先週2月16日から中国では春節の大型連休が始まっている。
春節というのは日本でいう旧暦の正月である。 オンライン旅行大手、携程旅行網(シートリップ)などの発表によると、春節の大型連休を利用して海外に旅行する中国人が2017年より約6%も多く、その人数は650万人を上回る過去最多になると予測している。
中国人の海外旅行といえば、観光客の「爆買い」を連想するが、今年は例年と違った傾向にあるようだ。今年は「爆輸入」、つまり観光客は買い物は越境ECで行い、これまでのような「爆買い」は減速傾向となっているとしている。 今回はこの中国人観光客の春節と越境ECの利用など、その傾向を見てみよう。
中国の春節とは、日本の旧暦の正月にあたる国民的行事である。この中国の正月、春節は旧暦を基にしているので、毎年時期が違っている。今年の中国の春節は2月15日(木)~2月21日(水)となっている。
今年の春節期間は、アメリカの人口を上回る4億人近くが鉄道を利用し移動し、工場、オフィイスはこの時期は休業となり、14億人の国民の多くが帰省する。
そして、この時期、国外へ旅行に出かける中国人も多い。 報告によると、今年の春節期間に海外旅行に出かける人は、650万人と過去最多となると予想している。
春節のこの時期、海外旅行で人気の高い国を見ると、トップがタイ、2位が日本、3位シンガポールの順になっている。この時期にタイへの旅行が多いのは、冬の寒さからの離れ、温暖なところで解放されたいという欲求からで、日本人がお正月にハワイやグアムなどに出かけるのと同じだ。
2位の日本への旅行の目的は、日本の雪を見るというのが流行っているようだ。訪日中国人のトレンドは北海道や青森で雪を見たり、温泉に入ったりすることのようだ。
下図、2018年の訪日旅行の予約者の増減分布地図を見てもわかるように、雪の多い地方、温泉地などに人気が集まっている。
中国人旅行者は地方に赴き、旅先では単に買い物をするのではなく、観光と同時に現地の生活、文化や風習体験といった「こと消費」指向が高まっているのではないかと推測される。
さらに今年の特徴は、越境ECの拡大である。中国旅行研究院によると、2017年上半期の中国人の国外旅行者数は前年同期比5.1%増と増加傾向が続いているが、海外での買い物額は37.2%も減っていると報告している。
また、越境ECを利用して買い物をする、越境EC輸入金額を見ると、2016年で初めて、1兆元(17兆円)を突破し、昨年2017年は1兆8500億元(30兆円)と1.7倍に拡大している。
さらに、経済産業省がまとめた日米中3カ国の越境ECを見ると、中国がアメリカから購入した商品の総額は前年の2倍、日本の場合は9倍と、日本からの購入金額が突出した結果となっている。
中国人消費者のこころを捉えているのが、「メード・イン・ジャパン」の商品である。 天猫国際の「日本館」は人気、売上のトップを維持している。また、昨年の11月11日の「独身の日」のセールでは日本が国別輸入先では第1位だったようだ。
つまり、中国人インバウンドでの消費は減少傾向だが、国内で越境ECを利用して買い物をする中国人が増えた。「爆買い」から「爆輸入・越境EC」へ消費行動は変化しているということなのである。
さらに越境ECを後押ししているのは、昨年12月に中国政府が行った輸入関税の引き下げである。中国にとって輸入額の増加は、中国企業の手数料収入を増加を意味し、国内経済にプラスになるのである。
天猫国際の「日本館」
先日のテレビ朝日のニュースでは、春節で訪れる中国人観光客の「爆買い」は影を潜めたと報道していた。ニュース内容は、中国人観光客は日本の商品を現地で商品を見定め、スマートフォンで越境ECサイトから購入するという驚きの光景だった。
中国人はインバウンドで買い物もするが、目的は首都圏での「爆買い」ではなく、地方のグルメ、文化、エンタテイメントといった体験を楽しむ観光に変化しているのである。
記事参考: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180212-00000029-mai-bus_all
地図出典: https://www.travelvoice.jp/20180205-105261