前回はAmazonを取り上げたので、今回はGoogleを取り上げたい。Googleは何で収益を上げているのだろう。
Googleの親会社であるAlphabetは、売上の多くを広告に頼っているようだ。YouTubeを含むさまざまなコンテンツの広告売上高は、全体の80%以上に及んでいる。Googleの主な収益はGoogleオンライン広告、YouTube広告などだ。
2020年2月3日、Googleの親会社Alphabetは、YouTubeの広告売上と2019年通年の売上を発表した。Googleの2019年総売上高は1,620億ドル(約17兆9,57億円)近くで、Googleの広告売上は1,348億ドル(約14兆9,413億円)、YouTube広告は150億ドル(約1兆6,626億円)と公表された。
そして、売上の80%以上占めているGoogle広告は、昨年も多くのアップデートが行なわれた。例えば、スマート自動入札などは何度もアップデートが行われた。今回はGoogleのGoogle広告やGoogle検索アルゴリズム、YouTubeサイトの2019年の主要なアップデート内容を見ていこう。
SEO対策では、Googleが行う検索エンジンアルゴリズムの更新、変更は重要である。2019年も検索エンジンに対して数多くのアップデートが行われたようだ。
アップデート件数にすると、2019年だけで3200件以上というから驚きである。
大きなところでは、「コアアルゴリズム」と呼ばれるGoogle検索のアルゴリズム本体のアップデートが3回行われている。そして、10月25日には「BERTアップデート」が行われた。ここではその2つについて見ていこう。
Googleは2019年、コアアルゴリズムアップデート(コアアップデート)を3ヶ月毎に立て続けに行なった。コアアップデートとは、検索アルゴリズムの基盤を見直し、変更を加えるためのアップデートである。
これは、年に数回、予告無しに行われている。そして内容は当然、明らかにはされない。
Googleが目指すサイトは、ユーザーがより快適かつ迅速に、正確で有益な情報に辿り着ける検索サイトである。
このGoogleサイトが表示する、元となっている検索エンジンは、少しでも検索ユーザーにより良い情報を届けるために日々改善が行なわれている。
そして、Google検索エンジンの基本は、より品質の高い、優れたコンテンツに対して高評価を与えるといことだ。
ユーザーが調べる検索キーザードに対して、関連性が高いコンテンツは順位を上げ、関連性が低いと順位を下げるという、ユーザーにとって至極当然の内容に対して精度を高めるため、日々施策している。
コアアップデートに対応するには、ユーザーの検索キーワードの内容について、深く内容を掘り下げて説明しているコンテンツがあること。
つまり、自社サイトが「ユーザーにとって有益なコンテンツを持っているサイト」であるかどうかを見直すことが重要だろう。
Googleが一貫していることは、質の高いサイトを目指しているサイトは評価されると言うことである。質の高いコンテンツを有しており、どれも専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)といったパラメータが高いこと。さらに、記事の出典や著者の明記、プライバシーポリシーの扱いなども明確であることである。
2019年10月25日に実施した、「BERTアップデート」とは、BERTという技術をつかった、検索アルゴリズムのアップデートである。
12月10日には、日本語含む70言語以上のGoogle検索にBERTアップデートを展開した。
「BERT」とは、自然言語処理技術の一種で、“Bidirectional Encoder Representations from Transformers”の頭文字をとったものだ。
BERTはAIを使った自動言語処理モデルで、ユーザーがキーワード検索した言葉の微妙なニュアンス、文脈を理解するもので、この理解力が大幅にアップデートしたようだ。
これにより、ユーザーはキーワード入力ではなく、文脈による入力でも的確な解をGoogle検索できるようになった。
「越境ECで一番売り上げているサイトは?」などでも的確な答えが返ってくる。
この背景には、分からないことがあれば、すぐ、スマホでググるということが一般的になっていることがある。
検索エンジンは、それらの問いを正しく理解することができなければならないだろう。
さらに、これからの時代、音声操作による内容にもGoogle検索対応は必須である。音声検索は2020年には50%になると言われ、音声検索の場合は、長文で複雑な内容になるだろう。
「BERTアップデート」は文脈の微妙なニュアンスを理解し、最適な検索結果を表示するためにはとても重要なアップデートである。
Googleの広告設定も、日々アップデートしている。より投資収益率の高い広告として機能しなければ、ここまで、Googleのデジタル広告での伸長はないだろう。
2019年のデジタル広告市場の売り上げを見ると、トップはGoogleの広告収入は1,348億ドル(約14兆9,413億円)、次は、Facebookの697億ドル(約7兆7,247億円)、3位にYouTubeの150億ドル(約1兆6,624億円)、4位にAmazon141億ドル(約1兆5,626億円)となっており、Google広告はFacebook広告の2倍以上である。
2019年の大きなGoogle広告アップデートは6月のスマート自動入札だろう。
スマート自動入札とは、「キャンペーン毎に最適化させるコンバージョンを選択できる機能」である。
スマート自動入札には「目標コンバージョン単価」、「目標広告費用対効果」、「コンバージョン数の最大化」などがある。
この機能には、Googleの機械学習(AI)が使われており、高度な入札調整が行われ、高いパフォーマンスを発揮する。
「目標コンバージョン単価」とは、コンバーション1回あたりにかけてもよい、コストを広告主が設定することができ、その範囲内でできるだけ多くのコンバージョンを獲得するための入札戦略である。
「目標コンバージョン単価」の最適化は一番よく利用されており、コストを最小化して利益を確保し、コンバージョン数も増加できる点がメリットである。
「目標広告費用対効果」とはコンバージョンによって得られる売り上げ額を考慮し、売上額のばらつきを無くするようにするもので、費用対効果を最大化するための入札戦略である。
例えば、500円の商品と10000円の商品を販売した場合、低単価でコンバージョンを獲得できる500円の商品ばかり売れても利益は上がらない。
このような場合、「目標広告費用対効果」にチェックがなされていれば、自動的に10000円の商品もコンバージョンするために入札単価を自動調整する。
「目標広告費用対効果」は、多くの商品をバランスよく売りたい場合に有効である。
「コンバージョン数の最大化」とは、予算内で、できるだけ多くのコンバージョンを獲得するための入札戦略である。
「目標コンバージョン単価」はコンバージョン単価を上限するもので、「コンバージョン数の最大化」は全体の予算を上限と設定したい場合に有効である。
利益を度外視して、コンバージョンのみを多く獲得したい場合はこの「コンバージョン数の最大化」が最適である。
12月には、これまで検索・ショッピングキャンペーンのみだった最適化スコア・最適化案においてディスプレイ広告が追加された。
Google広告はこの「スマート自動入札」のように、少ない広告予算でも膨大なデータを機械学習することで、コンバージョンを最大化できる広告システムの革新を目指しているように見える。
2019年6月26日、YouTubeは「おすすめ動画機能」の仕様を変更した。
「オススメ動画機能」とは、ユーザーの再生履歴やチャンネル登録などのデータをもとに、おすすめ動画を表示するレコメンド機能である。
YouTubeのこの「おすすめ動画」は「ホーム画面」や「次の動画」で表示を確認することができる。
しかし、自分の好みでない、動画を何度もお薦めされると、煩わしさを感ずるユーザーもいるだろう。
そのようなユーザーに対して、タイトル右の3ドットメニューの”興味なし” または、”チャンネルをおすすめしない”を選択することで、そのチャンネルの動画はYouTubeに表示されなくなった。
6月26日のYouTubeアップデートでは、この「おすすめ動画」を削除することが追加されたもので、これにより、よりユーザーの好みにあった動画を表示できるようになった。
2019年10月7日のアップデートはデザインに関するものだ。これはメジャーアップデートであり、YouTubeの使いやすさを重視した画面レイアウトは、非常にシンプルなデザインに生まれ変わった。
新デザインは、これまでごちゃごちゃ感が強かったが、これがシンプルに整理され、視認性が向上した。
チャンネル動画画面がサイズアップし、各行に配置される動画の数が減少した。
チャンネル表示が追加され、タイトルも長文が表示でき、分かりやすくなった。
ユーザーはチャンネル表示を見ることで、お気に入りのクリエーターの作品であることがすぐに確認することができるようになった。
このアップデートは、PCとタブレット端末を対象としており、スマートホンは従来通りとなっている。
2019年はプライバシー保護法の強化あり、世界で一番利用されているGoogleにとってはは、厳しい年だったように思う。今年もアメリカではCCPAなど新しいプライバシー法施行され、ますます、逆風となるだろう。
そのような中で、Googleが昨今、最も重要視しているのは、「機械学習アルゴリズム」だろう。2019年はこの機械学習によるスマート自動入札が何度もアップデートされた。
今、Googleに対して望むのは、「機械学習によるフェークニュースの検閲」である。
フェイクニュースは社会を混乱させ、間違った方向に先導する要因である。
現在、新型コロナウィルスが世界中に大きく拡大しているが、フェークニュースによる混乱も見受けられる。根拠のない出所不明のアナウンスが混乱を招いているのだ。
Googleの「機械学習」により、このようなフェイクニュースが検閲され、「信頼性が担保されたコンテンツ」にアクセスできる未来であって欲しい。
参考:
タグ: Google, Google AdWords, SEO, Youtube