イギリスは2016年6月EU離脱を国民投票で選択し、今年、2019年3月に離脱となる予定だ。イギリスの「合意なき離脱」はヨーロッパ、そして世界経済に悪影響を及ぼすのは必至で離脱の延期が望まれるところである。
そして、イギリスはアメリカに次ぐEC大国として有名である。イギリス人消費者の51%は店舗で買い物をするより、オンラインでの買い物を好むというデータもあるほど、ECサイトの利用率が高い。 今回はこのイギリスの越境EC、最新のEC事情を調べてみた。
イギリスの2016年のBtoCEC売上高は総小売売上高の10.5%の1,126億ドル(約12.3兆円)と世界第3位である。イギリスの人口は6,370万人(日本の人口の約半分)と考えると日本に比べ、EC利用率の高さを理解できる。
Daily Mailの記事によると、イギリスのインターネット利用者の82%が定期的にECサイトで買い物をしており、これはEUの28の加盟国の中でトップである。 ECサイトで買い物をする年代は25歳~34歳の年代が多く、月平均で8回の買い物を行っているようだ。
2018年のECサイト購入でのトップは自動車関連製品(5,769ユーロ )、休日旅行関連(3,249ユーロ )、食品関連(1,831ユーロ)、家電製品(1,570ユーロ )などとなっている。 ※()内は一人当たりの年間平均購入額
決済方法ではクレジットカード決済が40%、デビットカードが35%、ペイパルが21%でクレジットカードやデビットカードでの決済が支持されている。
クレジットカードではVISAやMASTERカードが主流である。 クレジットカードの利用率が高く、それゆえカード不正は多発しており、その損失額は約7億300万ユーロ(約880億円)もある。
イギリスのEコマースの最大利用サイトはAmazon(16%のシェア)である。次にTesco(9%)、eBay(8%)、Asosと続いている。
Amazonは世界最大のショッピングサイトであり、イギリスでもっともよく利用されているサイトである。ここには日本の商品も多数ありイギリス消費者は、ここから、イギリス以外のアメリカなどから雑貨や化粧品など気軽に購入しているようだ。
Tescoはイギリスに本拠を置き、海外13カ国に小売店を保有している。衣料品や食品など小売業を基本に金融、電気通信、ガソリンスタンド、通信販売など事業を拡大している。
eBayは世界最大規模のECマーケットプレイスであり、世界30カ国に拠点がある。eBayの特徴はAmazonでは手に入りにくいお宝商品やビンテージもの、レアな商品を探し購入できるところである。
イギリス最大手ファッション、ビューティサイト。850以上のブランドを扱い、自社ブランドも展開している。実店舗を持たない、ECサイト専門ショップで海外展開も積極的に行っている。20ポンド(約2860円)以上のお買い物で世界送料無料というサービスを行っている。
イギリス消費者は海外のECサイトで商品やサービスを購入するのが大好きである。 イギリスは越境EC市場規模でも世界第3位である。
イギリス人ユーザーは海外ECサイトをよく利用しており、ユーザーの73%はイギリス本国のECサイトから購入し、ユーザーの16%はEU連合以外から、11%のユーザーはEU諸国から購入している。約3割のユーザーが越境ECを利用していることとなる。
よく利用している越境国はトップがアメリカ、2番目にドイツ、3番目にフランス、オランダと続いている。2017年、イギリス消費者はアメリカから、513億ユーロ(約6兆4102億円)以上の消費している。 特に購入しているのはファッション関連でForever21、Victoria’s Secret、American ApparelなどブランドECサイトから購入している。イギリス消費者の越境ECで商品を購入する理由の主なものは、まず、送料無料や割引率が高いなど、コスト安なこと。本物の商品を取り扱っていること。そしてイギリスにはないオリジナル商品であることなどとなっている。
日本の商品はイギリスでも人気が高い。 日本の売れ筋商品はファッション関連が45%とトップで約半数を占め、続いて、家電・パソコン関連の26%、娯楽、教育系オンラインツールが26%となっている。
イギリスで成功を収めている日本のブランドはユニクロだが、ユニクロ以外でも日本のニッチなファッションブランドもイギリスでは多く知られている。 最近では日本の美容・ビューティー関連商品もその高いクオリティから人気が出てきている。
イギリスの金融サービス保証機構Financial Services Compensation Scheme (FSCS)が発表したレポートによると、ベッドの中でアプリを使って買い物をする大多数は女性であり、45%のイギリス女性は1日の始まりか1日の終わりにモバイルアプリで買い物をしている。
男性では31%が友人といる時や飲み会などで衝動買いするという。
イギリスの成人の22%は1日に3~5回音声検索を使用している。という報告がある。 クリエイティブコンテンツマーケティング会社のBrandContentによると、イギリス人の40%が毎日音声アシスタントを使用しており、少なくとも30分は利用している。
そして2020年までに、全検索の50%が音声検索になるだろうと予想されている。
出典:https://mobilemarketingmagazine.com/uk-voice-search-brandcontent
世界のモバイルコマース市場はトップは中国(6,526億ユーロ)と2位が米国(1,832億ユーロ)、3位がイギリスで559億ユーロであった。 世界36カ国を調査したWorldpayのデータによると、Mコマースは現在、世界のeコマース売上高の1兆13000億ユーロの38パーセントを占めており、世界のMコマースは今後5年で19%の成長率を見込んでいる。 イギリスのモバイル決済では、今「eウォレット(電子マネー決済システム)」が人気で、eウォレットはオンライン決済の23.2%を占めている。出典:
出典:https://ecommercenews.eu/uk-is-the-third-largest-mcommerce-market-in-the-world/
Amazonはロンドンの中心部に小売スペースを確保し、レジ無しコンビニエンスストア、Amazon Goをオープンするという。オープンすれば、ヨーロッパ初となる。
Amazon Goは現在、アメリカ、シアトルに4店舗、シカゴに4店舗、そしてサンフランシスコに2店舗の10店舗オープンしており、Amazonは2021年までに全世界で3,000店舗に拡大する予定だ。
出典:https://mobilemarketingmagazine.com/amazon-go-london
イギリスのEコマースは、音声検索やMコマースなどでは、日本よりよく利用され、浸透しつつあると言って良いだろう。
イギリスはオンラインショップが盛んであるゆえに、その競争力は高く、そのような中でイギリス消費者に日本の商品を買っていただくためには、まず、Google広告などでPRし、競合の中で目立たせることが重要である。
さらに、イギリス人は頻繁にモバイルで買い物をするので、SNS広告、インフィード広告なども高頻度で打って行く必要があるだろう。そして、商品価格が適正であり、送料など割引サービスの利用を提供できるかがポイントとなるだろう。
出典:https://ecommercenews.eu/the-biggest-foreign-ecommerce-markets-for-uk-shoppers/
タグ: Mコマース, イギリス, マーケティング, 越境EC