先週11月16日、ドイツ拠点の世界的な市場調査会社GfKは、「Anholt-GfK 国家ブランド指数(NBI)2017」の結果を発表した。これは、世界50カ国のブランド力を測定したものだが、それによると、1位はドイツ、2位はフランス、日本のブランド力は4位という結果が発表されている。
また、観光庁は10月15日時点で、訪日外国人客(インバウンド)数は2379万1,500人となったと発表した。この数値は、昨年2016年のインバウンド数、約2404万人を超えることを予想させる数字である。
また、2017年7-9月期の訪日外国人旅行消費額は1兆2,305億円であり、前年同期(9,716億円)に比べ、26.7%増加。訪日外国人1人当たりの旅行支出も前年度に比べ増加しているようだ。
インバウンド市場は今年も前年を上回ることは間違いない状況であるが、今回はインバウンド観光客の人気の観光地、人気の商品などについて調べてみた。
※インバウンド(Inbound)とは、外国人が訪れてくる旅行のこと。日本へのインバウンドを訪日外国人旅行または訪日旅行という。
世界最大の旅行サイト「トリップアドバイザー」が投稿された旅行者からの口コミ評価や予約関心度をもとに、外国人に人気の日本の観光地をランキングした「トラベラーズチョイス™世界の人気観光地ランキング2017」を発表した。
1位は4年連続で「伏見稲荷大社」(京都府京都市)、2位「アキバフクロウ」(東京都千代田区)、3位「広島平和記念資料館」(広島県広島市)などとなっている。 また、下記表が1位から30位までの日本の観光地ベスト30である。
伏見稲荷大社は全国に約3万社あるといわれる稲荷神社の総本社である。初詣では近畿地方の社寺で最多の参拝者を集めるところでも有名である。
写真はJR東海のCMでも有名な圧巻の千本鳥居。
秋葉原駅から徒歩2分。本物のフクロウと触れ合えることで口コミで広がったフクロウカフェ。
アキバフクロウとは ”フクロウ”と”癒し” がリンクしたフクロウに癒されるセラピーカフェである。
広島平和記念資料館は、「原爆資料館」又は「平和資料館」とも言われ、重要文化財である西側の「本館」と、東側の「東館」から成り立っており、広島原爆の人的、物的被害に関する実物、ジオラマ、模型などで展示構成されている。
東館は今年4月26日にリニューアルオープンした。
厳島は「安芸の宮島」とも呼ばれ日本三景のひとつである。
また、厳島神社は古くは「伊都岐島神社」とも記され、全国に約500社ある厳島神社の総本社であり、ユネスコの世界文化遺産に「厳島神社」として登録されている。
東大寺は奈良時代に聖武天皇が国力を尽くして建立した寺である。
「奈良の大仏」として知られる盧舎那仏(るしゃなぶつ)を本尊とした、華厳宗大本山の寺院である。 1998年には古都奈良の文化財の一部として、世界遺産に登録されている。
表を見ると、今回初登場は22位の”マジックバー フレンチドロップ”、コメディーショーが楽しめる23位の”ROR コメディー”、イルミネーションが美しい”なばなの里”があるが、初登場も含め、日本人に馴染みのない場所がいくつもランクインしていることが見て取れる。
これは、インバウンド観光客がモノ消費から、サービスや体験を楽しめるニッチなエリアにスポットを当て、観光しているということを示している。
2017年4月から6月のデータではあるが、日本百貨店協会が発表している訪日外国人観光客の売上高、来店動向のデータよると、いずれも前年同月を上回る結果となっている。
下記表がその内訳であるが、免税店の売上高141.4%と消耗品(化粧品や食料品等)売上183.2%が上昇しているようだ。
人気のあった商品では、化粧品が最も人気が高く、2位にハイエンドブランド、3位に婦人服飾雑貨となっている。これらは日本の高品質、ブランド力に安心感と信頼をもって選ばれていると言えるだろう。
2016年の集計によると、訪日外国人客(インバウンド)数約2404万人のうち637万人(約27%)が中国人、さらにインバウンド消費額3兆7476億円のうち、1兆4755億円(39%)を占めているのも中国人である。
さらに4月から6月の免税手続きカウンターに来店している訪日外国人観光客でも、最も多いのが中国本土からの観光客となっており、中国はインバウンド市場においては最重要顧客である。
中国人インバウンド消費は2016年に爆買いは終わったと言われる中、2017年も訪日中国人の消費パワーは2015年ほどではないが、衰えていないように感じる。
以前のように家電量販店などで爆買いする光景が見られなくなっただけで、訪日中国人の消費は家電商品から日本の高品質化粧品や医薬品、婦人服飾雑貨などの傾向に変化しただけと言える。
インバウンド市場は観光客の訪問エリアの変化、中国人の爆買い消費の変化などを見ると、単純に観光を、物品購入を重視する、「モノ消費」から、サービスや体験を重視する「コト消費」へと変化していると考えられる。
つまり、インバウンド市場では”おもてなし”が重要なキーワードなのである。 宿泊施設や観光施設、小売店などでは、インバウンド観光客に対して”おもてなし体験”を通して、消費を喚起させることが必要なのである。
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