費用対効果が高い!「インフルエンサーマーケティング」とは


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「インフルエンサーマーケティング」というキーワードがマーケティング界隈で、トレンドとなっている。
企業のブランドキャンペーンや商品販売などの販促施策に「インフルエンサー」を活用するケースが増えている。 「インフルエンサーマーケティング」については「インフルエンサー」の意味や「インフルエンサーマーケティング」の方法を理解していないと、インフルエンサーを起用しても、結果が出ない、効果がなかったなど起こりうる。
今回は、この「インフルエンサーマーケティング」について概要を整理し、中国販売にインフルエンサーを活用する方法などまとめてみた。

そもそも「インフルエンサーマーケティング」とは?

「インフルエンサー」とは、影響・効果・勢力の意味で、社会や個人に対して大きな影響力をもつ人を差し、インターネット上でSNSやブログを通じて一般消費者の消費行動に大きな影響を持っている人を言う。
そして、「インフルエンサーマーケティング」とは、このインフルエンサーに企業の商品やサービスを紹介してもらうことで、製品の販売促進や企業イメージアップに繋げる手法のことである。
このインフルエンサーにはタレントやモデルといった芸能人やスポーツ選手や専門家など多くのフォロワーを持つ一般人なども含んでいる。また、このインフルエンサーにはフォロワー数が何人以上いなければならないという明確な定義はない。
この「インフルエンサーマーケティング」の特徴は、商品やサービスのPR方法の主体が広告出稿企業にあるのではなく、「インフルエンサー」に比重があるというところだ。
インフルエンサーは通常の投稿するトーンになじませる形で商品PR投稿することで、ターゲットユーザーに他の投稿と違和感なく閲覧してもらうことができるのである。

インフルエンサーマーケティングのメリット、デメリットは?

「インフルエンサーマーケティング」はインフルエンサーを最適に運用すれば、非常に費用対効果の高い宣伝手法である。
しかし、そもそもインフルエンサー自身も広告のプロではないので、リスクも高く、広告媒体として新しい宣伝方法であるため、企業側も手探り状態であることは事実だ。
ここでは、インフルエンサーマーケティングのメリット、デメリットを整理しておく。 まずは、メリットから。

■ユーザーリーチに有効

インフルエンサーを活用することで、アプローチしたいターゲットに対して商品をPRできる。 インフルエンサーのフォロワーの性別や年齢など、インフルエンサーによって異なるので、インフルエンサーの起用によって、的確なアプローチが可能である。

■広告ブロック機能、バナー広告ブロックに対応できる

ネット広告自動でブロックする「アドブロック機能」の登場や、バナー広告というだけで嫌悪、拒否するユーザーが増える中、インフルエンサーの投稿であれば、基本的に拒否されることはない。 インフルエンサーの宣伝は、従来の広告より、信頼されやすいために、売り上げアップを期待できる。

■広告費用を抑えることができる

これは直接、インフルエンサーに商品PRを依頼した場合の相場だが、1フォロワーあたり、2〜3円程度である。1万人のフォロワーがいても広告費は2・3万円程度である。
人気インスタグラマーでも1フォロワーあたり、4〜6円程度である。

■計画的なブランディングが可能

インフルエンサーマーケティングでは商品のPRだけではなく、定期的に特定のインフルエンサーにブランディングとして、商品だけではなく企業PRを盛り込むことで、徐々に会社のブランドイメージとして認知され、イメージアップに繋げることもできる。
デメリットはインフルエンサーの投稿内容を企業側にコントロールできないことや、投稿内容によっては、商品イメージが低下したりすることがあげられる。
以下にデメリットをまとめた。

■炎上すると企業イメージダウンにつながる

インフルエンサーがいわゆるステルスマーケティングを行なった場合、つまり、消費者に宣伝とはわからないように商品の宣伝行為を行なった時に、その行為がバレるとネットでは炎上し、企業イメージは悪くなる。 広告は広告として明確に表示し、行わなければならない。

■宣伝効果が出ない場合がある

インフルエンサーはフォロワーにリーチすることができても、その商品を購入するかどうかは、ユーザー次第ということを忘れてはならない。
ポイントは消費者がインフルエンサーの投稿内容に共感するかどうかである。 株式会社トレンダーズが実施した「女性のSNS利用と消費行動に関する調査」によると、インフルエンサーのフォロワーの54.4%は欲しいと思った。3割近くが実際に購入したことがあると回答している。
つまり、共感を呼べば、約3割近くのユーザーが購入するの可能性があるということだ。

■単発では効果が出にくい

インフルエンサーの投稿は単発では効果が見込めないことを理解しておこう。 1回限りではインフルエンサーのフォロワーは商品を忘れる可能性が高いだろう。 何度か定期的に商品を宣伝し、記憶に残すことが、広告の基本である。
より高い効果を出すためには継続的なPRを行い、インフルエンサーのブランドへのロイヤルティーを高めることが重要である。

インフルエンサーマーケティングで効果の高い商品は?

インフルエンサーが行うPR広告と商品は、各SNSメディアの持つ特性により変わってきている。 各SNSメディアとは、Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)、Twitter(ツイッター)が代表的なところである。それぞれメディアによってどんな商品が向いているのか、見いていこう。

■Instagram(インスタグラム)

Instagramによるインフルエンサー投稿は、基本的には、ブランドの認知、拡大を目的とした方が良い。なぜなら、Instagramは基本的に投稿からリンクを貼ってユーザーを誘導することができないためだ。
Instagram利用者は10代から30代の女性が多いのことを考えると、ファッション、美容、グルメ、旅行、インテリア雑貨など商品・サービスがマッチするだろう。

■YouTube(ユーチューブ)

Instagramと違い、YouTubeは動画あり、情報量の多い動画をつかって、商品プロモーションを行うことができる。 食品関連、おもちゃ、スマホアプリなど、インフルエンサーに実際に試していただき、その商品の感想動画や商品の細部を見せたい場合に向いている。
また、商品購入ページにリンクを貼ることができるので、ユーザーが動画視聴後、すぐに商品ページで購入に移ることが可能なので、ECサイトと相性がいい。

■Twitter(ツイッター)

Twitterの大きな特徴は「拡散性」である。Twitterは動画、画像の埋め込み、URLリンクも設定できるので、キャンペーンやECサイトへの誘導へと機能させることができる。 Twitterはその拡散性の高さから、インベント告知や店舗来店を促すキャンペーンに向いている。

■芸能人とインフルエンサーは同じくらい影響力に違いはあるのか!

一般インフルエンサーと芸能人の投稿でどのくらい影響力が違うのだろうか?
アンケートによると、Instagramの投稿を見て実際に行動に移した人の割合を見ると、芸能人の場合は39%、インフルエンサーの場合は38%とあまり差がないことがわかっている。
だが、カテゴリーにバラツキがあり、ファッションやコスメは芸能人の投稿を参考にしており、飲食系はインフルエンサーのものを参考にしている傾向があるようだ。

インフルエンサーの活用のポイント

インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーの選定で結果が決まると言っても過言ではない、PRする商品やサービスにあったインフルエンサーを選ぶことが最も重要である。
どんなにフォロワーが多いインフルエンサーであっても、商品やサービスにマッチしていないインフルエンサーでは、効果が出ないだろう。
選定の基準は下記項目である。

  • フォロワー数
  • フォロワーの年代、属性
  • インフルエンサーの普段の投稿内容
  • 投稿に対するフォロワーからの反応(イイねやコメント欄の内容)
  • インフルエンサーの得意分野、価値観、性格、ライフスタイル

そして次に大事なポイントとなるのが、一度仕事を依頼したら、インフルエンサーに仕事を任せるということ。
インフルエンサーに自社の言いたいこと、使ってほしいワードなど無理強いして、インフルエンサーの世界観が薄められると、結果的に良い反応は起こらないだろう。
なぜなら、多くのフォロワーはインフルエンサーの普段の世界観が好きだからフォローをしているからである。
商品やサービスの良さをインフルエンサーにしっかり理解してもらうところまでは、担当者は関与しても問題ないが、その後のPRの表現方法はインフルエンサーに任せることである。

インフルエンサーマーケティング市場の今後はどうなる?

デジタルインファクトは、インフルエンサーマーケティング市場に関する調査結果を発表した。調査結果によると、インフルエンサーマーケティング市場は着実に拡大し、2018年のおインフルエンサーマーケティング市場は、219億円と推定された。
チャンネル別内訳は、YouTubeが39%、Instagramが27%、ブログ・Twitterが23%、その他が11%となっている。今後は、TikTokやライブ配信サービスなど、新しいチャンネル台頭も予測され、さらに新規のプラットフォームの登場の可能性も高いとしている。
この市場は、まだ新しい広告メディアであるため、広告表記のルール化や広告効果の可視化が進めば、今後も拡大すると予想される。 2023年には500億円を突破。2028年には933億円規模に達すると見込まれている。

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中国インフルエンサーを活用して中国販売する

世界のEC市場でトップの中国では「インフルエンサーマーケティング」が隆盛である。ダミー商品などが多く流通している中国では、マス広告をあまり信用していない。
商品やサービスの購入には友人などの口コミ、特にインターネット、SNSのレビューやインフルエンサーの投稿動画などに影響され行動に移すことが多い。
中国ではこのインフルエンサーを「KOL(Key Opinion Leader)」、「網紅(ワンホン)」と呼んでいる。 この「KOL」に対する信頼はとても厚く、世界的にも早い段階からインフルエンサーマーケティングは発達してきた。
今では、中国EC市場規模70兆円の鍵を握るのはこの「KOL」と呼ばれる人々と言われている。
中国「KOL」が投稿に利用するSNSは「微博(Weibo)」、「微信(WeChat)」、最近では、前回のブログでも紹介した、「Douyin(抖音)」や「RED(小紅書)」である。
そして、最近ではこの中国「KOL」に、日本の商品やサービスをPRを依頼し、集客する日本企業が増えてきた。中国販売の一つの集客戦略として中国インフルエンサー(KOL)を活用する方法である。
ここでは、中国で「インフルエンサーマーケティング」を行う際のポイントについて見ていこう。

■中国KOLはさまざま、得意分野があることを知る

中国KOLは「微博(Weibo)」を中心にフォロワーを獲得した後、それぞれ、影響力の高いメディアへ移っていく傾向がある。KOLが影響力がある分野は、「旅行」「ファツション」「美容」「ライフスタイル」である。
有名KOLと呼ばれる、芸能人のような存在のインフルエンサーはファッションやライフスタイルのPRに強く、旅行に関してはブロガー系KOLが影響力がある。
観光記事をブログで公開し、SNSで観光地の写真や感想を投稿している。

■日本企業が中国インフルエンサー活用で失敗しないためには

KOLのプロモーションには大きく2つの目的、種類がある。一つは商品の知名度、企業イメージを上げることを意図したもの。もう一つは商品、サービスの売り上げを上げることを目的としたものである。
まず、目的を明確にしてKPIを決めることである。 仕事の流れとしては、まず、企業から、日中間コンサルタント企業に仕事を依頼する。 そして、日中間コンサルタント企業は中国現地インフルエンサー個人またはエージェントが中国国内のSNSで投稿するという流れになる。
大切なのは、二つ目の「コンバージョンを意識したプロモーション」を行う場合に、「受け皿」の構築が必須であるということだ。それも中国国内にその受け皿を構築することが重要なポイントである。
中国には中国政府によるアクセス規制の問題があり、日本国内サーバーでは最適化されない。中国国内の「Wechat」などの公式アカウントを作成し、アカウントにダイレクトにアクセスできる「受け皿」を作り、集客することが重要である。

■資生堂は昨年インフルエンサーを起用しアクセス数を稼いだ

昨年6月18日、資生堂は「天猫国際(Tmall Global)」のマツモトキヨシ店でインフルエンサーを活用し、アクセス数首位を獲得した。
インフエンサーによる動画プロモーションで、商品は「MAQuillAGE(マキアージュ)」。内容はまず、中国のSNS「Weibo(微博)」「WeChat(微信)」による口コミを拡散させ、最適な中国KOL一人に動画制作を依頼した。
さらに、コンテンツ拡散サービス「WEIQ」を活用し、13人のインフルエンサーに「Weibo」での引用投稿を依頼したというものだ。
結果、総再生回数は336万回を突破し、SNS上に「商品を購入したい」と言ったコメントが約8000件、総エンゲージメント数は3万件を叩き出した。
KOLの動画経由で、多くのユーザーが商品ページに流入し、「618」期間中のアクセス数としては「天猫国際」では首位を獲得した。


「松本清海外旗艦店」

まとめ

「インフルエンサーマーケティング」は、SNSによる新しい広告戦略である。
インターネット情報ページの過度な広告露出にユーザーはNOを示し始めている。 ここで、注目され始めてたのが今回とりあげた、より広告感なく商品をPRできる「インフルエンサーマーケティング」である。
インフルエンサーには影響が及ぶ範囲や世界観、得意な媒体などがあり、インフルエンサーの選定が重要なポイントとなる。
インフルエンサー活用には、フォロワー数の大小ではなく、「自社PRにマッチしたインフルエンサーであるかどうか」、「インフルエンサーはこころから商品をPRしてくれるか」を意識して施策することで、費用対効果の高い集客、ユーザーエンゲージメントを確立することができるだろう。

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