11月11日の「独身デー」は中国における一大ショッピングデーです。「1111」とシングルを表す1が4つ並ぶことから1990年代に中国の大学生の間で始まったイベントデーですが、中国最大のEコマース事業者アリババが、2009年に独身デーを「ネット販売の特売日にしよう」と決めたことで、最近ではあらゆる年齢層の人がネットショッピングに参加するようになっています。
独身デーの実績では、これを仕掛けたアリババが大きく成功を収めています。2013年に約57億ドル、2014年に約93億ドルと順調に売り上げを伸ばしています。毎年最高額を更新し続けるアリババの勝因は、どんなところにあるのでしょうか。
アリババの強みのひとつが、セールイベントで取り扱う品ぞろえの広さです。食品、電化製品、アパレル商品、化粧品など品目を年々拡充し、今年は10億種類以上もの商品を取りそろえました。
洗剤のような日用品から高級自動車まで、さまざまな価格帯の商品をセール対象とし、商品の選択肢を増やすことで、あらゆる価格帯の商品の売り上げを底上げすることに成功しています。
アリババグループが提供するオンライン決済サービス「Alipay(アリペイ)」もアリババの運営するEコマースサイト「Taobao(タオバオ)」や「Tmall(ティーモール)」が支持されている大きな理由に挙げられます。
Alipayは、VisaやMasterCardなどを含む国内外180の金融機関と提携した決済サービスプラットフォームです。ユーザーが商品を購入すると、Alipayがユーザーの口座から決済額を確保したのち、販売企業は商品をユーザーに発送します。ユーザーに商品が届いたことが確認されたら、Alipayから販売企業に決済額が送金されます。
Alipayが第三者として販売企業とユーザーの間に入ることで、決済の信頼性を担保しているのです。
Alipayにより決済に対する安心感が高まったことで、従来はEコマースサイトでの販売が難しかった自動車、金融商品、旅行といった高額の商品やサービスの販売が可能になり、売上総額や平均販売額を高めています。
また、決済の安全性により海外からの出店者や購入者もますます増加しています。今年のセールイベントでは、20ヶ国以上からの出店、220ヶ国以上からの購入があり、今後の伸びも大いに期待できます。
モバイルからのショッピングは世界的に増加する傾向にありますが、アリババの独身デーにおけるデータでもその傾向が顕著に見られました。モバイル決済が決済額全体に占める割合は、2013年の32%から2014年には45%に急伸しました。
モバイルからの決済額が急増した背景には、アリババ側が独身デーに向けて取り組んできたマーケティング戦略の効果もあります。
例えば、独身デーのセールに備え、オンライン上や実店舗においてQRコードでクーポンを配布し、ユーザーがショッピングカートに商品を入れるところまで事前に完了させておいたり、モバイルで商品を閲覧するユーザーに対して、おススメの商品を表示するソフトフェアを導入するといった販売促進策が実施されました。
モバイルからの購入を促す工夫がなされた結果、決済額に占める割合だけではなく、売り上げ全体の増加に貢献することになりました。
品ぞろえ、決済サービス、モバイル対応とあらゆる面で改良を重ねていることにより、アリババグループの成長を促していることがよくわかります。
「今後5年で独身デーを世界的なホリデーにしたい」とアリババ会長のジャック・マー氏は語っており、中国市場ひいてはアリババを通じて世界市場を目指すうえで、アリババグループの動きからはこれからも目が離せません。
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