インスタグラム(instagram)は、iPhoneなどのスマホで撮った写真をフィルターと呼ばれるツールでレトロ調にもミニチュア風にも簡単に加工でき、その場でネットにアップできるアプリです。2012年の春には、Facebookにおよそ800億円(10億ドル)で買収されたことでも話題になりました。手軽にかわいい写真を撮影してネットにアップできるため、日本ではモデルなどおしゃれに敏感な芸能人が多く利用しているイメージですが、15億人にも上る利用者をターゲットに、海外では小売業界、ファッション業界を中心に多くの企業が活用しています。
そこで今回は、分析ツールNitrogramによる、インスタグラムで人気の小売店トップ50から、トップ5の会社の事例を紹介します。各事例から自社のビジネスに活かせるヒントを探してみてはいかがでしょうか?
人気タレントなどを起用してプロモーションを行う手法は王道で、Targetのインスタグラムページでは、ラテンポップシンガーのShakiraを起用しています。ただし、このようなことは大企業だからできることです。
実は、Targetにはもう1つ、targetdoesitagainという姉妹インスタグラムページがあり、人気ファッションブロガーが、Target店内の様子を載せたり、商品を試着して見せたりして、公式ページよりも多くのフォロワーを獲得しています。
この人気ブロガーのように、他の消費者に「カリスマ」的影響を及ぼす人を「インフルエンサー」と言いますが、インフルエンサーを介して会社・ブランドをアピールし、売上につなげることに、Targetは見事成功しているのです。
Harrodsのインスタグラムページでは、商品の紹介写真以外にも、Harrodsの主催するファッションショーがまるで第1列目で見ているかのように、臨場感あふれる写真で紹介されており、バックステージの様子なども公開されています。
ファッションショーとまではいかなくても、お店の雰囲気を伝える写真や製造工場内を紹介する写真など、舞台裏が垣間見える写真は、単に商品を紹介すること以上に顧客の印象に残ります。商品を映す場合でも、商品が届いたところをパッケージとともに映すなど、一工夫すれば注目度が上がります。
季節行事や有名なお祭り、スポーツなど国民的に盛り上がるイベントと絡ませて自社商品をアピールした写真は、見る者の気を引きやすいものです。Nordstromはアメリカの国民的スポーツイベント、スーパーボウルに合わせて、商品の靴とボールの写真を載せ、たくさんの「いいね!」を得ました。ハッシュタグに「Superbowl」と入れたことも、そのキーワードで検索した人の関心を集めました。
Whole Foods Marketは、高品質な生鮮食品、オーガニック食材、輸入食品などを扱うスーパーマーケットですが、Whole Planet Foundationという基金を設立して、農産物の生産・加工に従事する世界各地の女性起業家を支援するという活動も行っています。企業理念に基づくこうした活動に関する写真もインスタグラム上で公開し、この活動に賛同する多くのフォロワーを得ています。
自社の持つポリシーやこだわりを反映した写真を載せれば、その考えに共感する固定ファンを増やすことにつながるでしょう。
Topmanは、商品を着用したモデルのスナップや店内のディスプレイを映した写真の合間に、期間限定のセール、オンライン限定のセールなど、お得なセール情報のお知らせ画像も投稿しています。アップされた日から3日間限定、などということも多々あるため、ブランドに関心があれば、毎日チェックされます。消費者心理をうまく突いた、見事な集客作戦です。
上記の5社は、それぞれ違ったアプローチで顧客やファンの注目を引くことに成功しています。この中に自社の特徴をうまく伝えられる手法があれば、魅力的なプラットフォームであるインスタグラムで、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
参考:
・The Top 5 Most Engaging Retailers on Instagram (And How You Can Join Their Ranks)