欲しいものはSNSで買う時代に

 

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新型コロナ禍による外出自粛などにより、SNSの利用者(アクティブユーザー)は増加している。ICT総研による調査では、国内のSNS利用者は2020年末には7,975万人に達する見込みだ。そして、SNSの利用・普及率の増加により、SNSは人々の生活の中で大きな存在になりつつある。
EC事業者においても、SNSのあり方は変化しようとしている。これまでは、SNSは自社ECサイトへの単に集客のためのツールであったが、集客に加え、SNSの自社アカウント内でも商品販売ができるようになった。
つまり、「SNS+EC」と言われる「ソーシャルコマース」である。今回は、このソーシャルコマースのメリット、デメリット、さらに、中国、アメリカなどソーシャルコマースについて見ていこう。

ソーシャルコマースとは

ソーシャルコマースとは、SNSメディア上で、オンラインショッピングができる機能、状態のことで、広義では、ソーシャルメディア上でブランドの商品を探して、商品詳細を確認して、そこからウェブサイトに飛び、購入・決済をするショッピング体験も含まれる。
利用者の多いSNSを活用することで、自社ECブランドの認知・向上、売り上げの向上図ることができる。
前段でも記したが、ソーシャルコマースとは、SNSとECの掛け合わせで、一つの販売チャネルという位置付けであり、集客手段としてのSNSだけではない。
近年、変化しているのは、SNSプラットフォーム内で商品販売も行うことができるようになったところだろう。
この、ソーシャルコマース市場は、中国EC(約212兆6071億円)市場ではEC全体の12%まで及んでいるというデータがある。
日本はEC市場規模は約19兆3,000億円であるから、中国なみに発達すれば、約2.3兆円規模まで成長すると推計できる。
それでは、SNS上で商品を販売することのメリット、デメリットはどこにあるのだろう。
その事業者としてのメリットのひとつは、顧客と親密な関係性を構築できる、つまり顧客を囲い込めるところが大きい。
つまり、SNSはフォローワーする人とされる人との関係となるため、Eコマースの売る人と買う人とは違った、仲間・連帯的な関係性を構築でき、お店やブランドに愛着を持ってもらい易くなる。
ロイヤリティーを高めることができれば、価格競争に晒されることもなく、顧客単価が高いビジネス構築が可能となるだろう。
またSNSユーザーのメリットしては、SNSで発見した商品をわざわざ、ECサイトへ遷移することなく、その場で購入できる、衝動買い的買い物体験ができるところである。

ソーシャルコマースの購入プロセス

デメリットは、SNSは集客のノウハウが必要となることで、ある程度フォロワーが集まるまで、売り上げを作ることができない。継続的な写真や動画による情報発信を行う努力が必要である。
ソーシャルコマースの代表的なものに、FacebookとInstagramがあるが、ともに2020年6、7月にソーシャルコマース機能の導入を開始している。国内での内容をを下にまとめた。

Facebookのショップ機能

「Facebookショップ」とは、FacebookやInstagramなどのファミリーアプリでショップを開設し、販売商品を掲載したり、ブランドイメージにカスタマイズできたりする機能である。
現在、日本では商品の掲載までで、商品の購入、決済は自社ECサイトに誘導し行うこととなっている。

Instagramのショップ機能

Instagramは8月にメニューにショップアイコンタブを追加した。タップするとショッピング関連の「コレクション」が利用者ごとにパーソナライズされ、利用者の好みに合ったビジネスやブランド、商品を見ることができる機能である。
利用者の興味・関心に合わせて、商品コンテンツが表示されるので、新たに顧客にリーチできる利点がある。
アメリカでは、ライブ配信時に「ショップ機能」のカタログ上から商品をタグ付けし、ライブ視聴中に商品を確認したり、購入できたりするライブコマース機能を公開している。

ソーシャルコマースが進んでいる中国市場

ソーシャルコマースが最も進んでいるのは、EC大国である中国である。
中国では「SNS+EC」や「共同購入EC」と言われており、新たなEC販売方法として、中国EC業界でのシェアを伸ばしている。
2020年のソーシャルコマースの市場規模は、242,41億ドル(約25兆9060億円)で、中国小売EC市場の約11.6%を占めている。

中国のSNSコマース

中国には口コミ文化が根底にあるため、ソーシャルコマースのキーとなる「人とのコミュニケーション」によるソーシャルコマースが中国EC市場でシェアを伸ばしている。

その中国のソーシャルコマースの代表的な「共同購入型」、「KOL型」、「コンテンツ型」の3つの内容について見ていこう。

①共同購入型ソーシャルコマース

この共同購入型によるソーシャルコマースは、商品を「誰か他の人と一緒に買うと安くなる」といった共同購入の仕組みでる。
この仕組みを取り入れたのは、Pinduoduo(拼多多)で、「誰かと一緒に買うと安くなる」は、共同購入することで価格が下がり、商品を安く購入すること点が最大のメリットで、アリババやJDなど大手もこのビジネスモデルを真似ている。

②KOL型ソーシャルコマース

KOL型は中国インフルエンサーを活用した、SNSコマースである。
中国においては、Ruhnn(如涵)サイトが有名で、RuhnnではKOLを前面に押しだした店舗展開を行っている。
Ruhnnの人気KOL”張大奕”は初ライブ配信で6000万元(約10億円)以上を売り上げ、話題となった。

③コンテンツ型ソーシャルコマース

コンテンツ型ソーシャルECは、最も一般的なもので、InstagramなどのSNSプラットフォームから、そのまま商品が買えるというもの。
一般的なものでは、TikTokなどの動画専用SNSから商品を購入できるというタイプである。
コンテンツ型では中国のRed(小紅書)が代表格である。
Red(小紅書)はコンテンツ型ソーシャルコマースにおいては、CVRが低くなりがちという課題も、投稿時に商品DBを関連させる機能もあり、この課題をクリアしている。

アメリカのソーシャルコマース

アメリカはまだ、中国ほど「SNS+EC」のソーシャルコマースは本格化しているとは言えない。
ただ、2019年のSNSで商品を見つけ、インターネット注文する従来型の集客的ソーシャルコマースは、経済産業省の調査によると、2019年の米国におけるSNS経由のインターネット注文の市場規模は前年比25.2%増の194.2億USドルと推計されており、今後も20%を超える成長率で拡大し、2022年には383.4億USドルまで達する見込みである。

アメリカのソーシャルコマース

Bizrate Insightsが実施した2019年10月のeMarketer調査によると、ソーシャルコマースユーザーを調べたものだ。
2018年の23%から2019年には31%に上昇している。
ソーシャルコマースの利用は年代別に見てみると、18歳から34歳がもっとも利用率が高いことが分かる。性別では、男性は18%で変化がないが、女性は26%から40%にまで伸びている。

アメリカのSNSコマースの利用率

新型コロナの影響で、スマートフォンの利用時間は、アメリカの若い世代で1日64分も伸びている。当然、SNSの利用時間も増加しているだろう。
アメリカ最大のSNS、Facebook、Instagramさらに、Snapchat、TikTokなどは、今年、ソーシャルコマースの取り組みを強化している。
現在アメリカで注目を集めているのが、「Facebook」や「Instagram」におけるソーシャルコマース機能の拡充である。
既に、アメリカの「Facebook」や「Instagram」では外部ECサイトに遷移せず、ソーシャルメディア上で直接商品を購入・決済できる「チェックアウト機能」を実装した。
さらに、企業が「Facebook」や「Instagram」などプラットフォームを横断して共通のオンラインショップを無料で開設できる「Facebookショップ機能」というサービスもリリースしている。
また、中小規模の小売店舗にとって有効なWEB接客を行いがら、商品を販売できる「ライブショッピング機能」も実装された。

インスタグラムのソーシャルコマース

そのほか「Snapchat」もショップ機能を追加し、TikTokの動画上でインフルエンサーが紹介する商品から、商品購入ページへリンクできる機能のテストを開始した。
このようにアメリカでは今年、ソーシャルコマースは大きな盛り上がりを見せている。
ソーシャルコマースは、SNSへアクセスし良い商品を見つけたり、信頼できる人が紹介する商品をそのSNS上で購入できるという利便性があり、オンラインショッピングの形態の新たなチャネルとして重要な存在となってゆくだろう。

まとめ

SNSの利用者の増加に伴い、SNSは単なる情報収集や発信の場から、ショッピングもできるSNSサイトへとEC業界におけるSNSの在り方は変化している。
ソーシャルECとは「ソーシャルメディアとショッピングが出会う」というビジネスモデルである。
今後、日本の国内EC事業者は新たなユーザーのタッチポイントとして、「SNS+EC」を検討する必要があるだろう。

 

参考:

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