越境EC事業者ならご承知のことと思うが、中国ではGoogle検索はもちろん、Facebook, YouTube,Twitter,LINEも使えない厳しい情報規制が敷かれている。そして、新たに2017年6月1日より、ネットに関する新しい法律「インターネット安全法」が施行された。
この法律は中国で収集した個人情報や重要な情報を中国国内に保管することや国外に持ち出しを禁止することなどを法律化したものだ。
「インターネット安全法」は日本企業ではまだ、認知度は低いが、この法律に違反すれば、罰金や事業認可取り消しなどが科せられるため、越境EC事業者は注視する必要がある。
今回は、この中国の「インターネット安全法」について見ていこう。
中国インターネット安全法は、インターネットから入手された個人情報の保護やインターネット詐欺への罰則、情報基地施設に対する外部サイバー攻撃に対する処罰が明文化されたものである。
個人情報の保護、インターネットセキュリテイ、インターネット詐欺の取り締まりが主な内容で、これにより、中国のインターネットのレベルが高まるというところが伝えられている。
この法律の対象となるのは、中国企業、中国に本社を置く外資系企業、越境EC事業者、中国ユーザー、海外ユーザーとなっている。
【北京時事】によると、6月7日、1日に施行された「インターネット安全法」を根拠に、中国版ツイッター「微博」など、ネット関連の7業者に対して「低俗なアカウント管理の強化」を指示した。
この内容を受けて、ネット関連7業社は芸能関係のゴシップを発信していた60ものアカウントを直ち閉鎖した。
閉鎖されたアカウントは「芸能界の秘密」「スターを探せ」などで、これらは、「インターネット安全法」の「ネットを利用して他人の名誉やプライバシーなど合法的な権益を侵害してはならない」による処置だという。
施行直後のこの行政指導は、「インターネット安全法」を根拠に、言論統制の強化として利用された事例で、この傾向は、今後ますます強まるだろう。
上記、アカウント閉鎖の処置でも見られるように、何らかの条項違反理由から、越境ECで売られている日本商品、海外商品などの突然の締め出し、もしくは数量など販売制限などの可能性もありうる。
さらに、中国にサーバーを置いた越境ECの個人情報などを、国内でインバウンドに活用した場合、違法となり罰則を課せられるなど、仮定のレベルであるが考えられる。
中国にサーバーを設置している企業や中国のサーバーを介して越境ECを行っている事業者は情報管理には十分に注意する必要があるだろう。
中国では日本では考えられないほど、情報規制がとられており、そして個人情報も管理されている。
今回の「インターネット安全法」は、これまでのインターネットの規制をさらに一歩進めたものであり、インターネット上の個人情報や、ビジネスを通じて企業が得た個人情報を中国政府が管理できることを、はっきり制度化したものなのである。
7月5日現在、海外企業に対して「インターネット安全法」により何らかの規制や制限が発生したというニュースはないが、同法を当局が都合よく解釈し、管理を強めることにより、多くの外国企業事業者への影響がでないか、懸念されるところである。