日本のBtoCにおけるEC市場規模は15兆1,358億円(2016年)、2020年には20兆円規模にまで拡大すると予測されている。EC化率は物販系分野で5.43%。このEC化率においてはアメリカは7%、中国は15%などと比べるとまだまだ低い数字と言えるだろう。
逆に言えば、まだまだ、店舗が独立したECサイトを持つ余剰は、まだまだあると言える。そして、 ECサイト構築にはパッケージ化したプラットフォームを利用するのが一般的である。
日本では、SI Web Shopping、COMPANY-EC、EC-CUBE、Orange EC、ebisumart、ecbeing、Live-Commerceなど、 それぞれ価格帯やサービスに特徴を持ったプラットフォームを利用すれば、自社ECサイトを構築できる。
では、海外ではどのようなプラットフォームがあり、それぞれどのような特徴やメリットがあるのだろうか?
今回は世界的にも有名なECサイト構築のためのプラットフォーム5社のサービス内容を見ていこう。
Magento(マジェント)は2008年3月に正式リリースされたアメリカ・ロサンゼルスを本拠とした、ECサイト構築用のオープンソースのソフトウェアである。Magentoを利用して構築されたサイトの数は25万サイトを超え、開発者には10万人以上の人が関わっている。
日本でもMagentoを使ってECサイト構築した利用者は多い。 言語対応も60カ国の言語でに対応しており、Magentoのオープンソースをベースにカスタマイズできる拡張性の高さが強みである。
Magentoは世界的なオープンソースのECプラットフォームで、海外での浸透率は非常に高い。世界的に高い利用度を背景にした「Magentoコミュ二ティ」が活発である。 そして、Magentoには10万人以上の開発者が様々な形で関わっているため、様々なエクステンションやサービスを提供する企業も非常に多く存在する。
また、毎年アメリカはラスベガスでは、それら開発者が一同に会する年次カンファレンス「Imagine Conference」が催されている。日本でもMagentoコミュニティ主導のイベントが毎年、数多く開催されているようだ。
WooCommerce(ウーコマース)は世界で最も利用されているCMSであるWordPressのEC化するためのプラグインである。報告によると世界のECサイトの39%はWooCommerceでできているらしい。
このWooCommerceはWordPressのプラグインでインストールするとサイトをECサイトにすることができ、同時にWordPressのプラグインでサイトを自由に拡張することが可能となる。2017年9月現在、アクティブインストール数は、約300万サイトとなっている。
WooCommerceはWordpressをベースとしたプラグインが数多くあるというところがWooCommerce普及の最大の要因である。 WooCommerceを利用すれば自社ECサイトの拡張性を高くする、つまり自社サイトに多様なプラグインを追加することができる。
例えば、定期的な課金、ペイメントゲートウェイの追加、複雑なクーポンの発行、送料計算、マーケティングツールなど、およそ通常のECサイトにある機能については、多様なプラグインを有効化することで、ECサイトを構築することができる。さらにそれら拡張プラグインは日々開発され、追加されている。
2006年カナダでスタートしたSaaS型のECプラットフォーム、Shopify(ショピファイ)は世界175ヶ国、50万以上のネットショップで活用されており、日本語にも対応している。
SaaS型プラットフォームとはパッケージ化されたソフトウェアをインターネット経由で行うサービス形態のことで、事業者は自前でサーバの手配や管理、ソフトウェアのインテグレーションなど高度な知識が無くてもECサイトを構築できる。
Shopifyは有料である。月額利用料金は、$29ドルから$299ドルまでと販売規模に応じたプランが設定ができる。また、別途、取引手数料が0.5%〜 2.0%とプランに応じて設定できる。
ShopifyはECサイト構築、プラットフォームとしては、モバイル機能や在庫管理システム、ギフトカードやレポート作成、カゴ落ち防止機能、SNSや他のストアと連携機能など、様々な機能が用意されている。
プランによっては利用可能な機能や取引手数料は違っているが、コストパフォーマンスが良く、洗練されたECサイト構築には力を発揮するだろう。
BigCommerce(ビックコマース)は2009年オーストラリア人2人がアメリカでスタートしたECプラットフォームである。現在55,000以上のEC店舗が利用しておりSaaS型ECプラットフォームの大手と言える。
大企業から個人事業主まで、全ての事業規模を対象としてプラットフォームはデザインされている。技術的なリソースやカスタマイズが必要なければ、BigCommerceは最も簡単に導入できるシステムと言われている。だた、日本語に対応していないところが、残念なところである。
BigCommerceは月額29.95ドルから利用できる有料のプラットフォームで、15日間のトライアルもある。また、取引手数料はないようだ。こちらも英語のみの対応で日本対応はない。BigCommerceはカスタマーサービス、24時間サポートに重点を置いているため、小規模ビジネスにとっては有効なプラットフォームとなるだろう。
また、Shopifyと同様、フェイスブックやツイッターなど、SNS連携が可能で、Bigcommerceを通じて直接、eBayストアを開設することもできる。アプリケーションを利用すれば、Amazonストアにも展開できる。
PrestaShop(プレスタショップ)はフランス、パリとアメリカ、マイアミに本社を置き、ヨーロッパ諸国のECサイト構築に広く利用されているプラットフォームである。 オープンソースなので基本的にインストールは無料である。
PrestaShopはオープンソースのオンラインショップの草分け的存在で、そのユーザー数100万人以上を有し、海外販売、デジタル製品の販売が強みのようだ。
PrestaShopはヨーロッパで人気が高く、ヨーロッパの様々な言語での取引が可能である。 最大の魅力は多言語や多通貨に対応し、そして値段や送料などの設定に柔軟性あるところだろう。ヨーロッパでは越境ECサイトとしてショッピングサイトが構築できるところが人気である。
また、機能面においてもJTS&ペイジェントといったグローバル決済モジュールやニュースレター配信機能、配送オプション機能など様々な機能がボタンひとつで導入できる。
日本語機能がないBigCommerceを除き、Magento、WooCommerce、Shopify、PrestaShopはどれも日本語でのECサイトを構築できる。ただ、選択する際にはHTMLやWeb構築の知識により、選ばれるプラットフォームは変わってくるだろう。
事業所内に人的リソース、つまりWeb構築の知識がある担当者がいる場合は、オープンソースだったり、クラウド系プラットフォームの無料の体験版をインストールし、実際に試してみるのが良いだろう。
これら、プラットフォームを利用するときの注意点としては、基本的なECサイト構築、商品販売に必要な機能が充実していること。例えば、決済機能、方法が充実していることや、Amazonやebay、Googleなどの販売連携機能、Fcebook、twitter、instagram等のSNS連携機能などの拡張機能があるかなど、確認して選択されるのが良いだろう。
記事出典:
http://transcosmos.com/jp/4-e-commerce-platforms-in-the-usa_12042017/
https://www.s-bokan.com/blog/ec/global-ec-platform.html