アメリカではAmazonが年末商戦と同水準の割引率でセールを10月4日から開始した。
Amazon以外にも、targetやPottery Barなど小売店も同様にホリデーシーズンに向けプロモーションを開始している。
今年のアメリカの年末商戦は、昨年のコロナ禍で拡大した売上増をさらに上回るとしている。
今回は、ブラックフライデー、サイバーマンデーと続く今年のアメリカの年末商戦に向け、日本の越境EC事業者の留意点を整理した。
アメリカの年末商戦は、今年は11月25日(木)がサンクスギビング・デー、11月26日(金)がブラックフライデー、11月29日(月)がサイバーマンデーが中心となり、実際はこの期間の前後、期間中とセールは長く実施される。
昨年のコロナ禍では密を避ける消費行動でオンラインで買い物する「巣ごもり消費」でホリデーシーズンのEコマースの売上は大きく拡大した。
Adobeの集計によると、2020年のブラックフライデー(11月27日)のみのオンライン支出は過去最高の90億ドル(約9400億円)を記録したという。
今年、2021年のホリデーシーズンはどうなるか。
「emarketer」の10月18日の記事によると、ホリデーシーズン中のアメリカの実店舗の小売売上高は7.9%増の9,357億9,000万ドル(約106兆円)と予測されている。
一方、Eコマースについては、さらに増加し、14.4%増の2,116億6,000万ドル(約24兆円)と予測されている。
アメリカのコロナ感染者数は減少傾向にあるが、ネットで商品を購入する傾向は減少しておらず、ECサイトで購入することが習慣化しており、減少の兆しが無い。
下は「emarketer」の2021年のホリデーシーズンのEコマース予測だが、サンクスギビングデーは20.7%増の61億2,000万ドル(約6,900億円)、ブラックフライデーでは、15.8%増の104億2,000万ドル(約1兆1,800億円)、サイバーマンデーでは昨年から12.4%増加し、121億2000万ドル(約1兆3,800億円)と予測されている。
2021年のホリデーシーズンは、どの日も増加するという予測となっている。
日本の越境EC事業者は、このホリデーシーズンに向け、早い段階からマーケティングを開始した方が良いだろう。以下ではその準備として5つのポイントを整理した。
このセール期間に入る前に、まず、行うべきは集客のための大々的な広告である。
セール期間は売上高、購入件数、平均購入単価、必要なセッション数など、通常の1.5倍から2倍の売上拡大を目標とし、広告予算を算出し、早期に広告を出稿すべきである。
アメリカではこの期間が熱狂的なセールであるため、早期に動き出す顧客をターゲットとした、早期予約割引、ノベルティ、ポイントやクーポンなどの特典付与などを施策すべきである。
Amazon.comでは、すでにブラックフライデーと同様の15〜40%割引セールを10月4日から開催している。
また、この時期の平均割引を見ると、ブラックフライデーで43.3%、サイバーマンデーで40.5%だったことから、これらに匹敵するような送料無料や2つ購入すると1つ無料など提示すると、消費者の財布の紐もゆるむだろう。
「Adobe Digital Insights Holiday Ecommerce Playbook 2021」によると、スマートフォン経由の販売シェアはパンデミックにも関わらず、拡大しており、2021年6月には59%と過半数を占める結果となっている。
今やECはスマホが主流であるという結果だが、スマホのECサイトでは内部検索機能をアップグレードすることが重要である。
スマホでは消費者は目指す商品に早くたどり着くために、ページスクロールより内部検索を多く利用するため、内部検索を最適化し、商品にたどりつける手間を少なくしなければならない。
スマホの最適化と同様に人材の最適化も行う必要がある。広告や割引、プロモーションを施策すると、当然、多くの消費者が訪問し、問い合わせも増加するだろう。
問い合わせに対応する適切なカスタマーサポートも整備すべき事項である。
それら対応に対しては、問い合わせフォームだけではなく、24時間サポート可能なチャットポットを導入すれば、サポート需要に効率的に対応できるようになり、効果的である。
アメリカでは、この11月、12月はどの店もホリデーセールを行い、1年で最も売上ベースを上げることが目標であるが、利益に執着するではなく、新規顧客を獲得するチャンスとして捉えることも重要である。
この期間は新規顧客を獲得し、リピート客となりロイヤルカスタマーとなっていただくための種まきの時期として広告や割引率、ホスティングサービスなどを整えたい。
アメリカではコロナ後の経済再開から、すでに年末商戦が始まっているようなの勢いで、需要が伸び、品薄や物価上昇が続いている。
さらに、この年末商戦に向けた貨物量の増加も相まって、港湾では貨物船が停泊するなど異常事態である。
そして、AmazonやWalmaretなど大手企業では、年末商戦の物流急増に備え、待遇を改善し人員雇用の大幅な拡大を図っている。
越境EC事業者は、今年は例年より、早い段階からアメリカ消費者にアプローチすること、特にネット広告を出稿し認知してもらう施策が重要である。
ブラックフライデー・サイバーマンデー(BFCM)で越境ECの売上を最大化するためにできること