大盛況のうちに幕を閉じたラクビーW杯2019日本大会は、南アフリカの3年ぶりの優勝で11月2日に幕を閉じた。ラクビー会長のビル・ボーモント会長は、「最も偉大なW杯として記憶に残る。日本は開催国として最高だった」とコメントし、初めて開催された日本開催は大成功であり、高く評価されたようだ。これら高い評価は、今後のインバウンド数の増加につながると思われる。
インバウンド数の増加は、越境EC市場にも影響する。訪日外国人は日本で購入した商品を帰国後、再購入するからである。
海外では、日本より日常的に越境ECを利用し買い物を行なっている。特に中国、欧米の消費者は越境ECを利用して海外の商品を購入する傾向が高い。
そのような中、国内EC運営から越境ECも次のビジネスの柱として、構築・運営しようという企業も多い。
今回は、国内EC事業者に向けて、これから越境ECを始める際の基本について見ていこう。
9月のインバウンド数は、前年同月比5.2%増の227万3,000人。ラクビーW杯が始まった9月からインバウンドも前年比5.2%の増加に転じている。
9月は、ラクビー関連国の欧米豪の訪日外国人数が前年同月に比べ7万7,000人増え、中国及び東南アジアも堅調に伸びていることが、訪日外国人数の増加に寄与した。
残り3ヶ月の10月、11月、12月を含めた合計で2018年の3,100万人を超えるのは間違いないだろう。
インバウンド市場は、東京オリンピックに向けて成長を続けており、日本政府は2020年にはインバウンド数は4000万人、インバウンド消費額8兆円の目標を掲げており、東京オリンピックによる経済効果は都市から地方まで波及しようとしている。
インバウンドが拡大する中で、「越境EC」への参入も拡大している。それは、日本での旅行を楽しんだ訪日外国人が自国に戻ったあと、越境ECで日本の商品を購入する、帰国後購入パターン(旅アト)が活発化しているからである。
訪日した中国人のうちの60%以上は、自国に帰った後、日本の商品を越境ECでリピート購入したとしている。
「旅アトに買った商品」の最多は「菓子類」(71.3%)。次に次いで「トイレタリー/その他の日用品」(71.9%)、「化粧品・香水」(71.1%)、「マンガ・アニメ・キャラクター関連商品」(71.0%)などとなっている。
また、インバウンド対策以外にも、国内通販サイトのアクセス解析データによると、アクセス数の2〜8%が海外からのアクセスがあるとのレポートもある。
このように、訪日外国人にる旅アト効果、インバウンド需要や海外のアクセス解析を見込んだ売り上げの拡大を国内EC事業者は見逃してはいない。
東京オリンピック開催に向け、「ネットインバウンド需要」などを見込こみ「越境EC構築」を施策する事業者が増加している。
ここでは、国内EC事業者が越境ECを新規事業として開始するときに、基本的に知っておかなければならない事項を整理した。
国内ECと越境ECとの大きな違いは、以下の3点である。
「多言語対応」、「決済」、「配送」である。
日本国内の消費者がターゲットであれば、日本語だけで良いだろう。
しかし、海外消費者がターゲットの場合は、欧米を中心とした英語、中国語は最低限おさえなければならない。
また、決済、支払いに関しても、日本の場合はクレジット決済やコンビニ決済、代引きだが、越境ECでは代引き決済はない。配送も日本の場合はクロネコヤマトや日本郵便だが、海外の場合は輸出となるので、航空便、船便があり、さらに商品にかかる関税や輸入既製品などがある。
ここでは越境ECの特徴的な内容を詳しく見ていこう。
越境EC構築では、まず、日本語を英語に翻訳しなければならない。
翻訳内容としては、ECサイトとしてのプライバシーポリシー、規約、保証、返品やトラブル対応事項といった内容はもちろん、タイトル、メニュー、カテゴリー、商品名や商品説明や商品に関する専門用語などは海外ユーザーを想定し、正確な表記が必要である。
まずは、英語に翻訳し、英語を基本に中国語などに翻訳を行わなければならない。
また、自社で翻訳を行えない場合は、翻訳専門の業者に依頼しなければならない。
翻訳業者選択のポイントは、「ターゲット国の言語に強いこと」、「料金体系が明確なこと」、「サポート体制の充実」などである。
日本語を多言語化するには、労力を必要とする。しっかりした正確な翻訳は売り上げに直結する。顧客対応も含め、翻訳チームを作り機能させるのが良いだろう。
日本ではあたり前のクレジットカード決済以外に、越境ECでは国や地域によって、様々な決済方法を用意しておかなければならない。
越境ECの場合は、クレジットカードはもちろん、各国の「第三者決済」手段を用意する必要がある。
欧米では「PayPal」であり、中国では「Alipay」、「WeChat Pay」で第三者決済という日本では馴染みのない決済方法を導入しなければならない。
「第三者決済」とは、簡単にいうと、商品にかかる支払いを代行してくれるサービスである。
まず、自社商品が販売先国の輸入禁止品や規制品に該当してないかチェックしておこう。
アメリカや中国、アジア、欧州など諸外国ごとに輸入禁止品、輸入制限品が定められており、禁止された品物や許可証のないものは通関できないので、この部分はしっかり確認しなければならない。
主要な国、地域の「禁止品目・輸入規制品目」については、以前のブログ「海外販売 知っておくべき各国の輸入規制品目」でご確認いただきたい。
海外消費者に商品を配送する方法には、航空便、船便など様々あり、商品の内容や、国、地域によっても選択できるサービスが異なる。また、消費者にとっても、配送方法の選択の違いにより、料金も変わってくるので、より多くの選択肢を用意すべきだろう。
越境ECでは基本的には、日本郵政の提供するEMS国際宅配サービスである。
通常はこのEMSだが、この他にも商品サイズによりeパケットサービス、エコノミー航空便のSAL便と呼ばれるサービス、DHL国際配送などがある。
この海外送料は、選択するサービスにより金額が異なるので、送料は一律にするか、もしくは、送料をあらかじめ商品代金に含め、送料無料とする方法もある。
また、配送には配送代行サービスもある。代行サービスの持つ物流拠点に商品を送付すれば、代行事業者が現地消費者に配送するものだ。
配送代行サービスとは密な連携が必要となるが、事業者にとっては、越境EC事業に集中することができるメリットがある。
主な海外配送代行業者については、以前のブログ「海外発送代行サービス7社 その特徴・料金などを比較!」でまとめている。
来年、2020年は東京オリンピックが開催され、ますます、日本に来る外国人の数は増加するだろう。
国内ECの運営だけではなく、海外消費者に向けてもこの機を逃すことなく、越境EC運営に踏み切っていただきたい。
当社では越境ECを構築の際の翻訳サービス、さらにLive-Commerceに搭載されている、決済サービス、配送プラグインなどで簡単に設定でき、越境EC開店、集客までオールサポートすることができる。