日本は少子高齢化がますます加速し、日本の人口は今後、減る一方と予想される。
つまり、内需を拡大するには限界があると言えるだろう。そこで、企業が目を向けるべきは外需である。内需ばかりではなく外需、輸出に転じ、成長するという将来像である。海外市場向け輸出は現在、多くの分野で成長しており、さらに越境ECもここ数年、拡大、成長を続けている。
6月27日、経済産業省は『通商白書2017』を公開し、その中で越境ECの課題などについてのアンケート結果の一部が掲載されている。アンケートによると越境ECの課題で注目すべきは「決済システム」と「配送リスク」が25%で上位を占めていた。
今回は、この『通商白書2017』の掲載データを元に越境ECの課題などについて見て行こう。
越境ECで、日本から海外に向けて商品を販売したことがある企業の割合は、大企業で約5.5%、中小企業では約8%と紹介している。
中小企業は大企業より越境ECを利用している割合は高いが、諸外国に比べるとその割合は低い。越境ECのハードルをさらに引き下げ、政府主導で海外市場の開拓に取り組みが期待されるところだ。
アンケートによると、越境ECに関するメリットとして、「海外特有の市場・ニーズの開拓」「初期導入コストの低さ」「運用・管理コストの低減」などが挙げられている。
越境ECは海外顧客へのアクセスが容易であること、また、海外市場の情報が少なく、輸出のネットワークを持たない中小企業にとっては、海外市場の開拓には越境ECは有効な手段と言える。
日本貿易振興機構の調査によると、越境ECに関する課題として、「決済システムの信頼性」と「商品配送にかかるリスク(破損、正確性)」がそれぞれ約25%で上位となっている。
また、「必要な人員の不足」「現地語への対応」「制度や規制に関する情報不足」「物流コストが高い」「通関手続きの煩雑さ」などを課題に挙げられる割合も多くあった。
越境ECは海外市場に気楽にアクセスできるメリットがある一方で、輸出の手続きなどに負担が求められること、クレジットカードの不正利用といった支払いにかかるリスクが生じることが挙げられている。
越境ECをうまく利用して、今後も中小企業が海外市場へのアクセスを拡大するには、こうした課題に対応していくことが必要だと『通商白書2017』では指摘している。
越境ECの場合、ほとんどがクレジットカードなどでのオンライン決済での支払いとなるだろう。その際、偽装カードが使われたり、他人のカードが不正にしようされるなどと行ったことがある。この不正使用が認められると、クレジットカード会社は代金支払いを拒絶する「チャージバック」が行われる。
このチャージバックが行われると、商品を発送したにも関わらず、代金は支払われない。カードが不正利用された場合は、ショップ側は損をすることとなる。
このリスクを回避するには「代引き決済」にするなど考えられるが、海外販売では国内にあるような代引きサービスはないので、不正利用については商品と代金を回収することはできない。
こういったリスクを回避するために下記にあるような様々なチャージバック補償保険サービスがあるので、それらを活用すると良いだろう。
海外へ商品を発送するには、通関手続き(インボイスの作成)、関税、現地消費税の支払いなどを経て発送される。この通関が行われないと、商品を輸出したり輸入したりすることができない。さらに配送にいたっても、配送中に商品が破損したり、商品が購入者の手元に届かないなど、海外配送に対する信頼性などのリスクがある。
海外に荷物を送る場合、利用するのが日本郵便のEMSや、ヤマト、佐川、FedEx、DHL、UPSなどが一般的なところである。これら配送においては信頼性の高いシステムではあるが、配送リスクを少しでも軽減するには、商品発送から、通関処理、消費者に商品が到着するまで、下記にあるような一貫管理してくれるサービスもあるので利用してみると良いだろう。
また、その他にも発送代行サービスを利用することもできる。Live Commerceでは「ロケーションズ – 海外発送」プラグインが用意されている。こちらを利用すれば、発送に関する作業は全てアウトソーシングすることができ、物流に関する不安を軽減してくれるだろう。
公表した経済産業省の『通商白書2017』では世界の越境EC市場規模についても掲載されている。
グローバルでの越境EC規模は2017年に5000億ドル(約5兆6000億円)を超え、2020年には約1兆ドル(112兆円)に達するとの数値を掲載している。(最上部のグラフを参照)
越境ECには大きな海外販売のビジネスチャンスがあるが、多くの日本の出店者にとっては未知の領域かもしれない。
しかし、今の日本が直面している少子高齢化などの人口問題、ものが売れないという経済問題を考えると海外販売、海外展開は取り組むべき領域と言える。
「通商白書2017」にもあるように、越境ECには決済のリスク、配送のリスク、さらには言語、現地法律など、障壁が多いのも事実である。しかし、ここで越境ECを諦めてしまっては今後の発展は望むべくもない。先ずは、十分な計画と準備、調査を行い一歩づつ、着実に進めて行くことが賢明だ。
Live Commerceでは、越境ECに関してのご質問、お問い合わせなどのご相談にサポート対応している。
また、中小機構、越境EC・国内ECの無料相談サービスなどでも対応しているので、不明点などは相談されることをお勧めする。
出典:『通商白書2017』http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2017/index.html