アメリカのD2C 今後の予測と課題

イメージ画像

米国商務省のデータからDigitalCommerce360分析によると、アメリカ消費者は2021年、8707億8000万ドルをオンラインで商品を購入し、前年の7626.8億ドルから14.2%増加したとしている。
また、イーマーケター(eMarketer)の5月3日付の記事によると、2021年のD2C Eコマースは1283.3億ドルに成長し、その割合も、Eコマース市場全体の14%も占めるまでに成長したという。 今回は、このアメリカのD2C Eコマースの動向や課題などについてまとめた。

eMarketerの分析によるアメリカD2C予測

D2Cとは、Direct to Consumer(または Direct 2 Consumer)の略で、メーカーやブランドが自ら企画・製造した商品を従来のように問屋や小売業者を介さずに、自社のECサイトを使って直接(Direct)消費者(Consumer)に販売する仕組みを指す。
アメリカのD2C Eコマースは近年大きく成長しており、eMarketerによると過去6年間で3倍以上になったとしている。
下の図を見ると、昨年2021年、D2C Eコマースはは1283.3億ドル(約16.6兆円)にまで成長し、2024年末までに2129.0億ドル(約27.5兆円)に達すると予想されている。
eMarketerの分析によると、2021年のD2Cによる売上はのEコマースドルの7分の1を占めるまでになったとし、アメリカのD2C Eコマースを牽引しているのは、デジタルネイティブのバーティカルブランド(DNVB)ではなく、Established brand(確立されたブランド)であるとしている。

また、2022年アメリカのD2Ceコマースの売上高は、Established brand(確立されたブランド)の1174.7億ドル(約15.2兆円)に達し、Digitally native btrand(デジタルネイティブブランド)の売上高の3倍以上となると予測されている。

アメリカのD2Cブランド5選

D2Cはインターネットを介して直接、消費者に販売するするビジネスモデルだ。 スマートフォンの普及により、消費者はいつでもどこでもインターネットにアクセスできるようになり、直接メーカーやブランドサイトからも商品を購入できるようになった。
そして、SNSの普及によって画像や動画をベースとした集客や、消費者からの直接フィードバックを受け取ったり、双方向コミュニケーションが可能となったことで、D2C Eコマースは今後も拡大する可能性が高い。 ここでは、アメリカのD2C Eコマースを牽引しているブランドを見ていこう。

(1)Warby Parker(ワービーパーカー)

Warby Parkerは、米国で成功を収めているアイウェアD2Cブランドである。 Warby Parkerは中間業者を排除し、当初は店舗を持たずにオンラインのみで販売したりすることで価格帯を一気に下げ、大手企業に価格で優位にたった。
Warby Parkerが製造販売するアイウェアは、ビンテージの雰囲気を取り入れながらも上品で洗練されたトラッドな仕上がりで、ニューヨーカーたちの人気となっている。

(2)Allbirds(オールバーズ)

Allbirdsのスニーカーは、洗練されたデザイン、歩きやすさ、丸洗いできるなどの機能性が高く注目のブランドとなっている。
このスニーカーの特徴は、ほぼすべての素材にリサイクル可能な天然素材を使用しており、持続可能・自然に優しい靴として、「TIME」誌においては「世界一履きやすい靴」として紹介された。

(3)Everlane(エバーレーン)

Everlane(エバーレーン)は、衣料品のD2Cブランドである。 Everlane(エバーレーン)は、世界中のエシカルな工場や原料を吟味し、全てのプロダクトの「本当のコスト」や、製造にまつわるストーリーをオープンにしている。
「本当のコスト」とは、多くのアパレルブランドがブラックボックスにしている材料費、縫製費、輸送費などコストのことで、そのプロダクトにかかっている金額の内訳全てを明示することで、信頼を得ている。

(4)Dollar Shave Club(ダラーシェーブクラブ)

Dollar Shave Club(以下DSC社)は、2011年に創業したアメリカ企業で、2012年に開始したヒゲ剃りの定期購入サービス=サブスクリプションモデルで急成長した。 DSC社はD2C Eコマースのお手本のような事例である。 DSC社はヒゲ剃りの「サブスク」であり、ヒゲ剃りの本体、替刃の製造は韓国企業が行っている。
そして、小売およびサプライチェーンのコストを排除することで、手頃な価格で、男性にヒゲ剃りをサブスクリプションにより提供することで、「安くても、品質のよい製品」の提供を実現している。

(5)Casper(キャスパー)

Casperはマットレスのような睡眠に欠かせない製品のD2Cモデルである。 D2Cモデルの特徴であるオンラインでオーダー、販売価格が手頃であることはもちろん、マットレスのスプリング(ばね)を無くして真空パックで圧縮することで、手軽に持ち運び、配送できるなど梱包イノベーションを実現した。
商品は「寝心地」についてもこだわっており、100日間の無料トライアル期間、10年間保証など様々なメリットを用意している。

アメリカD2Cは今後どうなる

ここまで、見てきたようにアメリカのD2Cは毎年125%の割合で成長している。 アメリカのEコマースビジネス専門家の予測では、「多くのブランドが今、販売チャネルをマーケットプレースから自社サイトに変換しており、アメリカEC市場では、今後D2Cによるコマースが拡大するだろう」との見解が多い。
要因としては、消費者のブランドにおける信頼度が高まっている点やブランドにおいても消費者と直接コミュニケーションを取りたいと考えているからだと指摘している。

メーカーやブランドにとってD2Cによる販売はメリットは大きいが、課題は、消費者に対する広告を自社が単独で行うには難しい面があり、消費者を自社サイトに誘導するまでに、スキルとコストがかかる点があげられている。
ブランドはD2Cを開始するには集客のために多額の投資を行う必要があると同時に、さらに、アメリカ消費者との規約や条件など、法務上の問題などには充分、留意する必要があるため、初期投資と収益に至るまで時間が必要な点があげられる。

参考:

関連する記事

時代は変わる 5G時代のEコマースの未来... 先週9月13日より、米アップルは新型「iphone11」の予約を開始した。新型iphoneはトリプルカメラの新機能など紹介されていたが、今回残念だったのは、第5世代(5G)の対応を見送ったことだ。アメリカではすでに5Gインフラが本格化している中での見送りだっただけに、中国に先を越された感が否...
時代の要請 SDGsに取り組むEコマース 3月3日、トランス・コスモスは世界のオンラインショッピングの利用状況を探る調査「世界8都市オンラインショッピング利用調査2022」を発表した。 この調査は、2018年からアジア10都市オンラインショッピング利用調査として、ニューヨーク、ロンドン、ソウル、上海、ムンバイ、バンコク、ジャカルタ...
FacebookはEC市場に変革をもたらすのか?... アメリカ、トランプ大統領のイスラム教7カ国からアメリカへの入国禁止したことは、各方面に大きな影響を及ぼしている。 そして、Google、Apple、Amazonなど、IT企業各社の代表も懸念を表明している。 Facebookの代表マーク・ザッカーバーグ氏もFacebookに投稿。「アメリ...
2017年、日本のEC市場はどこまで成長したのか?... 今回は、前回に引き続き、経済産業省「平成29年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」報告書に基づき、国内のEC市場の状況を中心にまとめてみた。 報告によると、日本国内のBtoC-EC市場規模は、16兆5,054億円。前年より9.1%増加したと発表されている。 各分野では物販系分...
ドローン宅配は実現するのか? アメリカ、中国、日本の現況...   7月23日より東京オリンピックが開幕となった。開期直前まで紆余曲折あった東京オリンピックだが、大会経費は1兆6,440億円と史上最高額と大きく膨らんだ。 そして、このオリンピックの開会式で一際、式を盛り上げ注目されたのは、1824台のドローンが東京オリンピックのシンボル...
越境ECで失敗しないための5つのポイント... 日本では、人口減少から国内需要の縮小に伴い、国内ビジネスだけではますます、厳しい状況になるだろう。インバウンドが増加する中、解決策をインバウンドも視野に入れ、販路を海外に求める企業も増加している。 そして、企業は販路の拡大をアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸外国とECサイトを展開するようになっ...

タグ: ,

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントは受け付けていません。