的を絞り、適切に広告に予算を配分していく必要がある。
Google広告やFacebook広告は、適切にユーザーを絞り、広告配信時間、広告金額を設定できる。その広告結果をフィードバックし、改善しながら適切な広告出稿を行うことが重要である。
まず、リーチしなければならないユーザーは商品を購入することは決まっているが、どのお店にすれば良いか決まっていない「顕在層」へのアプローチである。
この顕在層へ広告によりアプローチし、広告内容とサイト内の商品説明をリンクさせ、コンバージョン率をあげてゆくのである。
Google広告やFacebook広告が海外では代表的な広告メディアである。Google広告は基本的にはユーザーの検索結果に関連する広告で、リスティング広告、テキスト広告、ショッピング広告などがある。また、Facebook広告は「どこに、だれに、どれくらい配信するか」という配信前の設定を効率的に行うことが可能である。
Google広告などのメリットは広告による集客だけではなく、商品購入者や閲覧者のデータを収集でき、それらを「GoogleAnalytics」と連動させ、解析することでより精度の高い、効率の良い集客ができるところにある。
また、Google広告やFacebook広告の広告出稿などは専門的な経験と知識が必要である。
当社ではGoogle、Facebook広告運用代行も可能なので、広告出稿を行いたい事業主のかたはご相談いただきたい。
現地ECモールとは、欧米ではAmazonやEbay、東南アジアではLazadaである。
メリットは集客する必要がないこと、デメリットは、出店料など差し引かれ、薄利多売となる可能性があるということである。
また、AmazonやEbayに出品することで、どんな商品が売れ易いかを知ることができる。
売れ易い商品を自社越境サイトにフィードバックし、キャンペーンなど行うと良いだろう。さらに、モール販売では値引きしてでも購入いただくことを念頭にした方が良いだろう。
つまり、AmazonやEbayで海外ユーザーから購入されれば、顧客のメールアドレスを獲得することができ、メールマーケティングなどで販売促進を行うことができるからだ。現地ECモール出品販売は、たとえ儲けが無くとも、広告費と捉えれば安いもである。
広告で集客し、サイトに誘導する。商品にメリットを感じターゲットユーザーは商品を購入する。
ユーザーシナリオはこれで終わりではない。一度商品購入したユーザーを追客し、リピーターに育てなければならない。
この「ユーザーをリピーターに育てる」ことで、自社の売り上げが上がり、新規顧客を新たに集客できる費用が増え、さらに広告費を投入できるという好循環が生まれる。
追客することで、新規顧客をリピーターに育てる好循環を作ることが、EC成功の最終シナリオである。
自社と顧客の良好な関係を築くことで、継続的な収益維持が可能となるばかりではなく、良質な商品はSNS、口コミで広がり、さらに新しい顧客を呼び込んでくるだろう。
リピーター対策にはいろいろあるが、メルマガ、クーポン、お試し商品、各種キャンペーンなどある。次にリピーター対策の中でもキャンペーン企画について見ていこう。
国内ECサイトだけでなく、越境ECにも行うべきキャンペーンはさまざまある。ここではその代表的なものを取り上げた。
キャンペーン企画は、ターゲットユーザーに向けて適切に行うことが重要である。ターゲットユーザーがそのキャンペーンが「価値ある情報」と捉えるかどうかが重要である。
送料無料キャンペーンは、一定金額以上の商品を購入することで送料が無料になるというキャンペーンである。
そのほかに、送料無料となる総額を下げたり、購入金額にかかわらず送料無料というものもある。
「送料無料キャンペーン」というワードにはインバクトがあり、ユーザーがよく使うものをまとめ買いする行動を誘導するのに効果的だ。
通常価格より安く買える新春セール、サマーセール、クリスマスセール、決算セール。アメリカではブラックフライデーセール、サイバーマンデーセールなどもあり、キャンペーを開催できるチャンスは多い。
セールでは、「今だけ」「3日間のみ」といったキーワードで期間限定感を出すのが効果的である。
セールは短期的なものだが、新規顧客を獲得したり、既存顧客のリピート買いにつながりやすい。
クーポンとは自社サイトで使えるクーポンを配布するもので、ユーザーによって異なるクーポンコードを配布したり、レビュー記入によるもの、SNSのアクション時に発行するもの、特定の商品購入によってクーポンを入手できるようにしたりできたりと様々なパターンがある。
クーポンは期間限定で有効期限があるので、「その期限以内に買わないと損をする」と認識を生じさせ、即効性があるキャンペーンである。
越境ECではサイト構築と同様に、スタッフ体制をしっかり構築することも同じように重要である。
商品登録、コンテンツ作成、翻訳、在庫管理、発送、顧客対応など連携のとれた体制が必須である。
越境ECではECチームにバイリンガルやトリリンガルといったスタッフを確保すると良い。
特に欧米など海外販売の場合、お問い合わせが日本時間と逆転しているので、その時間帯の対応をしっかり行うことが顧客満足度高めることにつながるだろう。
ここは、日本サイトの運営と同様、当たり前のことを丁寧に行う「おもてなし精神」で対応しているか見直してみよう。
新しい市場の開拓には時間がかかると認識すべきである。
成功している越境ECサイトは、売上が伸び始めてから、売り上げの増加率が倍々と増加するまでには、2〜3年はかかっている。最初は微動というケースが多い。
越境ECを構築し、わずか1年程度であきらめてはもったいないだろう。
まずは、3Cを見直し、サイトの翻訳を見直し、集客を実践し、新規顧客を呼び込み、リピーターに育てる、ここまで出来て越境ECのサイクルは回るのである。
それまで(2〜3年)は、売れない理由、課題を見いだし、仮説検証実行し、課題を克服することで、勝ちパターンが見えてくるものである。
一度、勝ちパターンが見えてきたら、アクセルを徐々に踏み込むことで成功へと繋がっていくだろう。
今回は越境ECの売り上げアップの10の方法としたが、今回の内容は越境EC構築時から、Check内容を踏まえて構築して行くことをお勧めする。
特に自社の強みを認識し、ターゲットユーザーに届く商品説明を書き、集客をかけるという部分が重要である。
商品説明のポイントは常に「海外ターゲットユーザーの立場で考える」という点である。
そして、「海外のターゲットユーザー」をしっかりイメージできれば、適切な集客を行うことができ、商品の打ち出し方を工夫することができ、商品の強みの訴求力も増すことができる。
まずは、もう一度、現状を分析検証し、仮説を立て実行し問題点を洗い出し、また仮説を立て、実行するというPDCAサイクルを回してみることではないだろうか。