昨年の流行語にもなった「インスタ映え」。その勢いは今も衰えを知らない。 日本のアクティブユーザーは2,000万人を突破し、6月21日のインスタグラム公式ページでは、ついに世界中の月間アクティブユーザーが10億人を突破と公表した。
多くの企業では、この勢いに乗ろうと、商品画像、動画など配信して認知拡大、マーケット戦略を展開している。加えて6月5日には、アメリカでは先行導入されていた「Shop Now」と呼ばれる機能が、ついに日本でもスタートした。
この機能はインスタグラム内で商品を購入できるという画期的なものだ。今回はこの日本では「ショッピング機能」と呼ばれる、新しい機能とはどういうものなのかを調べてみた。
インスタグラム製品のマーケティングディレクターのスーザン・ローズ氏によるとインスタグラムはアメリカ以外の利用者が80%で、日本のアクティブユーザーは2,000万人以上。日本の利用者の特徴は、1日に何度も頻繁にチェックしているという。
また、日本のインスタグラマーの特徴は検索機能を利用してハッシュタグで検索する人が世界平均より3倍多い。これは「よりアクティブにインスタグラムで何かを発見したいと思っている表れだと」述べている。
さらに、インターネット調査のマイボイスコムが実施した「インスタグラムの利用に関するアンケート調査」を見ると、インスタグラムの利用はハッシュタグ検索が多く、商品やサービス検索に利用されているのがわかる。
さらに、約1割のユーザーは投稿された商品やサービスをインスタグラムを利用して購入していることが見て取れる。男女比ではインスタグラマーユーザーの7割近くが女性。
利用年代でいえば、20代、30代のF1層と呼ばれる若い女性の利用率が高く、このF1層をターゲットとした商品であれば、インスタグラムからショップへの流入の確率が高くなることが推察できる。
このような背景から、インスタグラムではこれまでの「インスタグラムで認知」、「検索またはショッピングサイトへ遷移」、「商品を購入」という3ステップから、「インスタグラムで認知」、「商品を購入」に繋げる2ステップに省略できるよう機能を拡張したものと考えられる。
これがインスタグラムの「ショッピング機能」である。 これにより、ユーザーは商品購入までのストレスが減り、シームレスな購買行動が可能となった。
インスタグラムのショッピング機能を簡単に言うなら、インスタグラム内で商品購入が完結してしまう機能である。これまでは、インスタグラムを利用した商品購入の経路は、フィード内に欲しい商品があった場合、その商品を購入するにはコメント欄のWWWにアクセスするか、無ければ、Googleなどで商品名を検索して購入する必要があった。
インスタグラムでの画像投稿は商品を直接購入してもらうことより、画像や動画、ハッシュタグ、アドレスなどはあくまでブランド力のアップや、商品を認知してもらうという、売上げに直接貢献するというツールではなかった。 しかし、今回、このショッピング機能がインスタグラムに実装されたことで、消費者の購買行動に大きな変化が起こることは間違いないだろう。
ユーザーはフィード内の投稿を見て商品を発見し、タグをクリックすると、価格や商品を見て検討後、直接、商品リンクから、外部ECサイトに遷移し、投稿で見た商品ページで購入ボタンを押すことで完了できる。とてもこのショッピング機能は商品認知から購入までシンプルで、かつシームレスな機能となっている。
インスタグラムのショッピング機能を利用するには要件を満たしているビジネスアカウントを所得していることと、さらに以下のような審査内容がある。
上記4つの条件が満たされると、アカウントのショッピング機能へのアクセスが審査される。 アカウントが承認されるとインスタグラムからお知らせが送信され、「設定」から製品のタグ付けを行える。
審査は通常数日で終了するが、アカウントの詳細を審査する必要がある場合はそれ以上かかる場合がある。
この要件を見る限り、ショッピング機能を提供できるのはインスタグラムのビジネスアカウントのみ。最終的には審査を満たしたアカウントだけが提供でき、個人のインフルエンサーがひと儲けできる手段ではないところである。
6月5日にショッピング機能導入が発表された時点で、実装しているアカウントはテストパートナーとして参加した以下の6ブランドがある。
上記運営者のインタビュー記事など見るとショッピング機能に対する期待値の高さと効果の絶大さを伺い知れる。その一部を抜粋し下記にまとめた。
「インスタグラムは、これまで認知・興味形成に強みがあると感じていましたが、ショッピング機能で購入まで繋げることで、顧客によりシームレスな体験を提供できるようになり、コミュニケーションをより強固にできると確信しています。」
「ショッピング機能を導入してまだ1週間ぐらいだが、CTRで他に類を見ない数値が出ている。投稿を工夫しながら波に乗っていければと考えている。フィードを作るのがちょっと大変だったが、効果が出たので苦はない。」
ーI-ne 販売本部 ECセールス部 部長 小松 悠氏ー
「インスタグラムはブランディングの形成という位置付けでしたが、ショッピング機能により、ひとつの販売チャネルとして活用できることを期待しています。商品の詳細ページから購入リンクへの遷移率は思った以上で、ユーザーの購入モチベーションと、ショッピング機能のユーザビリティの高さを感じました。」
ーZOZOTOWN EC事業本部EC推進部 SNS担当 井上 沙紀氏ー
インスタグラムはユーザーの興味・関心でつながり、発見をうながすプラットフォームであると言える。日本では2200万人以上が利用し、7割が女性ユーザーで、20代、30年代のユーザーが多いインスタグラム。
そのようなユーザーをターゲットにした商品であれば、大手ECサイトへの出店だけではなく、このインスタグラムのショッピング機能を利用し、商品販売の拡大を実践してみてはいかがだろうか。
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