CtoCとは、消費者から消費者へ、モノやサービスを販売するビジネスであり、日本語では「個人間取引:Consumer to Consumer」と言われ、メルカリやヤフオクなどのECプラットフォームを介しての取引をCtoC-ECと呼ぶ。
現在、CtoCビジネスは、コロナ禍の影響、サステナビリティ、SGDGsへの関心から大きな高まりを見せている。
今回は「令和3年度 電子商取引に関する市場調査報告書」より、2021年の日本とアメリカのCtoC-EC市場動向を整理した。
経済産業省の「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」よると、2021年の CtoC-ECの市場規模は、2兆2,121億円(前年比 12.9%増)と公表されている。
2020年から続く新型コロナの影響で外出自粛が続き、2020年から引き続き2021年も利用者は増加、拡大し、さらに、顧客単価の上昇の動きも見られるという。
2021年のCtoC-EC商品カテゴリーの売れ筋は、在宅時間の増加から、インドアで楽しむためのエンタメやホビー系商品が2020年より増加している。
今後、コロナの影響が減少すれば、外出機会が増加することで、アパレル関連やアウトドア商品が売れ筋になると予想されている。
「令和3年度 電子商取引に関する市場調査報告書」には、2021年の総合的なアメリカCtoC-EC市場規模については掲載されていない。
ここで取り上げたのは、eMarketerの資料でアメリカ・アパレル分野でのCtoC-EC市場の推移をまとめたものである。
eMarketer(下図)によると、アパレルCtoC-EC市場は2021年は約339億USドル(約5兆7,400億円)となり、2025年には約788億USドル(約11兆3,500億円)、2.3倍にまで成長すると推定している。
アメリカでは、「サステナビリティ」や「循環型経済」への関心の高さなどが背景となって、中古品市場が注目を集めている。
アパレルをはじめオンラインを中心とした中古品売買を行うリユース市場は、近年では「リコマース(Recommerce)」市場と呼ばれるようになった。
アメリカのリコマース市場を牽引しているのは、Z世代と呼ばれる若い世代である。
リセール品(再販売)購入は、サスティナブルで賢い商品購入方法として認識され、Z世代の若者から影響を受けて、その親であるX世代、さらに祖父母であるベビーブーマー世代もが中古品売買を行うようになった。
彼らは、地球環境を懸念したり、循環型ショッピングを好むなど、サステナビリティに関係したさまざまな理由から、リセール(再販売)商品を購入する傾向にある。
アメリカでは、リセール商品を購入するという行為は、安価でサスティナブルな方法で欲しいものが得られるという、「ポジティブな消費行動」となっているようだ。今後もアメリカのCtoC-EC市場は大きく成長すると予測される。
アメリカでは、SDGs、サステナビリティ、循環型経済への関心の高さが背景となり、商品を購入するとき、リセール市場やリコマース市場を選ぶ傾向が全世代で急上昇している。
現代社会では「中古品よりも新品の方が良い」という、これまでの価値観がアップデートされつつあり、自分が使わなくなったものは、使いたいと思っている人に譲る、売る、という「循環型社会」に向かっている。
日本企業もそろそろ、この消費者のリセール需要に応え、ここからユーザーの潜在的ニーズを掘り起こして、新しい売上を得ることが求められている。
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