越境ECと言うと、まず、その市場としてイメージされるのはアメリカ、中国だが、中国の南、台湾もなかなか魅力的な市場であることはあまり、知られていない。
今年、5月9日にナビプラス株式会社が発表した越境ECで買い物をした、相手国で売上トップは台湾となって、2位はアメリカ、3位は中国であったと報告している。
調査期間は2016年4月から2017年3月で、ECサイトは同社対応のソリューションと限定されたものだが、中国本土とは違うインターネット環境にある台湾は、注目の市場と言える。
今回は、この親日国として有名な台湾の越境ECポテンシャルについて見ていこう。
台湾のインターネット普及率は83.99%と高く、地下鉄など交通機関やカフェなどでもWi-Fi回線を利用できる。
以下に台湾の人口、インターネット環境、EC市場規模などを表にした。
台湾は日本とインターネット環境は同じと考えてよいだろう。
台湾のEC成長率は年間110%超、そしてスマートフォンの普及、EC利用額など越境ECポテンシャルは高い。
SNSの利用を見ると、Facebookの利用率が78%、1,800万人と非常に高い数値になっている。
日本のFacebook利用率は19%程度なので、その人気の高さが圧倒的だ。また、LINEも70%の利用率と人気が高い。
集客を行うには、Facebook広告やLINE@でのプロモーション、クーポン配布などが有効な手段のようだ。
台湾は一人あたりのコンビニ店舗数が一番多い国として有名で、コンビニ大国でもある。結果、国内EC決済ではコンビニ決済が多く利用されているようだ。
また、EC決済では後払い可能な決済サービス「後付款」(AfterPay)がスタートしている。クレジットカード、PayPalなどの決済も問題なく利用されている。
2005年の台湾市場に参入した「 Yahoo! 奇摩」はYahoo系のECサイトでシェアは54.5%でトップである。
販売内容はファッション・雑貨・電化製品・家具や書籍など様々な商品が販売されている。売れ行きはアパレル系が強いようだ。
「PChome線上購物」は当初、パソコンなど情報サイトとしてスタートし、2000年にPChome線上購物のB2Cをスタートした。
「PChome線上購物」のシェアはYahooに続き23.7%となっている。
「momo購物網 」は2004年9月にスタートしたECサイト。シェアは17.2%となっており、ECサイト以外にもカタログ通販、TVショッピングのチャンネルがあり、ターゲットは女性ユーザーを中心としている。
「博客來」は1995年にネット書籍の販売からスタートしている。現在では書籍以外に、CD/DVD、食料品、化粧品、玩具、家電なども販売している。
他社のと違いは書籍を強みとして、販売は海外からの注文にも対応しているところだ。
2009年に日本の楽天が台湾EC市場に参入し、オープンしたのが「楽天台湾」である。
楽天台湾はファッションやグルメなどの商品が人気で、ECサイトではランキングやポイント制度などがあり、日本と同様のサービスとなっいる。
当社Live Commerceとご契約のお客様が越境ECで販売している商品で、台湾で5月に多く注文があった商品にはどんなものがあったのかを調べてみた。
売れ筋商品は、これから夏に向けてのTシャツやキャップなど、ファッションアイテムが中心にオーダーが多かった。他には蜂蜜や紅茶、お酒などの食品類も人気だった。
台湾は訪日外国人の累計でも、毎年300万人から400万人の人が日本に訪れ、常に3位と親日国として知られている。
また、インターネット環境、マーケット構成、成熟したEC環境、さらにマーケティングもFacebookやリスティング広告などを活用できるなど、日本とよく似た環境にある台湾は、市場での展開は初期リスクが少ない国と言える。
海外販売へ初めてトライしたい、アメリカなど海外販売を展開しているが、業績が上がらないなどのEC運営者は、この台湾市場への展開を検討してみてはいかがだろう。
参考: