アメリカのEコマース市場規模は、世界第2位である。2018年のEC市場アメリカEC市場売上額は、5,231億米ドル(約57兆円)、前年比15.5%増で右肩上がりの上昇率を示している。EC化率も年々上昇し、2018年は9.8%と年々1%の上昇である。
アメリカではJapanブランド商品の人気が高く、ソニー、任天堂、資生堂のゲームソフト、オモチャ、フィギュア、化粧品などがよく売れている。
では、日本産の食品はECはどうなのだろう?
今年、6月、日本貿易振興機構(JETRO)から公表された「米国におけるEC利用者実態調査」によると、日本の食品は認知度が高いという結果が公表された。
今回はこの「米国におけるEC利用者実態調査」の中の「日本食品の購入意欲測定」にフォーカスしまとめた。
アメリカの人口は約3億2,720万人である。その中でオンラインショッピング利用者は2億7000万人を超えている。2018年のアメリカのEC市場規模は、5,231億米ドル(約57兆円)となっており、これは日本のEC市場規模の約3.2倍である。
さらに、市場の伸び率も二桁台で日本より高い数値である。アメリカのEコマースでよく購入される商品は、電化製品、おもちゃ・趣味・スポーツ用品である。最近では、オンライン食品市場からの食品の購入が急増しているとも報じられている。
Eコマースで利用されるサイトは、アメリカではAmazon.comが圧倒的シェアを誇っている。
2018年のeMarketerの資料を見ると、Amazonが49.1%と圧倒的だ。ついでeBayの6.6%、Appleの3.9%と他を寄せつけない。
そして、アメリカでは、オンラインショッピングをするときに、利用が多いのが、Googleにキーワードを打ち込み、商品を調べる「Googleショッピング広告」である。
データフィード広告である「Googleショッピング広告」は、ユーザーの入力したキーワードにマッチした商品の画像や価格が直接表示されるもので、広告にかかる費用対効果が高く、物販に特化した検索連動型広告である。
アメリカの調査企業「Adthena」が、アメリカとイギリスの24万の業者が出稿した4000万件の広告を分析すると、アメリカの小売業者らは検索連動型広告の予算の76.4%を、「Googleショッピング広告」に投じていることがわかった。さらに、クリックの85.3%が「Googleショッピング広告」から発生していることも分かった。
日本貿易振興機構(JETRO)は、今年2月〜3月、アメリカの消費者の食品・飲料の購入実態を把握することを目的としたヒアリング調査を行なった。
ヒアリング項目はECでの食品・飲料の購入頻度、1回当たりの平均購入金額、ECで購入される品目、ECサイトの情報入手方法などのほか、日本産食品の認知度やECでの購入意欲についてもヒアリング調査を行い、その調査結果を公表した。
ここでは、「日本産食品に関する内容」を取り上げ、越境ECで日本の食品を販売するときの参考として整理した。
「米国におけるEC利用者実態調査」では、日本産食品・飲料11品目の購入意欲想定についても調査し公表している。ここではその内容をまとめた。
調査対象となった品目は、日本の調味料、日本のチップス等、日本産緑茶、和菓子、和牛、日本のスナック菓子、日本の調理済み食品、日本のインスタントラーメン、日本産シーフード、日本酒、焼酎の11品目である。
その概略を述べると、調査対象11品目すべてについて認知度は90%を超え、高い認知度であることが分かった。
購入意欲の高かった品目は、「日本のインスタントラーメン」、「日本産緑茶」、「日本のチップス等」、「日本の調味料」であった。
逆に低かったのは、「和牛」、「日本産シーフード」で鮮度、品質を目で見て確認する商材は低かった。
また、アメリカ人の日本産食品の購入パターンは、大型スーパーでも買うが、スペシャルティストア、オーガニックストア、ファーマーズマーケット、そしてオンラインでも食料品を買うとなっている。
それでは、日本産食品で、アメリカ人の認知度、購入意欲の高かった商品から順に見ていこう。
回答は、「購入経験がある、また買いたい」、「購入経験はないが、買ってみたい」、「購入経験はあるが、次は買わない」、「購入経験はない、買いたくない」、「知らない」から選択式アンケートとなっている。
日本のインスタントラーメンは認知度が98%と高く、「また買ってみたい」は36%とリピート購入希望は11品目で最高位で、「買ったことがないが、買ってみたい」が40%と購入意欲も高い優良食品である。
日本茶も認知度が高く、知らないとした人はわずか2%である。
また、「購入経験ないが、買ってみたい」とした人が251人と多く、関心度も高い食品である。
日本のチップス、クラッカー、せんべいなどのお菓子も認知度は98%と高い。
日本産緑茶と同様、購入経験ないが、買ってみたい」とした人が241人と多く、関心度も高い。
日本の調味料も知らないと答えた人は、3%と認知度は高い。
すごいのは、「購入経験ないが、買ってみたい」とした回答者で、274人と関心度が非常に高い食品である。
先のチップス、クラッカー、せんべい以外のスナック菓子という意味だろうか?
日本のスナック菓子は認知度が98%と高い。「購入経験ないが、買ってみたい」とした人が239人と多い傾向である。
日本酒も96%と認知度は高い。
さらに「購入経験ないが、買ってみたい」とした人は284人、49%と約半数を占め、日本産食品11品目の中では第一位の関心度である。
電子レンジなどで温めるだけで食べれる日本の調理済み食品についても、「知らない」と答えた人は3%と認知度は高い。
「購入経験ないが、買ってみたい」とした人は263人と約半数を占めている。
焼酎については、知らないとした人は5%である。
「購入経験ないが、買ってみたい」とした人は267人で全体の46%を占め関心度は高い。
和菓子については、知らないとした人は5%で、認知度は高い商品である。
「購入経験ないが、買ってみたい」とした人が256人と45%を占め、関心度は高い。
和牛は認知度は高く、知らないとした人は5%である。
「購入経験ないが、買ってみたい」とした人が235人と多い傾向であるが、「買いたくない」という人も197人、34%と多い傾向にある食品である。
日本産シーフードについては「知らない」人は6%と11品目中、一番高い食品である。
「購入経験ないが、買ってみたい」とした人は 182人で31%と関心度は高くなく、買いたくないは246人の43%とこちらも11品目中、一番高い商材である。
尚、アメリカ消費者に日本から越境ECで食品を販売する場合、農林水産物など食品は輸入禁止、または輸入制限があるので気をつけなければならない。
それらに該当する商材をアメリカ消費者に販売する場合は、米国食品医薬品局(FDA)に事前申請し、登録、許可が必要となる。
詳しくはこちらで、調べることができる。
アメリカの輸入規制品について:JETRO「日本からの輸出に関する制度」
日本貿易振興機構(JETRO)「米国におけるEC利用者実態調査」内容の日本産食品、11品目については「知らない」と答えた人は10%未満であり、認知度が高いことがわかった。
特に「日本のインスタントラーメン」が認知度、購入意欲ともに高い食品であったことは、予想外の結果である。
そして、この調査結果から、日本産食品の「認知度が高い」がそのまま、購入率が高いわけではないということと、「購入経験はないが、買ってみたい」とした購入意欲の高い人に今後はいかに買っていただくが重要である。
アメリカ向け商品は、競合他社との「差別化」を図ること、そして、商品ベネフィットを強調した、サイトの商品ページを作りこむことだろう。
そして、アメリカAmazon.comに出品して、販路を広げ、独自ドメインならば、「Googleショッピング広告」に出稿することが成功の鍵となるだろう。
ブログ参考:
日本貿易振興機構(JETRO)「米国におけるEC利用者実態調査」
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