情報入手がテレビなどマスメディアから、パソコン、さらにスマートフォンに変わり、そして、SNSへと変化しようとしている。
広告もその変化に合わせるように、テレビなどのマス広告から、PCデジタル広告、SNSメディア広告、さらに最近ではインフルエンサー広告、つまり、「インフルエンサーマーケティング」が重要視される傾向にある。
インフルエンサーというと、中国のKOLを連想されるが、アメリカでもインフルエンサーによる広告が大きな市場(経済効果は約560億円ほど)となっており、今、最も急成長しているメッセージ発信方法の一つとなっている。
今、スマートフォン、SNSの時代となり、多くのフォロワーと広いリーチを持つインフルエンサーの人気を利用し、商品を宣伝し、アピールするのがインフルエンサーマーケティング戦略である。
今回は、アメリカで急成長するインフルエンサーマーケティングについて、その現状や注目のプラットフォーム、インフルエンサー起用のポイントなどをまとめた。
以前のブログ『費用対効果が高い!「インフルエンサーマーケティング」とは』でも記したが、インフルエンサーマーケティングについて簡単に説明すると、「インフルエンサーマーケティング」とは、YouTubeやInstagramなどのSNS、ブログなどで数万人から数百万人のフォロワーに影響を与える人物(インフルエンサー)を起用し、商品やサービスをPRしてもらうマーケティング手法である。
「インフルエンサーマーケティング」の特徴は「何をいうか」ではなく「誰がいうか」がポイントである。さらに、ターゲティングをしっかり行えるところである。
インフルエンサーのフォロワーがどのようなユーザー層であるかを知り、「届けたい情報を、届いて欲しい人に、より届きやすくするPR」を行うことができる。
急成長するソーシャルメディアから発生した「インフルエンサーマーケティング」は費用対効果高く、必要とされる場所で確実にエンゲージメント生み出すマーケティング手法なのである。
アメリカではインフルエンサーマーケティングがはっきりと主流となっているようだ。
前段でも述べたが、従来のマスメディア広告では、幅広い層に情報発信ができても、届けたいターゲットへの情報は届きにくい。
届けたいターゲットへ確実に情報を届けるには、多くのフォロワーを持つインフルエンサーにPRを依頼することで可能となり、デジタルコンサルタントのShane Barker氏も「インフルエンサーマーケティングは、現在最も成長著しいマーケティングチャネルの一つだ」と語っている。
アメリカで行われる世界最大規模のWEBマーケティングEXPOであるPUBCONで公表された数字に見ると、アメリカでは92%の人々が他の情報ソースよりもインフルエンサーからの情報を信じている。なぜなら、Googleの検索結果が恣意的であるという考え方がアメリカでは多いからだと言うから驚きだ。
また、費用対効果をみても、「インフルエンサーマーケティング」は他のWEBマーケティングに対して11倍の効果があるとし、1ドルの投資に対して6ドル50セントのリターンが見込めるとも記している。
さらに、アメリカのマーケッターの71%がインフルエンサーマーケティングが最も効果的な方法だとしている。その根拠を整理すると下記内容である。
アメリカではインフルエンサーマーケティングが浸透しており、マス消費者ではなく、個人消費者に向けて確実に、効果的に商品やブランド認知、購買意欲を高める施策として「インフルエンサーマーケティング」は有効な手法として定着している。
しかし、効果があると知りながら、日本からアメリカ消費者向けキャンペーンを企画し、インフルエンサーを起用するにはなかなか敷居が高い。つまり「初めの一歩」が踏み出すことができない企業が多い。
失敗しないためには、まずは、すでに実績のあるインフルエンサーマーケティングマネージメント会社のプラットフォームを利用するのが良いだろう。
ここでは、代表的なインフルエンサープラットフォーム5つを紹介する。
(1)Upfluence
「Upfluence」は120万人以上のインフルエンサーデータベースで、インフルエンサー検索では、20以上のフィルターが使用可能で、企業やキャンペーンに適したインフルエンサーを見つけ出すことができる。利用料金も比較的安価なのが特徴である。
(2)NeoReach
「NeoReach」は、300万人以上のインフルエンサーを管理している巨大なプラットフォームである。検索機能は40以上と豊富で、最適なインフエンサーだけではなく、最適なオーディエンスまでも絞り込むことができるようだ。
(3)Tagger Media
「Tagger Media」の特徴は、インフルエンサーオーディエンスの解析に重点を置いているところだろう。そのため50を超える検索基準からインフルエンサーを選択することができる。
「Tagger Media」ではキャンペーンに対する適切なオーディエンスを見つけ出すことにより、そこからインフルエンサーを割り出すことで、企業の要求に真にマッチするインフルエンサーを探し出すことができる。
(4)ASPIREIQ
「AspireIQ」の特徴は”uickMatch”というインフルエンサーと企業のマッチングを助ける機能である。この機能は過去の検索に基づいた、多数の提案を行ってくれる。
さらに、ソーシャルリスニング機能と呼ばれる機能は、自社ブランドがどのように話題なっているかを監視し、言及しているユーザーリストをまとめることができる。
そのリストからインフルエンサーを探し出すこともできる。インフルエンサーとして登録には審査があり、在籍するには優れたインフルエンサーである必要がある。
(5)Traackr
「Traackr」は2008年に創業したインフルエンサープラットフォームとして歴史あるプラットフォームである。
特徴は企業とインフルエンサーの関係を大切にしており、特定のインフルエンサーグループと長期的な関係を構築することにより、企業の継続的なマーケティングをサポートするところである。
インフルエンサーを起用してキャンペーンを行なったが、効果が上がらない。マーケティングにつながらない。さらに悪い例としては、企業のイメージダウンに繋がる場合もある。インフルエンサーは企業側でのコントロールを行おうとすると逆効果になることもあるので、そのさじ加減が難しい。
キャンペーンを成功させるために最も大切なのが、どんなインフルエンサーを起用するかということである。
インフルエンサーは企業の「顔」として商品、サービスなどをPRするわけだから、ここはしっかり押さえておきたい。
そして、インフルエンサーを起用する際のチェックポイントは「R.I.S.E.」の4つである。
この4つのチェックポイントを整理し、インフルエンサーを起用することで、よりキャンペーンの成功率をアップすることができると考える。
一つずつ見ていこう。
結果とは、インフルエンサーを起用することで到達すべき結果の明確化である。
つまり、数値的目標である。売り上げ数値、新規ユーザー獲得数、獲得フォロワー数、エンゲージメント数など定量化できる目標数値をはっきりさせて、インフルエンサーに説明すべきである。
目標数値化ができれば、その数値をベースに適切なインフルエンサーの起用もでき、インフルエンサーの過去キャンペーン実績と照らし合わせ、達成目標を説明できるだろう。
インターネット上でのコミュニケーションの基本は「誠実さ」である。
インフルエンサーはもちろん、企業においても誠実さがなければならない。インフルエンサーは仕事に対して誠実であり、さらにフォロワーに対して誠実であること。
つまり、インフエンサーのフォロワーの増加が、作為的な方法を用いることなく自然とフォロワー数が増えていったインフルエンサーであることである。
また、企業は商品やサービスをインフルエンサーに純粋に良いと感じてもらえるように説明し、その気持ちを「誠実に」発信していただくことである。
インフルエンサー起用に対しての戦略的に起用するポイントは以下の内容である。
インフルエンサーの起用はインフルエンサーが持つフォロワー数ではエンゲージメント数で決めるようにする。ファロワーの多いインフルエンサーは必ずしもエンゲージメントをもっているとは限らない。エンゲージメント数とは投稿一つに対してのフォロワーの反応である。フォロワーのコメントであり、フォロワーのシェア数である。
まだまだ、流動的で正確な数値はないインフルエンサーの料金体系であるが、アメリカのソーシャルメディアエージェンシー「Attention」が昨年その価格体系を公開している。インフルエンサーの代表的な発信メディア、instagramとYouTubeについてみて行こう。
「Attention」では、Instagramのインフルエンサーに対してフォロワー10万人あたり1000ドル(10万586円)という基準を設けてギャランティを支払っている。
日本円に換算するとフォロワー1人当たり1円程度が基準。
例えば、フォロワー100万人のインフルエンサーに対しては10,000ドル(約106万円)が基準となる。この基準値をベースにエンゲージメント率やキャンペーン期間やクライアント側の予算などを調整し、支払う金額を決めることになる。
また、フォロワー数5万未満のマイクロインフルエンサーの場合は、250ドル(約2万7000円)からスタートしている。
YouTubeの場合の基準値は、フォロワー10万人あたり、2000ドル(21万1,800円)が基準となっている。
YouTubeの場合は日本円に換算するとフォロワー1人当たり2円程度が基準。
YouTubeの場合は動画なので撮影や編集など製作となるので、料金は高くなる。
例として、チャンネル登録者数5万人以上のYouTuberの場合、動画1本製作し投稿した場合、フォロワーが10万人毎に2000ドル(21万1,800円)を支払うという計算になる。
チャンネル登録者数百万人以上いるメガYouTuberとなると、2、3作品の投稿で1万7600ドル(約187万円)のギャランティが発生し、さらに動画内にリンクを追加すると2万2000ドル(約233万円)の追加請求されたという事例もある。
YouTubeの価格設定に関しては、動画の長さや製作時の設定など一つの動画製作、投稿あたり、20万〜50万ドルの幅があるとしている。
海外ではインフルエンサーマーケティングの市場規模は成長するビジネスとして拡大している。
それは、インフルエンサーは企業と顧客の分離が進む中、企業と顧客を繋ぐ重要な役割を果たしているからだ。
遅れていると言われる日本でも、最近ではインフルエンサープラットフォームが充実し、活用事例も増加傾向にある。
越境ECの海外マーケティングで、アメリカの若い女性に対して、ブランド認知や化粧・美容品やファッション関連の商品PRなど、訴求力が必要なキャンペーンでは最善策の一つとなり得るだろう。
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タグ: アメリカ, インフルエンサー, 海外向けマーケティング