加速する越境EC! 今、越境EC市場を捉える

日本の総人口は、出生率の低下から、大きく減少することは明らかである。(図-1)を参考いただきたい。2010年に1億2806万人だった人口は徐々に減少し、50年後の2060年には8674万人とも予測されている。
さらに総人口の39.9%が65歳の高齢者となる。超少子高齢化社会となるのは周知の事実である。人口が減少すれば、個人消費も同様に縮小するだろう。試算では2010年にあった個人消費234兆円は3割ほど減り157兆円となる予想もある。
そこで、企業は成長と生き残りをかけ、日本だけの需要にとどまらず、早い段階で海外需要獲得のため、海外進出を行う必要があるのだ。最近では大企業でけではなく、中小企業であっても、海外に出店するという例は少なくない。
だが、海外に出店するとなると、コストや時間などを要し、一筋縄ではいかない。小規模な企業においてはハードルが高いといえる。
そうした中、注目され始めたのが「越境EC(Cross border Ecommerce)」である。

今回は昨年発表された、経済産業省「我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備報告書」資料などを基に越境EC市場の現況と今後について見てみたい。


(図-1)

 

1.まずは国内のEC(電子商取引)の動向から

(図-2)からもわかるようにリーマンショック以来、国内のEC業界を市場規模をみると、2008年以降、落ち込むこともなく、継続的な成長が続き、今後も持続的な成長が予想され、このような業界はあまり例がないのではないかと思う。
さらに最近ではスマホやSNSサービスなど、インフラが整備されやサービスが普及し、国内ネット通販の広がりは疑いの余地はない。さらに2013年は日本の小売業界のEC化率はアメリカのEC化率を上回るまでに成長したのである。

 

2.さらに越境ECの動向は?ここ3年間の越境EC

いまさらですが、越境ECとは?
越境ECは「消費者と、当該消費者が居住している国以外に国籍を持つ当事者との電子商取引(購買)」としている。つまり、消費者が居住している国以外にある販売者または、提供者からの電子商取引による購買ということである。
そして、今回は日本、中国、アメリカ間での越境ECについてのここ3年の経過と現在、そして将来についての資料を見てみよう。
(図-3)は2013年のEC利用者における、越境EC利用率についてだ。経済好況の中国は35.4%と日本の3倍の越境EC利用率だ。いかに中国人はインターネットで買い物をしているかが分かる。

さらに、越境ECで日本からアメリカ、中国がどの程度、日本から商品を購入しているか、その市場動向の推移を図にしてみた。(図-4)である。アメリカは伸び率が低迷しているものの、中国は堅調な伸び率である。

 

3.2013年の日本、アメリカ、中国、相互間の越境EC市場規模

2014年8月26日に経済産業省が公表した調査資料によると、2013年度の越境EC市場規模は1.7兆円となっている。
(図-5)は2013年の日本、中国、アメリカ間における越境ECの市場規模を図にしたものだ。
これを見ると、中国のユーザーがECサイトから購入した金額は3,902億円、アメリカのユーザーがECサイトから購入した金額は4,323億円となっている。そして、中国のユーザーの越境ECでの購入金額が8,072億円と3国間では最大であることわかる。
我々、日本人からすると、海外サイトで商品を購入することはあまりない。というのが一般的であるが、国ごとの越境ECのデータを見てみると、海外ユーザー、特に(図-5)で言えば中国のユーザーは、日本のサイトでの買い物に意欲的である。
いずれにせよ、越境ECにおいては、日本は対アメリカ、対中国とも大幅な貿易黒字である。また、2020年の越境EC市場規模予測によると、中国のユーザーが日本から購入する額は最小で2,772億円、最大で9,403億円。アメリカのユーザーが日本から購入する額は最小で724億円、最大で925億円になるだろうと推測されている(図-6)。
越境ECの市場規模は今後ますます、成長するであろう。

 

4.越境ECの利点

最後に越境ECのメリットを整理してみよう。まず、市場が今後ますます、大きくなるということである。
東京オリンピックが開催される、2020年には4.1兆円規模に拡大するという経済産業省の成長予測がある(図-6)。
そして、この越境EC市場にはまだ、大企業が積極的に参入しておらず、中小企業にとっては魅力的な市場である。
また、越境ECの場合、海外出店とは違い、中国語のECサイトであれば、中国全体が商圏となり、英語のECサイトであれば、アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポールなど、英語圏の多くの消費者が対象になる。
越境ECサイト構築なら海外出店に比べると初期投資額も少なくてすむ。さらに初期投資額が比較的少なくてすむことなどから、本格的な海外展開のための情報収集の手段としても活用できる。
アメリカや中国の消費者のニーズ、どのような商品が売れるのなどテストマーケッティングとしても有効である。

 

5.今から始めてもけっして遅くない越境EC

日本のEC市場はすでに成熟期と言われるが、越境ECは今後、ますます加速を見せるだろう。ECサイトを使った商売は先行者が利益を得やすいといわれる。越境EC、とくに海外向け販売を取り巻く環境は数年前と比べて、がらりと変わり、言語、代金回収、配送など支援サービス、サポートが充実している。
今年は海外マーケットに目を向けるべき年であり、越境EC元年とも呼ばれる転換の年である。
越境ECサイト構築には支援ツール、サポートが充実したLive Commerceサービスを利用いただければ幸いである。

関連する記事

海外販売に関する補助金・助成金情報(2018.September)... 2018年も9月。今月に入り、大型の台風21号、さらには北海道地震による被害と 自然災害が立て続けに2件も発生し、大きな被害をもたらした。災害に遭われた方々には、お見舞いならびにお悔やみを申しあげる。今月も補助金・助成金情報をまとめた。 補助金・助成金とは国や地方自治体から民間企業へ資金支...
今年も始まる「春節」、越境ECへの影響は?... ここ最近、インバウント(訪日外国人旅行)といった話題を聞かない日はない。 ここ数年、訪日外国人の数は右肩上がりで増加しており、特に中国人観光客の訪日が大きい。爆買いブームは終わり、買い物から観光する・日本を体験することに目的がシフトしてきたと言われるが、中国では今月、1月27日(金)から2...
日本で買った商品の6割以上が帰国後、再購入されている... 今週10月1日から8日まで、中国の国慶節(日本の建国記念日)、祝日による大型連休があり、日本へ多くの中国人観光客が訪れ、その動向はメディアなどでも紹介されている。 中国人観光客は2015年のような爆買いは見られないものの、多くの中国人が日本各地を観光し、お土産を買い、祝日を満喫しているよう...
アメリカで人気の日本食品はなんだ?... アメリカのEコマース市場規模は、世界第2位である。2018年のEC市場アメリカEC市場売上額は、5,231億米ドル(約57兆円)、前年比15.5%増で右肩上がりの上昇率を示している。EC化率も年々上昇し、2018年は9.8%と年々1%の上昇である。 アメリカではJapanブランド商品の人気...
インバウンド集客には何が重要か 2018年9月12日、日本政策金融公庫総合研究所が融資先の中小企業3,290社(小売業や飲食店・宿泊業・運輸業など)を対象に行った「外国人観光客の受け入れに関するアンケート」の結果を発表した。 その調査結果によると、中小企業の外国人観光客受け入れについては過半数以上が前向きで、積極的な受け...
万博開催のドバイ 活況するアラブ首長国連邦(UAE)のEC市場トレンド... 10月1日から2022年3月31日まで、アラブ首長国連邦(以下UAE)のドバイでは、中東初の国際博覧会「ドバイ国際博覧会(ドバイ万博、Expo 2020 Dubai)」が開催されている。 私のドバイのイメージは、とにかく世界一の高層ビル群といったものである。 世界で最も高いところに位置す...

タグ: , , ,

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ