「マテリアルデザイン」とは、2014年7月にGoogleが発表した新たなデザインガイドラインである。「マテリアルデザイン」は直訳すると「物質(素材)デザイン」。デジタルの世界に物質的な現実的要素を取り込んだデザインというのが大枠にある。
その基本コンセプトには「マテリアルデザインとは、紙とインクの古典的なデザインから着想を得て、最新テクノロジーを利用し、どんなデバイスでも使いやすく、統一感のあるユーザー体験を提供するためのデザイン」と記されている。「紙とインク」というマテリアルを基本としたデザインに最新テクノロジー、つまりアニメーション技術により、最高のユーザーエクスペリエンスを実現することが「マテリアルデザイン」なのである。今やFacebook、LineといったアプリやGoogleMapやGMailなど、Googleが提供しているその他多くのAndroidアプリは、このマテリアルデザインガイドラインに沿って設計されている。今後はAndroidアプリの多くがマテリアルデザインを踏襲するように設計され、さらにアップグレードされるだろう。
今回はAndroidアプリデザインばかりではなく、多方面のデザインに影響を与えるだろう、Googleが推奨するマテリアルデザインガイドラインの概要について整理してみた。
Google Material design introduction:https://www.google.com/design/spec/material-design/introduction.html
Google Design:http://www.google.com/design/
マテリアルデザイン=物質的デザインと言っても、以前、多用されていたリアルな世界の質感表現(スキュアモーフィックデザイン)という意味ではない。シンプルにミニマムな古典的な「紙とインク」という概念が軸となっている。つまり、「紙」は背景デザインでありボタンデザイン、「インク」は色彩であり文字、アイコンであり、画像や動画でもあるのだ。
それら紙は重なりをもってデザインされることで、ユーザーにタップできるものだと認識できるようなった。フラットデザインではしばしば、どこをクリックしてよいかわからないという欠点があるが、それらを解消したデザインだ。
また、全体ではカード型デザインを採用し、統一感あるデザインとなっている。厚みのあるカードに光があたり、シャドウができる。さらにカードにボタンがあり、その部分は触れる、タップできるものだとユーザーに直感的に認識できる階層構造になっている。
What is material?:https://www.google.com/design/spec/what-is-material/environment.html#
「紙とインク」でマテリアルな世界は表現されるが、これにさらにアニメーションを加えることで、より、リアルで高度なユーザー体験を提供できる。つまりこれまでのWebデザインでは常識であった、ページ遷移の仕組みなど、リアルにアニメーション化しているのが最大の特長と言える。単にアニメーション化するわけではない。
なぜアニメーションするのか?そこには、論理的意味あいがある。ユーザーは何かクリックしたりタップするとき、急にページが切り替わる、閉じてしまうなど動きをするが、これは明らかにバーチャルな世界である。
これを現実的な動きに置き換えることがアニメーションのポイントだ。急に画面が切り替わるのではなく、クリックした次のページにはスライドアニメーションの動きで誘導する。ユーザーはクリックしたことで、何が起こっているのかを明確に把握できることになる。下にアニメーションサンプルを何点かピックアップしたので、確認いただきたい。
出典:http://matome.naver.jp/odai/2142379522980270301/2142398879872654303
出典:http://matome.naver.jp/odai/2142379522980270301/2142398879872654703
アニメーションはユーザーの操作に合わせて、生活の中にある動き、イージングを再現することが基本となっている。現実的な動き、物理法則に従ったアニメーションとして規定されている。デザインガイドラインのIntroductionの次には、アニメーションが説明されいるのでこちらも参考にしていただきたい。
Google Material design animation:https://www.google.com/design/spec/animation/authentic-motion.html
「マテリアルデザイン」はGoogleがカードデザイン、アニメーションを使い、「合理的な余白と動きを使った統一理論に基づいたもの」と定義している。これまでのiOSやWindows 8などで採用されている「フラットデザイン」と、デザイン要素のシンプルさでは共通する部分があるが、最大の違いは「光源、影、奥行き」の概念を持ち、アニメーションを用いで誘導するところにあるといえる。
googleの美意識の結晶ともいえるこのマテリアルデザインは、アニメーションを効果的に使うことで高度なユーザービリティを期待できる。今回は概要だけを取り上げたが、ほかにも色やタイポフェイス、言葉、レイアウト、アイコン、組合せ、ユーザービリティなどさまざまなガイドラインを提供している。
2015年以降はこのマテリアルデザインがAndoroidアプリだけではなく、Web業界のみならず、デザイン、エンジニア業界にも大きな影響を与えることは必至となるであろう。