英国のEU離脱は、EC市場にどのような影響を及ぼすのであろうか。ヨーロッパのEC協会会員で子供むけの玩具をオンライン販売している会社Lucy Locketの代表取締役のPaul Edwick氏のインタビュー記事をピックアップしてみた。彼のビジネスが英国離脱によってどのように影響を及ぼすか、また、ヨーロッパの市場へのインパクト、それに対してどの様に対応するべきなのかを説明している。
ECヨーロッパ・ECファンデーションによる2016年度のヨーロッパB2C市場を調査した所、ヨーロッパ市場はイギリスがトップの34.5%、フランス14.3%、ドイツ13.1%という結果で、ヨーロッパで最もEC先進国と言われているイギリスがトップ、 約18兆円、一人当たりの平均年間購入額3625ユーロ、約40万円という結果であった。
さらに、現在、UKからの輸出先はEUが45%で約半分はEUに輸出されていることになる。 EUでは、越境サイトでのオンラインショッピングが急速に拡大している状況で EU離脱によってイギリス市場はかなりの影響があるかと思われる。
例えば、彼の会社はEU諸国との取引が50%、現在、EU圏内は無税での取引だがBrexit(英国離脱)によって税率がどうなるのか、それによって取引形態も異なってくると思われる。 実際にこれに備えて多くのイギリスに存在するインド会社がオランダや他のEU国内への移転を開始しはじめている状態だ。
しかし、英国側が法人税を15%に引き下げるということでこれらの現地法人を引き留めようと働きかけている。
現在のところ、どのように税制や規定などが変更されていくのかは定かではないが、このままだとイギリスの市場価格が当然のように高くなり、市場に危機をもたらす可能性がある。 イギリスとEUとの貿易取引が減退していくことはヨーロッパ経済においてかなりのリスクがあると思われる。
これに対して、Edwick氏は、逆にこれが彼のビジネスの発展の起爆剤になるのではと考えているようだ。 すでに英国離脱のニュースを受けてポンドが急落しており、さらなる経済ショックが発生するのではという噂もあるが、彼のビジネスにおいては、商品は主にアメリカから仕入れており、ポンドが高くなると単価を安くできるので、他のヨーロッパ諸国の競合より安く製品を提供でき、売り上げ増の可能性もあり、彼のビジネスは、それ程のインパクトはなさそうだ。
しかし、一時的な経済不況は免れない。これは既に国民投票でも伝えられており想定内で、イギリスだけでなくEU全体への影響も大きいと思われる。さらに、最も影響を受けるのはこの越境ECビジネスではないかと彼は言っている。
国際貿易国務長官のLiam Foz氏は、EUとの貿易規制が厳しくなる代わりに、EU圏外の国と自由貿易も考えられるといわれている。 EU圏外との取引条項は従来と変わらないうえ、規制緩和される可能性がある。
ここでEdwick氏は、彼のビジネスではアメリカ、オーストラリア、日本とのビジネス取引のシェアを拡大し、さらにEU圏内であるアイルランドの会社と提携することによりEU圏内で従来と変わらない取引形態を保持できる方法もあると述べた。
今後、イギリスからオランダなどのEU諸国への移転がどれだけ進むのか、税制がどのように変わっていくのかが注目される。 オランダは小国で外国企業を特に誘致しており、法人税なども会社の形態によっては有利なため、様々な会社が移転するだろと予測されている。
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