SNSの重要なポジションになりつつあるライブストリーミング


タイトルイメージ画像

2020年、新型コロナ感染拡大・パンデミックによる大きな変化として、ライブストリーミングがトレンドとなった。
中国ではライブコマースが大きく成長し、アメリカでも主要なSNSプラットフォームはライブストリーミングサービスを導入し、そして、そのSNSプラットフォームでEコマースも促進した。
ライブコマースの特徴はライブストリームの間、視聴者はコメントや質問ができ、ライブコマース実演者は、それらにリアルタイムに回答できるところである。
そして、視聴者は商品を購入しようと思えば、カートに商品を追加し、イベント中又は、イベント後にいつでも精算できる。これら動線がスムーズな点もメリットだ。
今回は、アメリカでの主要SNSプラットフォーム(Facebook、instagram、Pinterest、TikTok)で開発、検証されているライブストリーミングの動向について見ていこう。

Facebookが本格的にライブコマースに参入

2021年5月、Facebookは「LiveShoppingFridays」を開催した。
これは、Facebook主催による3か月にわたるオンラインショッピングイベントである。
参加者は、2021年5月21日から7月16日までの毎週金曜日に、大手ブランドが紹介する製品のライブビデオを見ながら、直接購入できるというもの。
ライブコマースに参加したブランドは、Abercrombie&Fitch、Alleyoop、Bobbi Brown Cosmetics、Clinique、Dermalogica、Dolce Vita、Sephora、ZOXなど、化粧品およびファッションブランドである。

これらブランドは毎週金曜日の30分間、ライブで商品を紹介し、視聴者は商品に関する質問をしながら、ブランドとの交流を図れる。
その商品を欲しいと思えば、Facebookアプリから商品を直接購入することができる。
Facebookがライブコマースに本格的に参入した3ヶ月だった。

Facebook

Instagramが追加した「ライブルーム機能」

2020年5月、Instagramはアプリ内決済システムであるInstagram Checkoutを使用するマーチャント向けのライブショッピング機能を導入した。
そして、2021年3月、Instagramはライブストリーミングサービスを拡張した「Live Rooms(ライブルーム)」機能を追加した。
このライブルーム機能の特徴は最大4人でライブ配信が可能となった点である。
これまでは、インスタライブでは、自分以外にもう1人のみ招待できるものだったが、ライブルームでは最大4人で同時ライブ配信が可能となった。
このライブルーム機能を使って、ライブトークショーやインタビュー、ミュージシャンのジャムセッションなど行うことができる。
さらに、面白いのはライブルーム機能には投げ銭機能に代わるバッジ機能が備わっている点である。
バッジ機能は、ライブ配信を視聴しているユーザーが、バッジを購入(日本円で120円、250円、610円)することで、動画配信するホストクリエイターに対して収益として還元することができる。

Instagram

Pinterestの初のバーチャルライブイベント

2021年5月下旬、Pinteresは21人のクリエイターからなる最初のテストグループをホストとして、初のアプリ内ライブストリーミングイベントを開催した。
イベントは、5月24日から5月26日まで、Pinterestアプリ内で展開されたクリエイターによる動画コンテンツをユーザーに直接届ける機能として、公開テストとして初めて実施されたものだ。
3日間のイベントでは、フード、デザイン、スタイルなどの分野の著名クリエイター21名が登場し、視聴者に役立つアイデアを提供した。

Pinterestのライブストリーミング機能は、配信者であるクリエイター以外に最大3人までのゲストと、視聴者(人数無制限)が参加できるというものだ。
視聴者はクリエイターと質問と回答などやり取りを行ったり買い物機能も利用でき、クリエイターはProduct Pins(購入可能な商品であることがユーザーにわかるようにするピン)で自分が紹介する商品にタグを付けることもできる。
これでPinterestもライブ配信に一歩、足を踏み入れたと言えるだろう。

ピンタレスト

WalmartとTikTokがコラボしたライブコマース

2021年3月、世界最大スーパーマーケットチェーンのWalmartは、ライブストリーミングによるショッピングイベントを開催した。
これは、2020年12月のライブストリームショッピングプログラムに続くものである。

3月のイベント「SpringShop-Along:Beauty Edition」では、350万人ものフォロワーを持つGabby Morrison氏(@GabbyMorr)などクリエイターが、Walmartでお気に入りの美容アイテムを紹介し、それら商品の実演デモを行った。
美容ブランドはNYX、Maybelline、The Lip Bar、Bliss、Kim Kimble、そしてMarc Jacobsの香水などだ。
それらライブデモを視聴しながら、TikTokユーザーがアプリ内で直接買い物を行った。

TikTok

WalmartとTikTokが初めて連携し開催した12月のライブコマースイベントは、予想の7倍超の視聴があり、WalmartのTikTokフォロワーを25%成長させることができたと言う。
前回は、ホリデーライブストリームにフォーカスしてアパレルを扱ったが、今回は美容品を販促したようだ。
Walmart USのCMOであるWilliamWhite氏は、「今後も、クリエイターと提携し、さまざまな商品をさまざまなフォーマットで紹介し、TikTokにおいて、より多くのショッピング体験を提供していく」と述べている。
Walmartもライブコマースに大きな手応えを感じたようようで、ライブコマースは、ブランドにとっての新たなビジネス領域として開拓されることだろう。

Taobaoライブストリーミングはインフルエンサーの成功を支援

ライブストリーミングを使ったコマース、いわゆるライブコマースが、最も進んでいるのは中国である。
「eMarketer」によると、2021年の中国でのライブコマースの売上高はに1,315億2,000万ドル(約14兆4,000億円)に達するとし、国内のソーシャルコマースの37.4%を占めるとしている。
中国では、2023年までに中国のソーシャルコマースの60.9%は、ライブストリームショッピングから発生し、総額は2812.1億ドルになるとも予測されている。

中国のライブコマース

中国で最も利用されているプラットフォームは、ユーザー数8億人を突破したアリババグループの「淘宝直播 Taobaoライブ」である。
Taobaoライブは2021年4月28日、エコシステムを拡充し、プラットフォームに参入したマーチャント、ブランドおよびインフルエンサー(KOL)たちのさらなる成功を支援することを発表している。
具体的には、2,000のライブ配信チャンネルと200のパートナーそれぞれの年間売上高が1億元(約1.68億円)になるよう支援するというものである。
タオバオライブは、アクテティブユーザー数は前年比100%増加し、ロイヤルユーザーの支出も150%増加するなど、2020年は堅調な実績を上げることができ、ユーザーとの長期的エンゲージメントとビジネスチャンス拡大のため、今後も革新技術への投資や開発を推進し、パートナー支援を強化するとしている。

まとめ

ここまで、事例を見ても分りようにアメリカのライブ配信、ライブコマースは、EC大国中国と比較してもまだまだ、黎明期であると言える。
「eMarketer」によると、アメリカの小売ソーシャルコマースの売上高は2021年に366.2億ドルに達するが、これは中国のソーシャルコマース市場の約10分の1の規模であると述べている。
アメリカや日本にとってはライブコマースは、これからの新しいマーケティング領域であり、摸索期であるが、今、Facebook、Instagramはクリエイターやインフルエンサーのマネタイズに注力している。
SNSプラットフォームはクリエイターやインフルエンサーの収益化できる仕組みを開発することで、特定の企業とタイアップし、商品販売ツールとして大きく拡大することが予想される。
さらに、ライブコマースのメリットは、リアル店舗のバーチャル接客を可能とし、提案型の販売ができること、また、ユーザーの製品購入前のコミュニケーションツールとしてユーザー体験の向上を図れるなど、エンゲージメントの創出に繋がる点も見落としてはならない。
今後、5Gが普及すれば、SNSライブストリーミングは大きな可能性を持ったツールとなるだろう。

参考:

関連する記事

アメリカのEコマース 「DtoC」事情 今週金曜日、11月29日より、アメリカ、ヨーロッパでは「ブラックフライデー」が開催され、続く12月2日(月)からは「サイバーマンデー」と、いよいよ、欧米では2019年の年末商戦へと突入する。 今年の年末商戦は「長期化」と「EC化」が特徴とされ、セールは長期化し、実店舗に足を運ぶ人は減少し、...
ユーザーの高い利用率 「YouTube」の強み... 昨年12月19日、ニールセン デジタル株式会社はスマートフォン視聴率情報「ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView) 」のデータをもとに、2019年の日本国内のトータルデジタルとスマートフォンのインターネットサービスの利用ランキング、「Tops of ...
【2022年版CtoC-EC市場】日本とアメリカの市場動向... CtoCとは、消費者から消費者へ、モノやサービスを販売するビジネスであり、日本語では「個人間取引:Consumer to Consumer」と言われ、メルカリやヤフオクなどのECプラットフォームを介しての取引をCtoC-ECと呼ぶ。 現在、CtoCビジネスは、コロナ禍の影響、サステナビリテ...
【越境EC】2021年日本・アメリカ・中国間の市場動向まとめ... 経済産業省は8月「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 」の結果内容を公表した。 経済産業省の発表によると、2021年の国内のBtoC-EC市場規模全体は20兆6,950億円(前年比7.35%増)と、前年比で1兆4,171億円の増加となり、初めて20兆円の大台に乗った。 また、本調査で...
2020 スマートフォンの利用実態とSNSマーケティングのポイント... 2020年の総務省のインターネット利用調査によれば、2019年時点でインターネットの人口普及率は89.8%に上昇、利用者人口は1億815万人と公表されている。 ほぼ90%に迫るところまで、日本のインターネットは普及し、若者から高齢者まで広い世代で利用者は拡大し、今後はさらに高い水準で伸長が...
コロナ禍で躍進する「ウェイフェア」 その成功のビジネスモデル... クレジットカード大手マスターカードがまとめた、2020年のアメリカ年末商戦の小売売上高(10月11日─12月24日)は、前年比3%増加したと公表した。 新型コロナの影響でネット販売が特に好調で、前年比49%増加し、ネット購入は全体の19.7%に達した。 新型コロナ禍では、ネットで注文して...

タグ: , , ,

コメントをどうぞ