今年1月11日、MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)は「2017年スマートフォンアプリコンテンツに関する定点調査」の結果を公表した。
この調査内容は2017年12月22日〜12月23日の間、インターネット調査による、スマートフォンを所有する20歳から69歳の男女558人を対象にしたものである。
この調査で興味深いデータは、昨年の流行語大賞を撮った「インスタ映え」を裏付ける、Instagramの利用者が急増しているという事実である。
現在利用しているSNS数値の2016年12月の調査を見ると、Facebookは0.7ポイント増、Twitter3.2ポイントの増に比べ、Instagramは6.5ポイントも増え、29.7%となっている。 今回は、この調査内容のSNSに関するデータの紹介と、海外の若者集客に使えるInstagramのポイントについてまとめてみた。
スマートフォンを持っている、20歳から69歳の男女でSNS、Facebook、Twitter、Instagramの利用については、「現在利用している」SNSではFacebookが40.7%、Twitterが43.0%、Instagramが29.7%、という結果であった。
2016年と比較すると、全体的に利用者は増えている。その中で特に増長しているのが、上記に記したようにInstagramであった。
Facebook、Twitter、Instagram年齢別利用状況を見ると、Facebookで多い年齢層は、20歳から29歳の47.7%。Twitterでは20歳から29歳の63.6%。Instagramでは50.0%という結果だ。
いずれのSNSも20代の利用がSNSを牽引しているが、Instagramでは20代の5割が利用しているようである。
Instagramは日本では2017年10月時点では2,000万人の月間アクティブユーザーがあり、2016年12月から400万人の増加となっている。
そして、世界に目を向けると、Instagramの月間アクティブユーザーは8億人、2016年の同時期と比較すると2億人も増えているのだ。この数字を見ると、インスタグラムで、アピールすべきは日本のユーザーではなく、世界のユーザーだと言えるだろう。
次に、海外向け集客、インバウンド向け集客でInstagramをどのように利用すべきかをまとめてみた。
インスタグラムを利用するユーザーは都市部に住んでいる25〜45歳の男性(4割)、女性(6割)という報告がある。
そして全世界のアクティブユーザー数は8億人、ユーザーの2割はアメリカ在住、その他の8割は日本・ブラジル・スペイン・ドイツ・トルコ・イギリス・ポーランド・カナダ・フランス・アルゼンチン・インドネシアなど、欧米やアジア圏の全世界に幅広いユーザーが存在している。
日本では人気のTwitterやLINEでも、世界的的視野で見るとインスタグラム利用者の方が圧倒的に多く、投稿への反応率(エンゲージ率)はツイッターの約7倍、フェイスブックの約2倍という報告もある。
また、Yotpo社の調査によると、インスタグラム利用者の約30%は、インスタグラムで見つけた商品を実際に購入した経験があるとしている。 以上に内容を見ると、インスタグラムを集客のために利用するのであれば、ユーザーの大半は外国人であるということ意識すること。
男女であれば、女性を意識した投稿を行うことが重要であるといえる。
インスタグラムでインバウンド集客するには、まず、意識すべきは、「35歳以下の女性」というターゲット層に向けることと、さらに写真の解説は英語で行うことである。 以下にそのポイントを整理した。
有名人、芸能人でない限りは、「テーマ」が決まっていないとフォロワーは増えないだろう。 ショップの場合、「何を販売しているお店なのかがわかる」「どんなお客さんがいるのかがわかる」「どんな店員やオーナーが働いているかがわかる」「お店の雰囲気やイベント風景」など、テーマに沿って、綺麗で美しい写真を投稿することが重要である。
全世界の8億人にアピールするには、日本語より共通言語として使われる英語で書く方が、遥かに効果的である。35歳以下の外国人女性ユーザーに見てもらうには写真の説明は英語でないと意味がない。Google翻訳でもかまわないで、とにかく英語を使う。日本の観光地の綺麗な写真を投稿しても、解説が日本語だったら外国人ユーザーには全く届かないだろう。
ハッシュタグとは「#」の後にキーワードを入れることで、インスタグラム上でそのタグを含む投稿が一覧表示される機能である。
ハッシュタグ検索はTwitterやFacebookなどのSNSにもある代表的な機能で、ユーザーは検索窓にキーワードを入力することで、そのキーワードに沿った情報を収集することが可能となる。
プロモーション手法としては、「この場所に訪れたら、このハッシュタグを入れて投稿してください。」などと呼びかけコメントを添えたり、または現地リーフレットなどでコマーシャルする方法があるだろう。 インバウンドとしてよく使われいるハッシュタグは以下のが代表的なものだ。
店舗へ誘導するURLも忘れず明記する。プロフィール欄に1つだけ設置できる外部URLから見込み客が移動し、商品の購入に繋げることができるだろう。
明記する内容も、単にURLを明記するだけではなく、「この商品はプロフィール欄のURLからご購入可能」などクリックしやすいように、移動した先がどんなサイトなのかを具体的に英語で明記するようにすると良い。
そして、リンク先はサイトのトップページではなく、商品購入ページへダイレクトにリンクし、ワンクリックで購入できるように商品購入までの動線をしっかり確保する。
インスタグラムで圧倒的な効果を出すためには、やはり、ユーザーに露出し続けることが重要である。インスタグラムのニュースフィードでの表示順は逆時系列なので、最低でも1日に1回、できれば、1日に5回以上露出し継続し続けることで、確実に集客につなげることは可能だろう。
昨年12月19日、安倍首相は内外情勢調査会で「インスタ映えが鍵となる」とコメントしている。このコメントから、これまでSNSなど若者のものと敬遠していた自治体もやってみようとインスタグラムの活用に乗り出したところもあると聞く。
だが、SNSは「ただやれば良い」「すぐに結果が出る」というものではない。インスタグラムで何をするのか。集客したいのは誰か。ターゲットとなるユーザー層をしっかりとイメージし、ユーザーに届くメッセージ、写真を投稿し続けてことで、じわりじわりと効果がでてくるものである。
運用者が適当に選んだ写真や適当な日本語ハッシュタグでは、イメージする結果にはならないことを心得ておく方が良い。
出典:MMD研究所の『現在利用しているSNS「Instagram」が29.7%、2016年12月より6.5ポイント増 20代の半数が利用』より