レスポンシブデザインは、1つのHTMLファイルで、パソコンとスマートフォン、タブレットなどそれぞれのディバイスに適したページを表示できるのが特長だ。
最近ではますます、このレスポンシブデザインでサイトをリニューアルしたいというユーザーが増えている。
ECサイトにもこの傾向が増えてきているようだが、今回は「ECサイトにレスポンシブデザインは必要ない」と題して、なぜ、ECサイトにレスポンシブデザインが不向きなのか、当社の見解を示したい。
レスポンシブデザインはGoogleも推奨する優れた手法だが、ECサイトに採用するには5つのデメリットがあることを知る必要がある。以下にその内容をまとめてみた。
レスポンシブデザインはまだ新しい技術であり、新たな発展と改善が絶えず行われているにもかかわらず、ほとんどのECサイトでは、完全に機能していない。
大きなファイルや画像は、パフォーマンスの低下させ、オンライン消費者の行動に大きな影響を与える、これは悪いユーザーエクスペリエンス(UX)である。
フォレスター・コンサルティングが実施した調査では、回答者の64%が、この悪いユーザーエクスペリエンスのため、他のショップで購入していると報告している。
モバイル端末は回線速度が遅いため、スマートフォンユーザーは大幅にロード時間を強いられることになる。パソコンユーザー向けの重いデータをロードするため、どうしても表示までに時間がかかることになる。
これは、Eコマースにとって有害な事実である。Gomez and Akamaiの研究では、ソースをロードするために3秒以上かかる場合、40%がウェブサイトから離れると結論づけた。
ユーザーエクスペリエンスを悪くしている事実として、高いショッピングカートの放棄率がある。
ショッピングカート放棄率とは、商品をショップカートに入れたにもかかわらず、商品購入までに至らないケースだ。このカート放棄率がモバイル端末だと高くなるということだ。
Harris Interactiveが実施した最近の研究によると、モバイル消費者の半数近く(47%)がチェックアウトプロセスまでが長すぎるので、彼らが購入を完了しなかったと述べた。
これは明らかにパソコンユーザーとモバイルユーザーで別々の最適化されたデザインを提供することに比べ、レスポンシブデザインがパソコンユーザーとモバイルユーザーに同じエクスペリエンスが提供されていないという事実である。
カート放棄率が高くなるということは、低いコンバージョン率(成約率)を意味する。
より高いコンバージョン率を確保するための唯一の方法は、優れたユーザーエクスペリエンスを提供することである。
Econsultancyは、モバイルディバイスごとにウェブサイトを設計した場合、企業の62%が売上げを伸ばしたと結論付けた。
サイト全体を再設計する必要があるため、優れたレスポンシブデザインのWebサイトの開発には時間と制作工数がかかる。また、レスポンシブデザインではデザインの制約が多く、デバイスに合わせた訴求性が出せない。
モバイル別に最適化されたウェブサイトの開発であれば、レスポンシブデザインのWebサイトと比較して、より手ごろな価格で開発できるのである。
どうやら、レスポンシブデザインには、このようなデメリットがあるようだ。
上記にあげた5つの内容はESサイトにレスポンシブデザインを採用する際に考慮されることが望まれる。
レスポンシブデザインはSEOに強いなど長所はある。だが、ECサイトでレスポンシブデザインを採用するということは、パソコン、スマートフォン、タブレットとモバイル別に違うパフォーマンスになることを前提として考える必要がある。
パソコンでもスマートフォンでもタブレットでも“最高のパフォーマンス”を提供することが、これからの、求められるユーザーエクスペリエンスである。
http://room214.com/mobile/5-reasons-why-responsive-web-design-sucks-for-ecommerce-businesses