日本のスマートフォンの利用状況は継続して増加しており、2018年の調査では「スマホのみ利用する」ユーザーは48%となっており、男女比においては、女性の58%がスマホのみ利用しているという、「ネットはスマホで見る」が当たり前の時代になりつつある。
また、デジタル化、モバイル化の傾向は、広告界でも進んでおり、1月11日、電通イージス・ネットワークの「世界の広告予測」では、2018年はデジタル広告費(インターネット広告)がテレビ広告費を超えるだろうと予測され、そしてデジタル広告を牽引しているのが、モバイル広告なのである。
モバイルシフトは広告業界でも進んでおり、モバイル広告は急成長している広告媒体である。今回は、このモバイル広告について見ていこう。
電通の海外本社である電通イージス・ネットワークは、世界59カ国・市場から収集したデータに基づき、世界の広告費成長率予測を公表した。
対象媒体には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館(シネアド)、屋外/交通、デジタルが含まれている。
世界のデジタル広告費の成長率は、2018年にはに13.8%、2019年に12.0%、2020年に10.8%と、二桁成長が続く見通しとなっている。
予測によると、2018年の世界の総広告費に占める、デジタル広告費の割合は38.5%となり、初めて、テレビ広告費(35.4%)を上回るだろうとしている。
さらに、2019年は41.4%と4割を超える見通しだ。 グラフを見ると、今年、2019年にはデジタル広告は広告の割合が41.4%、2020年には43.8%と拡大が予測され、その要因として、さらなるスマホの普及と次世代通信規格「5G」の実用化が考えられる。
国別の広告成長予測では、アメリカ、ドイツ、インドが伸長しているが、イギリス、ロシア、中国では減速が予測されている。
2月28日の電通レポートによると、2018年の日本の総広告費は6兆5,300億円で前年比102.2%で、緩やかな成長であったとしている。
昨年は、度重なる自然災害などで広告活動が控える動きが広がったことなどが要因で、低成長率であったことが考えられる。
また、インターネット広告費と、マスコミ4媒体広告費(新聞、ラジオ、テレビ、雑誌)広告の割合比較すると、インターネット広告費は1兆7,589億円(前年比116.1%)、マスコミ4媒体広告費は、2兆7,026億円(前年比96.7%)とインターネット広告は5年連続の2桁成長で総広告費全体を牽引しているとしている。
2017年のインターネット広告の構成比をみると、モバイル広告の割合が68.1%に対して、 デスクトップ広告は31.9%と圧倒的にモバイル広告の割合が多い。
2018年ではさらに差は大きくなると予想され、7割以上がモバイル広告でその広告費は1兆円規模に達するだろうと報じられている。
モバイル広告の種別をみると、最も金額が多いのはディスプレー広告の40.9%、ディスプレー広告にはバナー広告だけではなく、動画広告、SNS広告が含まれる。
次に、モバイル広告にはどのような種類があるのかを見ていこう。
バナー広告はモバイル広告の中で最もよく見かける広告である。 端末画面の約1割サイズがスタンダードで320×50pxサイズの画像による広告である。
モバイルビジネスの最も初期から存在しており、広告主は所定のサイズのクリエイティブを用意する必要がある。
インタースティシャル広告は、全画面広告で、画面を覆うように表示され、閉じるボタンを押さないとコンテンツを見ることはできない。
ユーザーにとっては閲覧の妨げとなり、鬱陶しい広告である。アプリ型広告として見かけるケースが多い。
SNSのタイムラインに自然に溶け込んだ形で表示される広告がネイティブ広告である。
メディアにより様々な広告枠があり、表示がコンテンツと同様のデザインで表示されるのでクリック率が高くなるのが特徴である。
少し前ではパソコンサイトでしか見かけることがなかった広告形式だが、最近ではスマホにもリッチメディア広告が存在するようになった。
リッチメディア広告とはユーザーの動きに合わせて、動画、音声が再生される表現手法の広告を指し、ユーザーの目を引き、印象に残りやすい。
そのため、連続性やストーリ性を訴求したいブランド広告向きであり、ブランディングに適する広告と言える。
Youtubeなどの動画に挿入される広告でが動画広告である。動画の再生前に挿入される動画広告は、途中でスキップできるが、中にはスキップできないものもある。
動画広告は、静止画像広告に比べ、映像を通じて商品の理解がスムーズでき、広告も出稿方法や広告を出すターゲティングやレポーティングなどが容易であるため、費用対効果を見込める広告と言われている。
一度サイトにアクセスしたことがあるユーザーをターゲットにして、ユーザーに最適化された広告を表示することで、商品の購入やアプリへの訪問を誘導する広告である。
モバイル版リターゲティング広告はクロスディバイスに対応しており、例えば、自宅でコートを買おうとパソコンで検索したユーザーのスマートフォンに様々な衣類商品を露出することができるので反応率は自ずと高くなる。
モバイル広告は、これから輝かしい時代を迎えるだろう。 モバイル広告はディスプレィ広告の42%を占めており、昨年、その中でもインスタグラム広告とLINE広告は顕著な伸びを示した。
日本国内ではインスタグラムの月間AUが2,900万人を超え、インスタグラムは若い女性中心のメディアと言われていたが、最近では男性ユーザーも全体の43%を占めており、さらには50代女性にも利用が広がっている。
また、インスタグラム広告と一口に言っても、動画広告、画像広告、カルーセル 広告、コレクション広告、ストーリーズ広告、ダイナミック広告とその種類も豊富に用意されている。
特に最近よく見かけるのが、ストーリーズ広告と呼ばれる、「ユーザー目線による動画広告」である。インスタグラムおいては、インスタグラムではもはやストーリーズしか見ないといったユーザーも増えつつある。
さらに、そのストーリーズを投稿している3分の1は企業アカウントからで、今後、このストーリーズ広告はビジネス活用の期待が高まっている広告形式である。
インスタグラム広告はユーザーのタイムライン上の投稿間に画像や動画が投稿されるインフィード型の広告であり、ユーザーの投稿に馴染むコンテンツが配信される。
つまり、ターゲティングが自動的に行われている点が大きい。 また、Facebook広告を行っていれば、そのデータフィードをそのままインスタグラム上でも活用できる。
具体的には、地域、年齢、性別といった属性情報はもちろん、行動や興味関心に基づいた、最適化された広告配信を行うことができる。
インスタグラムを利用している車好きのビジネスマンであれば、車のブランドやカー用品など、その男性が気に入るだろうブランド広告や商品広告を高精度なターゲティング機能により最適化し配信され、高いコンバージョン率を期待することができる。
インスタグラムはビジュアルが最重要で、商品説明は短く、画像や動画に力を力点をおいている広告が多い。
そして、クォリティの高い画像や動画はそのまま購入転換率を高めている。 あるデータによるとインスタグラムユーザーの7割がインスタグラムを見て、何らかの行動を起こしたことが明らかになっている。
昨年、デジタル広告業界は大きな転換期を迎えたと年と言って良いだろう。
つまり、デジタル広告のターゲティング機能が高度化することにより、より購入確率が高い人へ最適化された広告を配信されるようになり、広告に対する期待値がより高まったことである。
今後は、このデジタル広告はさらに、AIとターゲティングを活かした形に進化し、費用対効果はさらに高まるだろう。
例えば、二人で同じ企業サイトを閲覧していても、自分の見ているサイトと、隣の人が見ているサイトに表示される広告内容やコンテンツ内容は全く違うものが表示される時代になるだろう。
デジタル広告は、その人、その人に合わせカスタマイズされ表示される、そんな時代は近いのである。