11月に入り、2021年後半における越境ECプラットフォームで売れ筋日本商品の発表が相次いで行われた。
ひとつ目は、BEENOSが「越境EC 世界ヒットランキング 2021」を発表し、越境EC売上が前年同期比51.2%増という中、アメリカ、台湾からの流通増という内容を示した。
二つ目はeBayジャパン。eBayジャパンは越境ビジネスにおける2021年度第3四半期(7‐9月)から、その販売動向としての売れ筋商品のランキングを発表した。
両社の発表から言えることは、越境ECにおいて「JAPANコンテンツ」は売れ筋商品であり、現況では不動であると言う点だ。
今回は、このBEENOSの「越境EC 世界ヒットランキング 2021」と、eBay「2021年第3四半期の越境ECトレンド」のから、越境ECでの売れ筋商品の動向とJAPANコンテンツについて注目度の高い商品についてまとめた。
BEENOSは、11月10日、2021年の越境ECの消費動向を振り返りランキングを発表する「BEENOS 越境EC 世界ヒットランキング 2021」を公表した。
これは、BEENOSが運営する、BEENOSの海外代理購入サービス「Buyee」の世界から注文された商品の「世界人気TOP5」と「世界のエリア別商品ランキング」である。
これを見ると、今、世界で求められる日本の商品は何か?を知ることができる。
越境ECの世界人気TOP5は以下の内容である。1位から5位ランキングおいて、日本の商品は前年同期を上回る上昇率を示している。
アメリカ、ヨーロッパ、東アジア、東南アジアの全てにおいて「おもちゃ、ゲーム」がトップで、「ファッション」が2位にランクインしている。
BEENOSの総括によると、2021年の世界共通の消費傾向として「エンタメ」と「ファッション」の2領域における消費が進んでいる。とし、これは、「動画配信サイト」や「SNS」など情報発信の影響が売上げ増に大きく反映されたものだ。と記している。
つまり、「エンタメ」においては、NETFLIXやAmazonの動画配信には日本アニメ専門チャンネルがあり、日本のアニメに興味を持ったZ世代が、アニメを見て感動することで、そのアニメ関連の書籍やカード、グッズを越境ECから買い求め、それらをSNSで情報発信することで、さらに新たな購入者が生まれ、購買力が高まると言う越境ECでの購入プロセスができていると思われる。
日本の海外販売を支援するeBayジャパンは、11月12日、2021年度第3四半期(7‐9月)の期間に日本セラーから出品されたアイテムの販売動向を発表した。
これを見ると、日本のトレーディングカードブームは衰えを知らずで、4期連続の前年比3桁成長の伸び率でトップとなっている。
以下が1位から5位までのeBay・Japanの売れ筋商品である。
次に、カテゴリーランキングでは、こちらは、女性向けのブランド品(Clothing& Accessories)が4期連続の1位と安定している。
ただ、今期は2位以下は順位の変動が見られた。2位にランクアップしたのは、時計(Jewelry, Gems, Watchesカテゴリー)、2位から3位にダウンしたのはアニメ・キャラクターグッズ、4位のカメラレンズ・フィルターは5位からひとつアップ、5位のフイルムカメラもアップしている。
3位から大きく順位が落ちた、6位の「トレーディングカード」であるが、それでも、今期も+237%と4期連続の3桁成長を記録した。
日本のアニメ・キャラクター関連商品は、「JAPANコンテンツ」として、越境ECでは不動の位置にあることが分かる。
「JAPANコンテンツ」とは、日本の漫画、アニメ、ゲームと、それら関連商品である。さらに、最近では、日本映画やJ-Pop、テレビドラマ、ラジオの番組などもその部類に入る。
現代は、スマートフォンで自由にいつでも、どこでも、これらコンテンツを視聴できる時代になった。
特にアメリカでは、日本の「JAPANコンテンツ」のアニメや漫画は人気があり、特に漫画においては、アメリカのグラフィックノベルの売上の増加は日本の漫画人気の急増がその要因となっているらしい。
次に「JAPANコンテンツ」の越境ECまでの流れや注目度の高い商品、商機ある商品は何かをまとめた。
2021年前期、大ヒットしたアニメ「鬼滅の刃」が世界で人気を集め日本のアニメが注目された。これに拍車をかけたのがNETFLIXやAmazonの動画配信サービスである。
「鬼滅の刃」、「進撃の巨人」、「呪術廻戦」など、日本だけではなく世界で同時に配信された。
そして、アニメから原作コミックスへ波及し、さらに関連商品としての文房具、フィギュア、グッズ、食品を越境ECで商品を本格的に購入する流れになっていった。
例えば、漫画商品は一度に、最新刊はもちろんコミックススなら全巻、カードやフィギュアなどの関連商品を越境ECでまとめ買いすれば、送料を節約できるというメリットがある。
海外ユーザーにとっては、アニメ関連商品は越境ECでセットとして売られているいると、さらに便利に感じることだろう。
越境ECで「JAPANコンテンツ」購入までのカスタマージャーニーは、いくつかあるが、「エンタメ」における売れ筋商品となる流れは、上記のように、昨今の有名動画配信サービスから世界同時に「JAPANコンテンツ」が配信されることが、その発端となっている。
これまでは日本でアニメなどヒットしてから、海外で火が付き、漫画・コミックスや関連グッズが売れると言う時差があったが、動画配信サービスでは、日本のヒットに関わらず、リアルタイムで人気が出るアニメが登場するだろう。
そして、人気となったアニメに関しては、視聴者は物語を深く味合える原作本、つまり漫画・コミックスを買い求めることになるのだろう。
アメリカの市場調査会社NPDグループの「NPD BookScan」が、「アメリカにおける2021年第1四半期の書籍売上データ」によると、アメリカでは2004年以来、書籍売上において史上最高の書籍売上を達成した。
その要因は、グラフィックノベルの劇的な売上増加であり、販売部数は前年同期比プラス400万部を達成した。
さらに、驚くべきは、グラフィックノベルの売れ筋ランキングを見ると、1位〜20位の中の19作もの日本のコミックスが並んでいる。
例えば以下が1位〜5位である。
下のグラフは、アメリカの漫画の2002年から2020年までに売上高の推移だ。
2020年の売上高は2億4000万ドル(約264億円)を示しており、過去最高であった2007年の2億1000万ドルを大きく超えている。
アメリカでは、コロナ禍以降、漫画ブームが起きており、そのほぼ全ての売上を占めているは日本の漫画、コミックスなのである。
アメリカ販売においては、日本の漫画・コミックスには大きな商機があることを示している。
世界共通のプラットフォームによる同時配信、リアルタイムの多言語翻訳により、世界が同時にヒットする可能性が増加している。自国のトレンドが世界のトレンドなる可能性も高い。
そして、「JAPANコンテンツ」の中でもアニメは最もヒットの可能性が高いものだ。アニメから漫画・コミックス、そして、越境ECと言う傾向が強くなっている。
「Japanコンテンツ」を日本のECサイトのみで販売しており、海外からのアクセスや問い合わせがあれば、越境ECを構築し、海外販売に挑戦すべきだろう。
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