2016年のグローバル都市調査が先日発表された。グローバル都市ランキングとは、ATカーニー社が毎年行う独自の指標で決定される。
全世界125都市を対象とし、まず、「ビジネス活動」30%「人的資源」30%「情報流通」15%「文化的経験」15%「政治的関与」10%の5つの観点(評価基準)から総合的に評価した[グローバル・シティ・インデックス/Global Cities Index]、この結果、上位5都市は調査開始の2008年当初より過去6回にわたり変動していない。
ロンドン、ニューヨーク、パリ、東京、香港と東京もグローバル都市として揺るぎない地位を保持している。今回はATカーニー社のデータからグローバル都市と世界の動向について見ていこう。
もうひとつの指標、[グローバル・シティ・アウトルック](グローバル都市展望)(下図右表部分)は、ATカーニー社が昨年から始めたもので、同じく125都市を別の視点で分析「個人の幸福度」25%「経済」25%「イノベーション(革新性)」25%「ガバナンス(意志決定と行動)」25%のこの4つの観点から将来的有望性を評価したものである。
このインデックスとアウトルックの2つの調査から見えてくることは、この125都市のうち 現在一番影響力があるのはどの都市かということ、そして、将来的に影響力を持ちそうなのはどの都市かということで、投資家に今後の投資先としてどの都市を選ぶかという判断材料になるということらしい。
下記の図が各地域別の125都市である。
今回初めて2008年以来2位に甘んじていたロンドンが、初めてニューヨークを抜き首位となった。上記5つの評価基準のうち、特に「文化的経験」と「ビジネス活動」においてロンドンがニューヨークを上回り、ロンドンは、「情報流通」においても顕著な改善が見られた。しかし、「人的資源」の観点ではニューヨークが依然トップの評価である。
昨年と同じくサンフランシスコが、その強いイノベーション(革新性)が評価され、首位となった。サンフランシスコにおける民間投資およびベンチャーキャピタル委任規模は、2位のニューヨークの二倍以上である。サンフランシスコに次ぐニューヨークは「経済」、3位のボストンは「イノベーション」、4位のロンドンは「ガバナンス」が牽引力となり、上位にランクインしている。
インデックスとアウトルックの調査は、グローバルならびに地域ののビジネス拠点や製造やリサーチのハブをどこに置くか、というビジネス上の投資判断に役立つとのこと。 このグローバル・エリート都市に関してだが、国別だとアメリカが6都市とトップである。アジア地域では2都市、ヨーロッパは4都市。
さらに今後、将来性がある都市としては、 ヒューストン、アトランタ、ストックホルム、アムステルダム、ミュンヘン、チューリッヒが期待される。 これらと都市は今後さらに伸びていく可能性があり、ビジネス拠点として候補にあがるだろう。
現在のグローバル都市インデックスの各指標のリーダー的都市が上記の表で示されている。例えば、人材でいえば、ニューヨークがトップ、 外国籍人口、トップランクの大学、さらに東京は高学歴でトップ、ロンドンは留学生人口がトップであった。
また、「文化的経験度」においては、ロンドンとニューヨークが殆どで、意外にも美術館はモスクワがトップであった。 「情報流通」ではブロードバンドの利用者が最も多いのはスイス(ジュネーブとチューリッヒ)、「オンライン・プレゼンス」情報利用率が高いのがシンガポールであった。
さらに、インデックスとアウトルックの両方で25位以内にランク入りしている以下の15の都市を「グローバル・エリート」都市としてピックアップ。 その年は、ロンドン、ニューヨーク、ロスアンゼルス、シカゴ、トロント、サンフランシスコ、ボストン、パリ、ブリュッセル、ベルリン、アムステルダム、東京、シンガポール、シドニー、メルボルン。
今回の調査結果で分かることは、どちらの調査にもランクインしている15都市は、ビジネスの今後の拠点としての候補地として提案、特にどの分野に長けているか、例えば、スイスがブロードバンドの普及率が高いこと、シンガポールが情報のオンライン化が進んでいるのも要チェック、このインデックスとアウトルック分析結果は、毎年一度行われるこの調査、世界の動向が掴める貴重な資料で参考になる。
参考サイト ATカーニー:https://www.atkearney.com/research-studies/global-cities-index/current-research-detail
タグ: 海外向けマーケティング
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