今、中国で最も熱い「Douyin」と「RED」を知ってますか?

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4月1日、新元号が「令和」と発表された。「令和」は、初めて日本の古典からの引用とされいるが、中国の漢書にも「令和」は存在した言葉でもあるようだ。
その中国では今後、中国消費者の中心となるのは、ジェネレーションZ(Z世代)と呼ばれる、2000年(もしくは1990年代後半以降)から2010年までに生まれた世代となるだろうと言われている。
この世代は、生まれた時から、インターネットが当たり前に存在し、モバイル端末により、繋がっている状態を必須とする世代である。
中国ではこの世代の消費が2020年には、中国全体の40%になるだろうと予想されている。 ジェネレーションZ世代はSNSを当たり前のように活用し、個人、有名人や企業などと繋がり、情報シェアを行っているが、彼らが利用するSNSは親たちのSNSとは趣が異なってきたようだ。
つまり、彼らは親たちや前世代が活用するWeChat(微信)やWeibo(微博)といった従来のSNSから離れつつあり、新しいSNS、「Douyin(抖音)」や「RED(小紅書)」にフォーカスしているようだ。
今回はこの中国のジェネレーションZ(Z世代)に最も人気があるSNS「Douyin(抖音)」や「RED(小紅書)」について調べてみた。

「Douyin(抖音)」とは?

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「Douyin(抖音)」は今、中国で最もホットな動画系有SNSである。中国は今、ムービーが街中にいたるところに流れ、若者はこの動画系SNS「Douyin(抖音)」に夢中だ。
「Douyin(抖音)」は2018年第1四半期のダウンロード数は推定4580万件で、Facebook、Instagram、YouTubeを抜いて世界一位となった。
そして2019年1月時点でDAU(1日のアクティブユーザー数)は2.5億人で、月間では5億人を越ているるという。
「Douyin(抖音)」とは、日本やアジアで人気の15秒のショート動画共有アプリ「TikTok」の中国バージョンだ。
日本で人気の「TikTok」が中国では「抖音(Douyin)」と呼ばれている。日本では「TikTok」はダウンロードし利用することはできるが、「抖音(Douyin)」はダウンロードできない。「抖音(Douyin)」は中国だけに開かれたアプリなのである。
Douyinの運営はBytedance(字节跳动)バイトダンスという会社である。 このDouyinを利用するユーザーは20代前半の女性が50%と圧倒的に多く、また、その割合の半数(49.1%)は一般ユーザー、次にKOL(34.3%)や芸能人・歌手(12.6%)、企業(3.7%)などとなっている。

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「Douyin」は「TikTok」と同じように、15秒の動画投稿SNSだが、内容的には口パクやダンス動画が多く投稿されてる。
既存の動画SNSとの違いは、投稿のハードルが低く、その場でスマホで数分間撮影し、さらにその場で動画編集、エフェクト、音入れまで行い、投稿できる点だろう。

面白いのは、画面上部にある「おすすめ」のタイムラインに自分がフォローしていない人の様々な動画がどんどん流れてくるところだろう。
利用者はこの「おすすめ」から、偶然出会った動画に「いいね」をすることで、投稿した動画に容易に「いいね」が集まり、さらにフォローされたりし、「Douyin」を始めたばかりの人でも「いいね」や「フォロワー数」を獲得することができる。
「Douyin」はユーザーの承認欲求が満たされやすい仕組みになっている点も他のSNSとは異なる点だ。

中国市場で「Douyin(抖音)」を活用するには?

現在、企業認知や商品販売でDouyinを活用するには2つの方法が考えられる。
一つは純粋なキャンペーン広告で、これはDouyinに広告出稿料を支払い、フィード広告のほか縦型全画面などの広告枠に広告を表示し集客する方法。これは、主にアプリのダウンロード訴求に使われることが多い。
さらに、「ハッシュタグチャレンジ」と呼ばれる「Douyinオリジナルキャンペーン広告」もある。これはハッシュタグを使った投稿ネタを企業が提供し、一般ユーザーやKOLから動画を投稿提供してもらい、多くのユーザー視聴数を獲得するというものである。
昨年、「Michael Kors」では、昨年「ハッシュタグ・チャレンジ」キャンペーンを行い、KOLが配信した3つの動画と、3万人以上の利用者が作成した動画の視聴数で、合計500万ビューを獲得した。
このように、中国KOL(網紅(ワンホン))を活用したキャンペーンはDouyinでも威力を発揮している。
この中国KOLを「Douyin」で活用するというのが、2つ目の方法である。
商品のターゲットと合致するフォロワーを持つ「中国KOL」を活用し、インフルエンサーマーケティングに活用できる。
中国KOLを活用し、商品キャンペーンPR動画を作成し、「タオパオ」などにECサイトがあれば、そちらへリンクする機能を使うことができる。
KOLのPR動画に共感したユーザーはタオパオまで誘導され、スムーズに商品購入を行うことができる。
中国消費者はコメーシャル動画であっても内容に共感すれば、宣伝用コンテンツを受け入れる割合が70%以上と高く、商品購入に繋がりやすいと言われている。
つまり、中国ではインフルエンサーマーケティングは費用対効果の高い手法と言える。 中国でのインフルエンサー料金は、最近では市場価格の高まりもあり、Douyinの投稿1つに対する標準価格はインフルエンサーのフォロワー数x0.03~0.05人民元の掛け算となっている。
例えば、中国ナンバーワンインフルエンサーにペットの動画PRを依頼すると、15秒の動画「短視頻」での広告費用は52万元(861万1,200円)、1分間では78万元(1291万5,240円)と、ナンバーワンインフルエンサーともなるとかなり高額である。

「RED(小紅書)」 とは?

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「RED(小紅書)」 は「Douyin(抖音)」同様、若い世代の女性の支持を集めているアプリである。
「RED(小紅書)」 は写真や動画をアップして「いいね」やコメントを入れたり、他のユーザーと情報を共有したりできるSNSだが、他のアプリと異なる点はアプリ内で商品を購入できる点にある。
つまり、「Instagram」に「Amazon」のようなEコマースがプラスされた「SNS型ECアプリ」なのである。
FacebookやInstagramなどでもEC統合を計画中だが、その先を行っているのが「RED(小紅書)」と言える。 「RED」によれば、2018年5月には月間アクティブユーザー数(MAU)が3000万人近くとなり、2018年10月時点で、ユーザー数は1.5億人となっている。 中心ユーザーは、都市部の19~35歳の女性をターゲットにユーザー数1億を抱える。
中国では口コミ情報が重要な商品購入ポイントである。 その中で「RED(小紅書)」は信頼できるコミュニティとして、多くのユーザーが投稿写真とともにレビュー記事を書き、シェアし、その記事を読んだユーザーはそのまま商品を購入もできるSNSなのである。「RED(小紅書)」には 越境ECでの販売もあり、日本の商品は売上個数において「RED(小紅書)」ではNo.1の売れ筋商品とされている。

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「RED(小紅書)」の機能は?

「RED(小紅書)」が提供している機能は2つある。一つは商品レビュー機能である。
日本製や韓国の商品に多くのレビューが投稿され、書き込まれいる。 このレビューを参考にして、訪日した時の買い物リストを作ったり、越境ECで購入する商品を決めるユーザーは多い。
このような「口コミ情報」が大きな影響力をもつ中国では、「RED(小紅書)」に書き込まれた商品レビュー情報が非常に重要で、実際に商品を利用したユーザーの商品説明、感想などが書き込まれており、参考になっているようだ。
もう一つが、「RED(小紅書)」内のショッピング機能である。
このオンラインショッピングの部分には化粧品やフェイスマスク、美容機器、おやつやパジャマ、紙おむつに至るまで、あらゆるものが揃っている。
「RED(小紅書)」にとって一つ目の商品レビューと2つ目のEコマースは切り離せない関係にあり、商品レビューを読み、商品を勧められたり、共感したユーザーは、衝動的な購買意欲を刺激され、すぐそこにオンラインショップがあれば、ユーザーはすぐに購入に至るケースが多い。
もともと、「RED」はユーザー間で商品情報を交換するアプリだったのが、その後、紹介された商品を購入したいという声が多く寄せられたために、EC機能を追加したという経緯がある。

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日本の商品も販売している「RED(小紅書)」

「RED(小紅書)」のオンラインショップには日本の商品も扱われている。
「RED(小紅書)」では利用する1500万人のREDユーザーに対し、新たな商品を提案することをコンセプトに、日本で人気の商品も提案している。
ここには日本の人気商品から、中国にはあまり知られていないような商品、口コミで高い評価を得ている商品など、様々な日本商品が販売されている。 これまで、日本の商品を買いたいユーザーに対してのネックは、ECサイトやモールにある商品説明など他国語での表示だった。
しかし、「RED(小紅書)」のレビューは全て中国語なので、参考になり、購入率も高くなるようだ。 そして、「RED(小紅書)」内で販売されている日本の商品の80%はREDが自社で仕入れた商品である。
REDユーザーが購入できる商品は「RED(小紅書)」では自社で仕入れた商品か、またはサードパーティがが販売する商品に限られている。
「RED(小紅書)」では自社で仕入れた商品は、中国国内の3拠点(上海、深セン、郑州)の自社倉庫に一旦運ばれ、それらを起点にユーザーの元に配送されるシンテムである。流通インフラも整っており、 今後は、質の高い日本製品の人気が続くことから、「小紅書(RED)」は日本企業との連携をさらに強化していくとしている。

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まとめ

これまで中国のSNSと言えば、Weibo、Wechatとされいたが、最近ではさらに、動画系SNSとしての「Douyin」、画像系ECのSNSとして「RED」が打倒してきている。
特にこの二つに共通しているのは、”ソーシャルコマースとの統合”という概念である。 「Douyin」はインフルエンサーの投稿動画から、そのまま、タオパオのECサイトにスムーズに遷移することで、商品購入率を高め、新たな男性ユーザーも獲得している。
この中国のEコマース統合型SNSは越境EC運営者にとっても販売チャンスであり、 アメリカの「Facebook」や「Instagram」をも追い越す勢いで中国SNSは変化している。

 

「Douyin(抖音)」: https://www.douyin.com/

「RED(小紅書)」: https://www.xiaohongshu.com/?_at=1554081347910

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