経済産業省は8月「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 」の結果内容を公表した。
経済産業省の発表によると、2021年の国内のBtoC-EC市場規模全体は20兆6,950億円(前年比7.35%増)と、前年比で1兆4,171億円の増加となり、初めて20兆円の大台に乗った。
また、本調査では、国内のBtoC-EC以外にBtoB-EC、CtoC-EC、越境ECなどについてもまとめている。
ここでは、越境ECに目を向け、日本、アメリカ、中国の2021年の市場規模、市場動向をまとめた。
各国間の越境EC市場規模の推計結果は、次に示す通りとなっている。
・日本の越境BtoC-EC(アメリカ・中国)の総市場規模は3,727億円(前年比9.1%増)となっている。
このうち、アメリカ経由の市場規模は3,362億円。 中国経由の市場規模は365億円。
・アメリカの越境BtoC-EC(日本・中国)の総市場規模は2兆409億円(前年比19.3%増)となっている。
このうち、日本経由の市場規模は1兆2,224億円(前年比25.7%増)、中国経由の市場規模は8,185億円となっており、日本経由の市場規模が初めて1兆円台を超える結果となっている。
・中国の越境BtoC-EC(日本・米国)の総市場規模4兆7,165億円(前年比10.7%増)となっている。
このうち、日本経由の市場規模は2兆1,382億円(前年比9.7%増)、アメリカ国経由の市場規模は2兆5,783億円となっており、こちらも日本経由の市場規模が初めて2兆円台を超える結果となっている。
経済産業省が公開した「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、 2021年の米国におけるEC市場規模は前年比14.6%増の8,707億USドル(約120兆円)、小売市場に占めるEC市場の割合は13.2%と推計されるなっている。 ちなみに、日本の2021年、BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は約20.7兆円で、アメリカの市場は日本の約6倍ということになる。
下の図は、2016年から2021年まで、アメリカ消費者が日本製品、商材をどのくらい越境EC購入したかを経済産業省の資料により、まとめたものである。
アメリカは、コロナ禍からの回復とインフレ率の上昇を受けて、 海外、特に2021年は日本からの購入が1兆2,224億円と前年比25.7%と大きく増加しているのが分る。
次に、ペイパルが8月4日に公表した「2022年ペイパル海外通販レポート」より、アメリカ消費者の2021年の越境ECの動向を整理した。
アメリカ経済が回復するにつれ、消費者は海外から商品を購入することが増えたようだ。 越境EC利用者は41%と、昨年の33%から大きく増加している。
オンラインショッピングの方法もスマートフォンが78%と越境ECはスマートフォン対応は必須の時代だ。
購入年齢層では25〜34歳のミレニアム世代が24%と最も高くなっている。
海外通販を利用する理由は「価格がより安い」が最も高く41%。また、海外商品の見つけ方はSNS広告が43%、検索エンジンが41%などとなっている。
eMarketerによると、2021年の中国におけるBtoC-EC市場規模は2兆4,886億USドル(約350兆7,000億円)であり、前年比で15.0%の増加であったと推計されている。
これは、日本のBtoC-EC市場の約17倍である。
今後の中国のEC市場予想として、2025年には、BtoC-EC市場規模は3兆6,159億USドル(約507兆円)となると想定されている。
また、日本と中国間の越境ECについて見てみよう。
下の図は、2016年から2021年まで、アメリカ消費者が日本製品をどのくらい越境EC購入したかを経済産業省の資料により、まとめたものである。
2020年は新型コロナの影響で外出自粛のなか、日本製品需要は増加したが、2021年は緩やから伸びとなっている。
次に、アメリカと同じくペイパルの「2022年ペイパル海外通販レポート」より、中国消費者の2021年の越境ECの動向を整理した。
中国も越境EC利用者は43%と高い数値である。 オンラインショッピングの方法もスマートフォンが96%とモバイルコマースは当たり前である。
購入年齢層では25〜44歳の30%の同率となっている。 海外通販を利用する理由は「自国で入手できない商品が購入できるから」が最も高く52%と最も高い。
また、海外商品の見つけ方はアメリカと同様のSNS広告が65%と高くなっている他、友人や家族の勧めも55%と高い。
2021年の日本・アメリカ・中国の3カ国の越境EC市場と動向を見てきた。日本の越境EC市場は今、円安を追い風に急拡大している。特にアメリカ消費者の越境EC利用は中国に追いつきつつある。
越境ECで事業を拡大するには、「自国で入手できない商品の販売」、「モバイルコマースを最適化すること」、「SNSでの情報配信」の3つがポイントと言える。
参考: