2020年の日本の広告費 広告メディアを牽引する運用型広告とは

 

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先月、2月25日電通は「2020年 日本の広告費」を発表した。
2020年の日本の広告費は、6兆1,594億円(2019年は6兆9,381億円)と前年比88.8%となり、9年ぶりに減少に転じた。
この減少は、新型コロナ禍での観光、外食、そして、レジャー、イベントの自粛などによる経済活動の低迷が大きく影響している。
広告費全体が減少するなか、インターネット広告費は2兆2290億円(前年比105.9%増)となり、唯一増加となった。そして、インターネット広告費はマスコミ4媒体広告(2兆2536億円)に匹敵する規模となった。
今回は2020年の日本の広告費の概況と、その中で唯一増加したインターネット広告について、さらにインターネット広告の中でも大きな割合を示す運用型広告の種類と運用のポイントなどをまとめた。

■CONTENTS
  • (1)2020年 日本の広告の概況
  • (2)インターネット広告費はどの部門も増加
  • (3)インターネット広告の大きな割合を占める運用型広告とは
  • (4)運用型広告の種類と特徴
  • (5)運用型広告の運用のポイント

 

(1)2020年 日本の広告の概況

日本の広告費の内訳は、「マスコミ4媒体広告費」、「インターネット広告費」、「プロモーションメディア広告費」に分かれ集計されている。
2020年の総広告費は、6兆1,594億円(前年比88.8%)と集計され、マスコミ4媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア)は2兆2,536億円(前年比13.6%減)。
インターネット広告費(インターネット広告媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費)は2兆2,290億円(前年比105.9%)。
「プロモーションメディア広告費」は、1兆6,768億円(前年比75.4%)となっている。
集計から、その市場占有率を図にしたものが、下の図になるが、マスコミ4媒体広告は36.6%、インターネット広告は36.2%、プロモーションメディア広告は27.2%となり、インターネット広告がマスコミ4媒体広告に迫りつつある。
インターネット広告の拡大は、2020年はコロナ禍による巣ごもり消費により、物販系ECプラットフォームへの広告費の拡大や、SNS広告、動画配信サービスなどの関連する運用型広告への増加したことがその要因である。

2020年日本の広告費

(2)インターネット広告費はどの部門も増加

2020年のインターネット広告費は2兆2,290億円で前年比105.9%の増加となった。
インターネット広告費の内訳は、インターネット広告媒体費、1兆7,567億円(前年比105.6%)、物販系ECプラットフォーム広告費が1,321億円(前年比124.2%増)、
さらに、インターネット広告制作費が3,402億円で(前年比101.4増)となっている。

日本のインターネット広告費

インターネット広告媒体費はインターネット広告費の約79%を占める。
インターネット広告媒体費の中には、運用型広告とマスコミ4媒体由来のデジタル広告がある。
そのうち運用型広告費は1兆4,558億円(前年度109.7%増)、マスコミ4媒体由来のデジタル広告費の803億円(前年度比112%増)となっている。

マスコミ4媒体由来のデジタル広告とは、マスコミ四媒体(テレビ、新聞、ラジオ、雑誌)の事業社が主体となって提供するインターネットメディアにおける広告費を言う。
運用型広告とは、検索連動型広告、ディプレイ広告、SNS広告などのクリック課金型広告である。
2020年、新型コロナによる消費の低迷から、2020年前半の運用型広告の出稿は減少となったが、後半には他のどのメディアよりも早く回復し、インターネット広告は前年比105.6%と最終的に持ち直した。

そのほかインターネット広告費には、物販系ECプラットフォーム広告費とインターネット広告制作費がある。
物販系ECプラットフォーム広告費は1,321億円で前年比124.2%と大きく増加した。
物販系ECプラットフォーム広告費もコロナ禍よる巣ごもり消費から、購買活動が活発化したことによる広告費の増大と見ることができる。
インターネット広告制作費は、3,402億円で前年比101.4%の微増となった。
インターネット広告制作費は、コロナ禍の中で現場予算の制約、スタジオでの素材が撮影できないなどが影響し、僅かな増加となった。

 

(3)インターネット広告の大きな割合を占める運用型広告とは

インターネット広告費は、前述の内容からもわかるように、その78%をインターネット広告媒体費が占め、さらにその8割強を運用型広告が占めている。
インターネット広告=運用型広告と言っても過言では無い。
ここでは、その運用型広告とはどのような広告なのか、そのメリット、デメリットをまとめた。

■運用型広告とは

「運用型広告」とは、広告主がリアルタイムにいつでも入札額、予算、広告クリエイティブ、配信量、配信地域、配信期間、ターゲティングが変更できる広告で、効果を最大化することができるWEB広告である。
また、広告の成果に応じて広告料が課金される、クリック課金方式である。そして広告表示はオークション形式で入札額と品質により掲載順位が決定される。
また、成果を判定するタグの挿入が可能である。

運用型広告の種類としては、検索連動型広告(リスティング広告)、ディスプレイ広告、SNS広告がある。
運用型広告でない広告には、枠買い広告(予算、配信量、地域、期間が決められている広告)、タイアップ広告(広告主と広告媒体側が連携してPR記事を作成・掲載する広告)、アフィリエイト広告(広告主が設定した成果に達した場合に広告費が発生する広告)がある。

■運用型広告のメリット

インターネット広告がここまで普及するには、それなり理由がある。
それは、旧来のマス広告に比べ、運用型広告はその広告を見せたいターゲットに対しピンポイントで表示することができる点にある。
ターゲットの年齢、性別、職業、地域、検索ディバイスなど設定できる。
さらに、予算の上限、広告配信時間、期間などコントロールでき、計測もできるため、効果がなければ停止、効果があれば、追加したり予算コントロールできる。
このような予算コントロールもGoogle Adsでは、データが集積されれば自動的に予算内で最適化するシステムもあり、初心者でもある程度は運用可能である。

■運用型広告のデメリット

デメリットは、その設定の細かさである。
広告の種類も、大きくは検索連動型広告とSNS広告があり、Google、Yahoo、Facebook、Instagram、Twitterなどあり、メデイアの特徴を生かした広告を出稿する必要がある。
そして、それぞれ、広告内容やキーワード設定、配信する地域、配信時間など、リアルタイムで分析、変更できるので、運用するには時間と労力、さらに、広告の経験と知識が必要である。

(4)運用型広告の種類と特徴

運用型広告には、YahooやGoogleなどの検索エンジンで検索するとページ上部に「広告」マークが付き表示される、検索連動型広告(リスティング広告)。
また、ユーザーの属性やWebページのアクセス履歴などから画像などが表示される、ディスプレイ広告。
そして、Facebook,Twitter,Instagramなどのソーシャルメディア内の広告枠に表示されるSNS広告がある。
このでは、それら広告の違いや特徴など整理した。

■検索連動型広告(リスティング広告)

検索連動型広告は、ユーザーが検索したキーワードを条件としたテキスト広告が表示される広告である。
日本では、Google広告とYahoo広告が代表的で、「リスティング広告」などと呼ばれている。
特徴は、検索したキーワードが基準となるので、ユーザーは商品購入意欲が高い、より親和性が高いターゲットにアピールでき、高い広告効果が期待できる。
そして、リスティング広告は、固定広告費ではなく、その都度入札により価格が決められている。確実に広告表示を狙うなら、ワードに対して、最上部付近に掲載できるところが大きな魅力である。SE0対策のように時間をかけずに、即効性を求める場合に有効な広告である。

リスティング広告

■ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とは、ユーザーの属性やWebページのアクセス履歴などを解析し、ターゲットの興味・関心と関連性の高い画像広告、動画広告、テキストを組合わせた広告を表示させる。
Yahoo広告(YDN)とGoogleディスプレイ広告(GDN)が代表的なものだ。
Webサイトの一角やアプリの広告枠に表示され、広告を出す際には、表示サイトを広告主は選ぶ必要がない。
それは、ディスプレイネットワーク広告を提供している企業が、出稿先を選定して配信ためである。
特徴は、ユーザーの興味関心が高いターゲットに訴求しやすく、幅広い潜在的なユーザー層に対してアプローチできる。
ディスプレイ広告にはリターゲティング広告も含まれている。

ディスプレイ広告

※ディスプレイ広告の一つ、リターゲティング広告は今後、なくなるかもしれない

リターゲティング広告とは、ユーザーのcookie情報を取得し、この情報をもとに別のサイトを見ている時に1回目に見た内容の広告を再度表示するものである。
しかし、このリターゲティング広告は壊滅的危機となっている。
今年3月3日Googleは、同社Chromeにおいて、サードパーティ製Cookieのサポートを段階的に廃止することを発表したためである。
したがって、リターゲティング広告の要であるユーザー追跡ができなくなれば、個人を特定できない別のフォーマットに変わる可能性がある。今後の動向を中止したい。

参考:「Google、サードパーティCookie廃止後は個人追跡を排除」

■SNS広告

SNS広告は、FacebookやInstagram、TwitterなどのSNS上の広告枠に広告を配信する広告である。
SNS広告はタイムラインに表示されるタイプが主流で、ユーザーがコンテンツを楽しむ過程で自然に挿入されているのが特徴である。

SNS広告の場合、ユーザー属性や居住地、趣味嗜好などに合わせてターゲティングでき、自社の広告とマッチするユーザーのタイムラインに広告を表示させることができる。
つまり、検索連動型広告のように、ユーザーのキーワード検索に対して、反応する広告ではない点が大きな特徴である。
ユーザーの検索結果やハッシュタグを通じて能動的なユーザーへ向けた広告出稿も可能だが、ユーザーがSNSタイムラインを流し見る中に、広告を自然に溶け込ませることがでできる。
さらに、「いいね」や「シェア」といった機能を通じて、ユーザーの反応をリアルタイムで確認でき、拡散性が強く、投下したコスト以上の広告効果を期待できる。

SNS広告

(5)運用型広告の運用のポイント

運用型広告は、広告費を投下すればスグにアプローチできるため、即効性がある。
そして、少額からでも始められ、広告配信から間もないうちに何かしらの傾向を掴むことができる。

検索連動型広告では、ターゲット層に響くキーワードを見つけることが重要である。
キーワード分析ツールを使い、一定の検索量があるながら、競合の広告が少ないキーワードを選択すること。
自社が提供する商品、サービスの内容に一致するようなニッチワードとつなげて複合的なアプローチを行うのが効果的である。
そして、より最適な広告を運用するためには、複数のコピー案、複数のデザインを用意し、広告キャンペーンの最初の数日間をテスト期間とし、事前テストを行うことが有効である。
それらをテスト期間の内容を分析し、パフォーマンスの良いスタイルが見つかれば、その内容で広告キャンペーンの運用本番とすべきである。

SNS広告では、キーワードではなく、ターゲットの選定と広告文や画像、バナー(クリエイティブ)である。
SNS広告の場合、男女年齢、趣味嗜好、特定の地域など、ターゲティング精度が高いのが特徴である。
ターゲット選定とクリエイティブ、配信期間など組み合わせ、A/Bテストの設定を行い、最も効果的な戦略を見極めて、最適なパフォーマンスで運用にあたることが重要である。

運用型広告と一口に言っても、いろいろな広告媒体があるので、自社の商品サービスとターゲットを考慮し、その広告の目的にあった広告媒体を選び、テスト運用を行った上で、実施することがポイントである。

まとめ

2020年4媒体マスメディア広告、プロモーション広告は新型コロナ禍で大きく失速を見せた。インターネット広告が拡大した結果となったが、コロナ禍では、外出自粛、リモートワークなどステイホームの期間が長期に渡っている。
そのような中で、メデイア視聴時間を見ると、視聴時間が伸びているのは、テレビ視聴ではなく、動画サービス視聴とインターネットの視聴時間なのである。
2021年は、広告もマスコミ4媒広告ではなく、インターネット広告に主権が移り変わるのかもしれない。
そして、そのインターネット広告を牽引しているのが、様々な形の運用型広告なのである。

参考:

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