荷物を海外に出荷後、FedexまたはDHLから嫌な電話がかかってきます。
それは、荷物が税関を通らないという連絡です。
一般にそれは「サプライズ料金」または「HSコードの不正確な割り当て」等によって引き起こされる悲劇です。
これは、何も知識武装せずに越境ECを行った場合に起こりうる悲劇ですが、知識と技術を駆使すれば、これらの悲劇をコントロールすることが可能です。
このブログを読んでいただければ、事業をよりリスク少なくする知識を得られるはずです。
国際貨物の場合、消費者が配達を拒否したり、税関が荷物を通さなかったりすることで放棄された荷物が発生します。発送人であるあなたが次に何をするかによって、拒否された荷物が放置された荷物に変わるかどうかが決まります。
税関や顧客が荷物を拒否した場合、荷物を返送してもらうか、荷物を放棄するかを決定する必要があります。荷物を返却してもらうのが当然の答えのように思えますが、多くの小売業者は、商品を自国に輸入するための返送関税、送料、その他の手数料を支払うのを避けるために、荷物を放棄することがあります。当社も、よく放棄(つまり、現地での破棄)をします。
なぜなら、商品の(仕入れ)価値以上に費用がかかるからです。国によっては、輸入拒否された荷物を元の国に輸出しない場合もあります。その場合、輸入拒否れた荷物は常に放棄された荷物となります。
放棄された荷物とは、つまり輸入拒否された結果に起こります。
では、なぜ荷物の輸入拒否が起こるのかです。
配達時の「サプライズ料金」(関税、税金、手数料)
海外の買い物客の多くは、関税、輸入税、手数料(仲介業者や運送業者の稀に課す手数料など)を支払わなければならないことを知らないか、支払う必要があることは知っていても、それがいくらになるかを知らないのです。運送業者がこの追加請求書を提示すると、購入者は不愉快なショックを受け、追加費用を支払う気がないため、または小売業者が価格について率直でなかったと感じるため、荷物を拒否する場合があります。
荷物の到着に時間がかかりすぎたため、不要になった
国をまたぐ配送は、国内配送よりも時間がかかります。
税関での保留など、いくつかの要因が荷物の到着時間を余計に長くする要因になります。
荷物の到着が遅れた場合、消費者はすでにその商品を必要としなくなったり、必要な商品を得るために別の方法を見つけたりすることがあります。また、荷物の到着が遅れたことで、消費者が不快な思いをし、それを理由に受け取りを拒否することもあります。
通関拒否、コンプライアンス問題
税関職員は輸入規制について厳しいことで知られています。
そのため、荷物に制限品目や禁止品目が含まれている場合、書類の不備がある場合、またはその他の貿易規制違反がある場合、税関職員はその荷物を拒否することができます。
例えば、2023年3月、EUでは輸入管理システム2 (Import Custom System 2 ※)が要求するデータに不備がある場合、EC(欧州連合)に入る荷物は拒否されることになります。
もう一つの重要なコンプライアンス問題として、低額納税制度の問題です。例えば、英国に入る低額商品は輸入前にVATを徴収する必要があり、小売業者は顧客からTAX IDを取得し、英国の税務当局であるHMRCにVATを送金しなければならないというルールがあります。
Import Custom System 2 とは、2023年3月より新しく更新された、電子通関による輸入手続きの概要です。EUに入るすべての商品は電子通関により安全性とセキュリティーリスクが分析され、電子通関書類がそろっていなければ、そもそもEUへの輸入ができません。
簡単に言えば、手書きの書類は一切受け付けないということです。
輸出書類に必須となるインボイスの電子化、HSコードの厳格化、商品名、商品概要の明確化が義務付けられることになります。
そもそも論として、消費者は不必要な費用を請求されたとたん、「いらない」となり、受け取り拒否されると、小売業者は以下のような悲劇をこうむることになります。
高額な返送料を払う
消費者が荷物を拒否し、小売業者が自国の倉庫に返送することを決めた場合、小売業者は商品を自国に返送し輸入するための費用を支払わなければなりません。
EMSによる返送は幸い返送料がかかることはありませんが、輸入に対する関税、税金、手数料が別途発生することがあります。
FedEx/DHLの輸入送料は輸出送料の最低でも2倍から5倍かかる場合あります。
荷物を返品してもらうと、破棄するよりも高くつくことがあります。
発地国、着地国によって、輸入費用が輸出費用の2倍から5倍になることがあり、在庫して再販売しても、この商品は完全に赤字になるでしょう。
再販売しても赤字になるとわかれば、現地で放棄するのは当然の選択であり、だからこそよくあることなのです。
新たなリスクコスト
消費者が荷物を拒否して返金を要求した場合、貴社の配送ポリシーによっては、その要求を拒否することもできます。
しかし、税関で荷物が拒否された場合、消費者に返金せざるを得ません。消費者に返金するということは、商品の価値、送料、そして販売から得られるはずだった利益を失うということです。1つの荷物だけならまだしも、それが月に2度、3度と積み重なっていくと、大きなコストになってしまうのです。
顧客生涯価値の低下
海外のお客様が不快な思いをされ、二度とWEBサイトに訪問されなくなった場合、あなたのビジネスにとって重要な顧客1名あたり生涯収益の機会を失ってしまう可能性があります。その顧客は、もしかしたら将来にわたって莫大な売上を作る優良顧客であったかもしれませんし、有名なインフルエンサーで、あなたのブランドを左右する存在であったかもしれないのです。
ここまで読んでいただければ、荷物が拒否される原因、それによって荷物を放棄せざる得ない理由が明確に分かったと思います。
では、ここからは越境ECでは避けて通れない「荷物の放棄と拒否」を避ける解決策について考察していきます。
コストの透明性を最大限高める
率直に、「サプライズ料金」をなくせばよいわけです。
つまり、消費者がWEBサイトで商品を買う時に、
が分かれば何の問題もありません。そして、これらの代金を商品購入時に全額払ってしまえば、商品受け取り時に新たに追加で支払い「サプライズ料金」は完全になくなります。例えば、eBayでは2022年からWEBサイトの表記にこれらすべてが表示されるようになりました。
FedExまたはDHLを利用することを推奨
EMSを利用する場合は、相手国側の郵便局との手続き済ませれば物理的には可能ですが、業務で継続的に処理しないといけなくなることを考慮すると現実的ではありません。
FedEx/DHLを利用する場合は、関税費用元払いとして送り状とインボイスを作成すれば、この問題はすべて解決されます。
HSコードを登録して関税を表示
越境ECサイトで商品を登録する際に、HSコードを登録すれば、ZONOSという関税計算APIサービスを利用してWEBサイトに関税を表示することが可能になります。
訪問者の国を特定
越境ECサイトに訪問したユーザーのIPアドレスから、国・都市名を追跡することができるip stack IPアドレスと国・都市名を変換してくれる というAPIサービスを利用して訪問者の国を特定することができます。
①訪問者の国、②商品のHSコード、③原産国 がわかると 輸入手数料が計算され、「サプライズ料金」なしにビジネスを行うことができます。
なを、Live Commerceでは、ZONOSの関税計算APIサービスをご利用いただくだけで、上記のすべての機能を越境ECサイトに表示させることができます。
HSコードとは?
HSコードがあることで、輸出入の際に、それらの商品を分類する番号することができ、その番号から、その商品の関税率や、原産地規則(貨物の原産地(国籍)を決定するためのルール)を調べることができるのです。
例えば、マグカップのHSコードをし食べたい場合は、Googleで「マグカップ HSコード」で検索すると、通関士.COMのサイトで 6912.00 とヒットします。これがHSコードで、これを商品登録時に登録しておくのです。