【越境EC最前線】日本の食品を越境ECで売るためのポイント

日本の食品を越境ECで売るためのポイント

2021年、3月現在、依然として新型コロナ禍によるECの需要は高い。売れ筋商品やそのカテゴリーを見ても、ステイホームなどで楽しめる商品が好調を見せている。
Adobeの調査によると、2021年1月と2月のアメリカのEコマースの売上げは、すでに計1210億ドル(約13兆2130億円)となっており、これは前年同期比34%増となっている。
また、コロナ禍から早期に立ちおった中国においても、ネットショッピング利用は増加している。そして、海外旅行など制限されるなか、中国ECで日本製品を購入する越境ECが活発化している。
特に日本国内で中国人観光客に人気の化粧品や医療品、家電、食品などの日本製品、地方の名産品の売上が好調という。
今回は、越境ECで日本の食品を販売する際に抑えておくべき留意点などをまとめた。

(1)越境 EC による我が国の食品の輸出に関する市場規模

2018年に農林水産省がまとめた「日本から電子商取引(越境EC)を用いた農林水産物・食品の輸出に関する調査」報告書によると、食品関連で一番多く販売されているものは、健康食品(サプリメント・健康飲料)の613億円となっている。
次に菓子類の404億円、調味料(113億円)、緑茶(103億円)などとなっている。
日本の健康食品は、食品全体の1,574億円のうち約4割を占めている。

越境ECを用いた我が国の食品の輸出に関する市場規模

さらに、この食品における越境ECの地域別市場規模を見ると、アジア大洋州が1,299.8億円、北米、中南米が217.4億円、欧州が56.2億円と、アジア大洋州地域が全世界の市場規模の82%を占めている。

越境ECの地域別市場規模

(2)越境ECで扱いやすさを決定する4要素

ここでは食品を海外販売する際に重要視される要素をまとめた。
食品を販売する際、ペットボトル飲料や酒類などは、重量や体積の大きさにより、海外販売にはあまり適さないだろう。
食品の越境ECの場合は、軽量かつ、体積の小さい商品である菓子類、サプリメント、緑茶などを扱う事業者が多い。
それらは、比較的賞味期限が長いものが多く、常温での配送が可能である。
賞味期限の観点からすれば、乾麺やドライフルーツなども扱いやすいと言える。
食品を海外販売する際、考慮すべき内容は以下の4つである。

  1. 重量が軽量であること
  2. 体積が小さいこと
  3. 賞味期限が長いこと
  4. 温度、鮮度管理が容易なこと

(3)主な越境ECのモデルは2つ

越境ECで販売する際の主な事業モデルは、1.国内の自社ECサイトで販売するか、もしくは、2.海外のECモールに出店または出品し販売するかである。その内容を整理する。

1.日本国内に独自の越境ECサイトを構築する

これは、日本国内に越境 ECの自社サイトを構える事業モデルである。
一般的なのは、新たに越境ECサイトとして構築するモデルであるが、国内向け自社ECサイトを海外からアクセスされた場合でも、不自由なく閲覧できるように多言語化、多通貨対応し、越境ECサイトとして対応するケースもある。
越境ECを自社で構築する場合、サイトの多言語化、カスタマーサポート、海外配送手続き、決済システムなど、諸外国に応じたシステムを用意する必要がある。
自社越境ECサイトを構築する場合、サイト構築まではコストや時間を要するが、メリットは、収益率が高く、プロモーション戦略を独自に立てられる点、ブランディングを戦略的に行えるなどがある。

日本国内に独自の越境EC(BtoC)サイトを構築

2.進出先国のBtoC-ECプラットフォームに出店する

これは、進出したい国のECモールやECサイトサービスに出店または出品する事業モデルである。
中国では、天猫国際 (T-Mall Global)、京東国際(JD Worldwide)、アメリカではAmazon、
eBay、東南アジアでは、Lazada、Shopeeなどが有名である。
メリットとしては、その国の有名ECモールは多くの現地消費者が利用しているため、信頼度が高く、多くの集客をモール側に期待することができる。
また、決済サービスや運営に便利な機能が予めモール側に用意されている。ただ、商品の翻訳、カスタマーサポート、海外発送手続きは自社で実施しなければならない。
さらに、出店するには審査があり出店手数料、販売手数料が徴収されるというデメリットがある。中国の場合、現地の法的な手続きも必要となるため、ハードルが高く、出店ノウハウがない場合は、専用の代行会社に依頼するケースが多い。

進出先国のBtoC-ECプラットフォームに出店する

(4)越境EC運用における留意点

食品で越境ECを行う場合、ビジネス的視点から見た課題、各国の法規制、配送、輸入規制品の確認、決済についてなど留意しなければならない多くのポイントがある。
ここでは、主要な内容について整理した。

①ビジネス戦略

越境ECにおけるビジネス戦略としてはまず、海外顧客層、顧客ニーズ、ターゲット国・地域の明確化を行い、海外で同様の商品が流通している場合、競合との差別化戦略が重要である。
また、お菓子などの食品では、単価が安価となるので、1点販売ではなく、大容量パックやセット商品、定期販売、購入者にノベルティを追加するなど販売方法を工夫する必要がある。
また、海外EC事情やマーケットの基本情報を把握し、認知度向上のためのインフルエンサーなどによるプロモーション施策や、海外でその商品が売れるとする要素はどこにあるのか、見極めができているかが重要である。

②法律や制度

食品は人体に取り込まれるものであるため、健康被害を未然に防ぐための各国独自の法律や制度があり、販売する食品によっては販売ライセンスが必要なものもある。対象国の食品における法規制を十分確認した上で、販売する必要があるだろう。
また、食品の専用ラベルにおいては、栄養成分、原材料、原材料表示、原産国表示など、商品自体に貼付しなければならない場合がある。

さらに、海外では日本のプライバシー保護法と同様の個人情報保護規定が国それぞれに制定されている。
ヨーロッパでは「GDPR」、中国では、「サイバーセキュリティ法」、アメリカでは、カリフォルニア州独自のプライバシー保護法となる「CCPA」など消費者保護のための法律が制定されている。
それらは、自社越境ECサイトを構築の際には、プライバシポリシー、利用規約に網羅しなければならない。

中国の「サイバーセキュリティ法」、アメリカの「CCPA」については下記のブログで詳しい内容をまとめている。
知ってて損はない 中国とアメリカのプライバシー保護法

③配送

物流では、食品の場合、たとえ常温での輸送であっても品質維持・破損対策には細心の注意が求められるため、物流事業者の品質が問われるところだ。
食品の場合、賞味期限の兼ね合いから、商品の受注から納品までの短縮化を考え、配送にかかる日数、コストを把握し、いかに最適化するかがポイントである。
現在では、新型コロナ禍で「EMS」では配送できない国・地域があるため、それらを確認し、「EMS」が利用できない場合、FedexやDHLなどクーリエの料金体系も確認しておく必要があるだろう。
また、食品に限ったことではないが、諸外国の場合、日本よりも越境ECで購入した商品の返品率が高いと言われており、予めキャンセルポリシーや返送業務の対応を協議し、マニュアル化しておくと良いだろう。
また、配送においては、国・地域において、物流インフラが整備されているところ、整備されていない国・地域など、配送日数が国・地域によって大きく違う場合もある。メキシコなどは1ヶ月も要する場合もあるので、気をつけなければならない。

「Fedex」、「DHL」の料金体系については、下記のブログで詳しい内容をまとめている。
【越境EC】EMSが休止の今FedexとDHLを比べてみた

④輸入規制品

税関においては、輸入禁止品の厳しい取り締まりが行われているので、越境EC事業者は予め販売可能な商品かどうかの確認を行っておく必要がある。
アメリカでは、アルコール飲料や食肉や乳製品、タバコなど販売する場合はFDAの許可が必要である。
中国の場合は、輸入制限品として小麦、トウモロコシ、コメ、砂糖などがある。
国や地域によってその内容も異なるため、必ず確認しておく必要がある。

各国の輸入規制品目については下記のブログで詳しい内容をまとめている。
海外販売 知っておくべき各国の輸入規制品目

⑤決済

決済においては、販売対象国や地域に合わせた決済方法が必要となるため、多彩な決済手段を用意しておく必要がある。
日本では代金引換やクレジットカード、コンビニ決済など対応していれば良いが、アメリカの場合は、クレジットカード決済の他にがPayPalなどの電子決済も普及しており、デビットカード決済なども用意する必要がある。
中国では、第三者決済であるAlipay、SNS決済のWeChat決済 銀聯カード決済は必須である。また、東南アジアを中心とした国の場合、クレジットカードを所有していないユーザーも多く、スマホによるキャッシュレス決済などにも対応する必要があるだろう。

(5)越境ECの食品は中国が狙い目

今、中国では日本の食品越境ECが拡大している。
理由は新型コロナ禍による非対面需要の増加で、越境ECの利用者が急増しているところへ、さらに中国の輸入品に関する、越境ECにおける規制緩和が適応されているためである。

2019年、中国の報告書によると、越境ECで日本から輸入した商品では、食品・飲料は第2位の311億元(約5000億円)となっており、特に粉ミルク、生鮮品などが拡大している。
これは、越境ECの輸入商品に対する大幅な規制緩和によるものである。

規制緩和の一つは、越境ECであれば、食料、油、野菜、果実、肉類、ミルク類、海産品などの規制品に関する許可手続きが2~6カ月に短縮された点である。
また、一般貿易では許可が必要なものでも、越境ECであれば、中国政府公表の輸入リストに載っている商品であれば、輸入許可・登録は必要ない。
2つ目は関税がかからない点。越境ECなら無関税で、付加価値税などの6.3%とかなり低い税率である。
3つ目は商品ラベルで、通常は、各国に対応した言語による商品ラベルが必要だが、越境ECの場合は、中国語によるラベル貼付の必要はなく、商品バーコードの掲載で済む。

このように、中国では越境ECに対して規制緩和を行っており、日本企業も中国向け越境ECと言えば、化粧品、衣類、家電といった商品ばかりではなく、日本の農産物にも拡大のチャンスはあり目を向けるべきだろう。

まとめ

食品の越境ECを始めるあたって重要なことは、ターゲットとする国・地域について深く知ることである。
国・地域によっては、法規制、輸入禁止品、許可申請、関税、配送日数など物流事情などしっかりと把握する必要がある。
また、カスタマーサービスや様々なトラブルに対する対処法など体制を整えた上で始める必要があるだろう。

参考:

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