2020年5月、Googleは、検索ランキングの新しい指標として、「Core Web Vitals」を発表した。
そして、今年5月より、「Core Web Vitals」がランキングシグナルに追加された、「ページエクスペリエンスシグナル」がロールアウトされる予定である。
ページエクスペリエンスシグナルとは、「Core Web Vitals」とGoogleが従来から実施していた、モバイルフレンドリー、セーフブラウジング、HTTPSセキュリティ、煩わしいインタースティシャルガイドラインをプラスされたものである。
Googleは今後、このユーザーエクスペリエンスの7項目もSEO対策において追加し、ランキングされることとなる。
ECサイトにおいては、ユーザー体験の指標であるページエクスペリエンスシグナルを厳守することで、ECサイトのトラフィックとコンバージョンを向上につながるだろう。
今回は、昨年6月にまとめた、「Core Web Vitals」のおさらいと、モバイルフレンドリー、セーフブラウジング、HTTPSセキュリティ、煩わしいンタースティシャルについてその内容を整理した。
ページエクスペリエンスとは、ユーザーがウェブページで操作を行った際の、情報以外の価値、すなわち、「ユーザー体験」に関するシグナル(指標)のこと。
この指標の主なものには、ページの読み込みパフォーマンス、インタラクティブ性、視覚的安定性に関するもの、さらにモバイル フレンドリー、セーフブラウジング、HTTPS、煩わしいインタースティシャルに関するガイドラインがセットとなって、検索シグナルとして、今年5月より導入され、徐々に検索結果に影響を及ぼすことになるだろう。
ページエクスペリエンスシグナルとは、ユーザー体験を高めるためのGoogleのコミットメントである。
今後は、エクスペリエンス指標は拡大される思われ、WEBサイトを運営するECやブランドは十分、留意しなければならない。
ユーザーエクスペリエンスの影響について、Googleは、
「ユーザーの関心が高まり、ストレスなくオンラインで取り引きができるようになるため、オンラインビジネスの成功に貢献することができるだろう。」
と、語っており、今年5月から開始される「ページエクスペリエンスシグナル」は、オンラインでの素晴らしいユーザーエクスペリエンスを促進するための第一歩となるだろう。
2020年5月、Googleはもともとのあったページエクスペリエンスシグナル、モバイルフレンドリー、セーフブラウジング、HTTPSセキュリティ、煩わしいインタースティシャルガイド以外に、「Core Web Vitals」を追加した。
「Core Web Vitals」については以前の「ブログ最新のSEO対策CORE WEB VITALS」とはでも解説しているが、ここでは、簡単におさらいしたい。
「Core Web Vitals」 とは次の3つのユーザー体験の健全性を対象としている。
3つの指標とは「速度(LCP )」、「応答性(FID)」、「視覚的安定性(CLS)」である。
LCPは、ページの表示速度を測る指標である。
WEBサイトの表示速度で読込開始から2.5秒以内であることが求められる。
FIDは、ユーザーの操作に反応するまでの時間を測る指標である。
ユーザーがページを操作(クリック、タップ、入力)したときの反応時間である。
この反応速度は、1/100秒(0.1秒)以下が理想である。
CLSは、視覚の安定性を測る指標である。
レイアウトのズレが発生してる場合、CLSとして計測され、0.1未満であることが理想とされている。
レイアウトのズレは、認識しにくいが、大きな画像など読み込み速度が遅い場合、表示されるまでに、レイアウトが下にずれていってしまったり、クリックしようとしたら、レイアウトがずれて、誤ってボタンとを押したなど、ユーザーの誤操作の誘因になるWEBサイトは数値が高くなる。
この「Core Web Vitals」のポイントは、ユーザーエクスペリエンスの重要な側面を、定量化している点にある。
ユーザビリティの値を測定し、改善することで、十分補完できるものである。
次に、「Core Web Vitals」以外のページエクスペリエンスシグナルの4つの指標を見ていこう。
これまで、Googleはページランキング要因にページエクスペリエンスシグナルを導入してきた。
1.モバイルフレンドリー、2.セーフブラウジング、3.HTTPSセキュリティ、4.煩わしいインタースティシャルがない、の4つである。
ここではその内容を見ていこう。
モバイルフレンドリーは、2015年4月からの導入されている指標だ。
モバイルフレンドリーとは、モバイル(スマホ)用に表示を最適化し、ユーザーが快適にモバイルでWebサイトを閲覧できるようにすることである。
このモバイルフレンドリーは、必須事項で、2021年3月末にはモバイル対応が検索順位に大きく影響するとされる「モバイルファーストインデックス」に強制移行となる。
Google ChromeやFirefoxなどで、サイトを閲覧しているとき、「このページは安全ではありません」という警告を見たことがあるだろう。
これは、ユーザーを有害サイトから保護するために、Googleのセキュリティチームが構築したサービスである。
WEBサイトは、危険や悪意、虚偽のコンテンツがないことが基本である。
セーフブラウジングの対象となる不正なWebサイトには、1つはマルウェアなどの不正なソフトウェアをインストールさせようするWebサイト。
もう一つは、欺瞞サイトで、正規サイトと同じデザインで、正規のWebサイトになりすまし、訪問者のIDやパスワードを不正に入力させるフィッシングサイトである。
さらに、有害なダウンロード、 珍しいダウンロードなどを誘導するサイトも不正であり、安全ではないWEBサイトについては、アクセスが発生する1歩手前で警告を表示させることで、ユーザーの保護の役立っている。
HTTPSは「HTTP over SSL/TLS」の略である。
httpの暗号化技術であり、Googleでは、2016年11月から、このHTTPS (SSL/TLS) を検索順位を決めるアルゴリズムとして導入している。
つまり、HTTPSを使っているページは、HTTPのページよりも評価が上がる。
最近では殆どのWEBサイトのドメインはhttpsであるが、httpsの目的は、個人情報や機密情報といった第三者に傍受されたくない情報を含んだ通信を、安全に行いたい場合に必要とされる。
ECサイトやインターネットバンキング、メールフォームなどの個人情報を入力する場合のサイトやページに適用され、HTTPSドメインを取得することで、通信中での第三者によるなりすましを防止することができる。
2017年11月より、Googleはユーザーのコンテンツ閲覧を妨げる広告が表示されるページの評価を下げるアルゴリズムを導入した。
これは、最近非常に多くなってきているポップアップ広告に対して、警鐘を鳴らすものだ。
インタースティシャルとは、ページ遷移時にオーバーレイやポップアップで表示される広告を指す。
「このページをスキップする」や「このページを閉じる」などをクリックしないと、目的のページを見ることができなくし、ユーザーのページ閲覧を阻害するものである。
このアルゴリズムはページ単位の規制となるので、このようなコンテンツ閲覧を阻害するインタースティシャル広告が表示されるページは、これまでよりも順位が下落する可能性が高くなる。
実際にページエクスペリエンスシグナルはどこまで、ランキンに影響するかは、5月以降の状況を見てみないとなんとも言えないだろう。
GoogleのDanny Sullivan氏の2月25日の Twitterを見ると、「ページエクスペリエンスのランキング要因化は、スイッチを切り替えるような、大きな変化が一晩で発生するようなことにはならない。」とツィートしている。
また、「モバイルフレンドリーが始まったときを考えてみてください。そのようになるには、まだ、多くのページが必要でした。したがって、それは要因でしたが、最初は要因として、より多く使用することにはあまり意味がありません。しかし、時間の経過とともに、それは、より価値のあるものになる可能性があります。」
とも言及している。
ページエクスペリエンスシグナルはモバイルフレンドリーと同様に、導入の初期段階ではあまり影響ないかもしれないが、多くのサイトの共通の特徴となってくれば、時間が立てば、より重要な要素となることを含んでいる。
ページエクスペリエンスシグナルの7つの要素は、「ページ体験度」といった側面を評価するためのものである。
ページエクスペリエンスシグナルの解説ページよれば、ページエクスペリエンスの7つの要素は重要ではあるが、一部の側面が不十分な場合でも、全体的には、最高の情報を持つページを優先する、としている。
特に、この指標が重要な側面は、コンテンツが類似している複数のページがある場合、ページエクスペリエンスが実際に実施されているサイトとそうでないサイトの場合は、ページエクスペリエンスが良く実施されているサイトが、上位表示されるとしている。
つまり、ページエクスペリエンスシグナルよりも、優れた情報を持ったコンテンツである場合は上位表示される。
同じようなコンテンツの場合はページエクスペリエンスシグナルの高い方が上位表示される。
WEBページにとって重要なのは、これまで通り、「ユーザー検索に対するコンテンツの関連性と品質」がもっと重要なことに変更は無い。
WEBページの有用性には、まず、有益なコンテンツ、品質があり、そのうえでページエクスペリエンスがなされているということである。
5月から、Googleはページエクスペリエンスを導入し、徐々にその有用性を検索結果に反映させていくことに間違いはないだろう。
2020年はその前兆と思われるコアアップデートが何度かなされた。たとえば、「スピードアップデート」と呼ばれる表示速度が大きくランキングに影響したり、SSL化されていないサイトやスマホ対応であないサイトの評価を下落させたりしている。
Googleが検索結果としてユーザーに提供したいのは、ユーザーが探している情報を確実に見つけられるようにし、なおかつ、最高のエクスペリエンスを提供するサイトをランキングの上位に表示させることである。
検索ユーザーのニーズに沿ったコンテンツを整備するだけではなく、5月までにユーザー体験指標を再チェックし、WEBサイトをさらに良いものにしていただきたい。
参考: