インバウンドECサイトから越境ECサイトへ

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4月27日、電通は2018年1~2月に実施した「ジャパンブランド調査2018」の結果を発表した。
この調査は世界20か国・地域を対象に、日本に対する好感度や訪日旅行意向などをアンケート調査したものだ。
それによると、「日本のことが好きな国・地域」のとトップは同率で台湾、タイ、フィリピン、ベトナムとなっている。
訪日旅行のスタイルでは「SNS映えするフォトスポットをまわる」が2年連続で上位で、食よりインスタ映えする場所がトレンドのようである。
また、アメリカにおいては興味・関心では全てのエリアで「日本食を食べる」がトップであった。この結果を見ると、インスタ映えする観光地、さらに日本食などのグルメスポットはそれらをWebやSNSで情報を拡散させ、ジャパンブランドをもっとPRする必要があるだろう。
今回はインバンド対策のためのWebサイト構築、さらに越境EC対策などについて見ていこう。

 

●インバウンド対策の第一はWebサイトの翻訳ページをつくること

基本は外国語Webサイトから 2017年の訪日外国人客の人数は2,869万900人。前年の2,403万9,700人から19.3%の伸び、消費額は4兆4,161億円と過去最高額を記録した。
人気商品は化粧品で2017年10月の単月だけで、約280億9千万円も売り上げている。 外国人が日本に来て一番困ったことは、「コミュニケーションが取れない」がトップである。
このあたりの対策、つまりインバウンド対策を今後、柔軟に行う必要があるだろう。

インバウド対策には様々なアプローチがある。例えば、Webサイト、ポスター、チラシの多言語化、そしてホテルや旅館、観光地での外国語案内または、外国語接客、無料WiFi設置、海外決済の導入などである。

店舗や企業で行うインバウンド対策で何を一番最初に行うべきか問われれば、先ずは自社のWebサービスや自社サイトを外国人向けに翻訳することだろう。
まず、サイト内容を言語別でページを作ることで、海外にいる外国人に対しても、さらに訪日している観光客にも同時にアピールすることができる。 翻訳は英語、中国語(簡体字)(繁体字)、韓国語が基本である。
自社の店舗の住所、案内図、メニュー、ニュースなどトップページから多国語の翻訳ページことで、外国人の観光客はグッと利用しやすくなる。また、Webサイトで外国人の信頼感を得るためには、翻訳は、ネット上にある無料サービスなど不正確なものではなく、正確なものにすることが重要である。

 

●自社Webサイトに呼び込むWebマーケティングとは

インバウンド対策では、Webマーケティングは重要なポジションだ。Webマーケティングとは、「一方的に商品を売り込む」のでは無く、情報を必要としている人たちに「見つけてもらうこと」を目標としている。 インバウンド市場は今や4兆円市場である。
外国人に店舗や観光地を認知してもらうのは、自社サイトに呼び込むことが重要である。 そして、自社サイトに外国人を呼び込みための手法がインバウンド対策におけるWebマーケティングである。

インバウンドサイト例

 

●自社Webサイトを中心にしたWebマーケティングのポイント

 

(1)訪日前の外国人に獲得はWebサイトの翻訳から

Webサイトに掲載している、サービス、商品の外国人向けに翻訳すること。 その結果、訪日観光客が実際にお店に来たり、商品に買ってもらう可能性が上げることができるだろう。翻訳は英語ばかりではなく、需要を見ながら、中国語、ロシア語など、ターゲットに合せた現地語に翻訳することがインバウンド対策になる。
さらに、免税店申請で免税取得ができれば、免税ロゴをECサイトのトップページに目立つよう配置する。

免税マーク

 

(2)仲介サイトに登録、口コミを充実させる

宿泊施設では「Booking.com」、外国人が日本の観光地を参考にするのは「tripadvisor.jp」などなどである。それらポータルサイトに登録することで、外国人の目に止まり易くなるだろう。 さらに、口コミが充実するようになれば、お店の信頼度が高まり、結果、より多くの外国人が訪れることになる。

bokingサイト

 

(3)アンケート調査を実施し、訪日観光客の流れを把握する

アンケートは訪日時が中心となるが、「外国人がなぜその観光地を訪れたのか」、「なぜ、その商品を買ったのか」、「訪日前の情報源は何か」など、アンケート調査をおこなう。
外国人の日本に来るまでの行動決定、宿泊予約などのプロセスを知ることで、どのサイトに広告を出せば良いか、自社サイトへどのように誘導すれば良いかなど計画し実施することができる。

 

(4)SEO対策として、現地語でのブログページを作る

外国語の自社商品、サービスの魅力、または商品にまつわるエピソード、地域情報などブログを作成する。
サイトに訪れた外国人に役立つコンテンツはSEO対策にも繋がる。 ターゲットが欲している情報を予測し、キーワードをコンテンツに盛り込み記事を作成することが重要である。

 

(5)SNSでの情報発信

欧米ではFacebook、中国では微博(Weibo)など、外国人顧客がよく使うSNSアカウントを取得し、ターゲットに届きやすい場所で情報発信を行う。
Facebookの全世界でのユーザー数は16億人、中国のWeiboは2億以上アカウントが存在する。アカウントを作成し、商品やサービスを紹介し、自社サイトへ誘導する。ユーザーにとって有益な情報であれば、フォロワーが増え、サイトPVも上がるようになる。

 

(6)動画コンテンツ作成し、Youtubeに投稿する

商品・サービスの観光地の魅力を伝えるのは写真や文章だけではない。動画を活用することでターゲットにより、印象的にその魅力や特長を伝えることができる。
動画を作成する際はターゲットに届く字幕、翻訳、音声などで紹介する。できるなら現地の人に登場いただき、Youtubeなどの動画共有サイトにアップし、さらに自社のWeb サイトにもリンクをはり共有することで、有効なインバウンド対策になるだろう。

 

(7)無料Wifiの準備し、Wifi環境であることをPRする

日本ではまだまだ、無料Wifiの整備が行き届いていない。海外ではWifiは当たり前に利用されている。
以前の外国人アンケート調査で、日本に来て困ったことのトップは「無料Wifiがない」であった。 無料Wifiが当たり前でない今だからこそ、お店の無料Wifi表示はそれだけで、外国人はその場でお店や商品の写真をSNSにアップし、情報が’拡散されるだろう。
無料Wifiが使えるお店・サービススポットとして、FacebookやTwitter、Instagramなどで共有されるだろう。 Wifiを整備することは、利用者の満足度を高めるめ、マーケティングの効果も期待できる。

 

●越境ECサイトは、帰国後の商品購入には必須

インバウンドに対応したECサイトであれば、さらに一歩進めて、越境ECサイトを構築することは重要なポイントである。 なぜなら、訪日外国人の買い物は現地で買い物するだけでは終わらないからだ。 中国人観光客の60%以上は帰国後、日本の商品をリピート購入している。
さらに大きな商品や大量に同じ商品を購入したいと思った時に、帰国後、インターネットで購入する方がベターと考えるかもしれない。
自社越境ECサイトがない場合、それら商品は現地Amazonや個人バイヤーに顧客を奪われかねない。訪日外国人との日本での接点が、継続的に維持できない、需要を手放すのは非常にもったい話である。
訪日外国人が帰国後も、自社越境ECサイトで継続的に、より楽しく買い物ができるようにサービスを広げて行くことが重要である。

 

●まとめ

インバウト対策として、先ずは日本語Webサイトを外国語対応に改変すること。さらに、SNSで情報発信し、海外決済の対応や外国語による案内など、インバウンドマーケティングに関する内容は多い。
そして、訪日外国人が増えれば、増えるほど、インバウンドECサイトや越境ECサイトの必要性、重要度は高まってくるだろう。
インバンウンドマーケティングで獲得した顧客を逃さないために、更に、海外市場に対応できる体制を築くために越境ECサイトを構築し、ビジネスチャンスを拡大していただきたい。

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