先月11月25日、アメリカ、ヨーロッパ、中国などで盛り上がりをみせたのが、「ブラックフライデー」という大々的なセールだ。日本でも様々なショップでブラックフライデーセールが実施されていた。実店舗やネットショップでは大いに売り上げを伸ばしたことだろう。まだまだ、日本には根づいてはいない、「ブラックフライデー」とはどんなものなのだろうか?
今回はこの「ブラックフライデー」について見ていこう。
ブラックフライデーとはアメリカで実施される11月の第4金曜日のことを言う。アメリカは11月の第4木曜日が感謝祭で、その翌日の金曜日「ブラックフライデー」から、年末商戦が始まり、この日が “クリスマス商戦の始まりの日”とされている。
「ブラックフライデー」はもともとはセールに人が殺到し、警察の仕事が増え、「真っ暗な金曜日」と呼ばれたのがきっかけとされている。はじめは、あまり良い意味ではなかったが、その後、フィラデルフィアの新聞が、「小売業者が儲かり黒字になる」と発表してから良い意味で使われるようになった。
一般的には1975年から広まった、わりあい新しい言葉である。このブラックフライデーセールは11月25、26、27日と続き、11月28日はサイバーマンデーと呼ばれている。小売販売業者は、11月25日のブラックフライデーから一斉に安売りを開始し、消費者の購買意欲が大きく盛り上げる。
ブラックフライデーから年末までの売り上げ総額は約74兆円と予想され、この時期の売上げは年間売上の20〜40%を占めると言われ小売業にとっては、かきいれどきの始まりでもある。
11月26日に公開されたデータによると、実店舗の小売売上高と来客数は前年度を下回ったようだ。調査会社リテールネクストのデータによれば、25日の売上高は10.4%、24~25日は5%の減少したと報じている。来客数も24~25日で1%の減少となっている。
ここで大きく伸びたのがオンラインショップでの消費である。ネットショップでの支出は24~25日前年比の18%増の52億7000万ドルで予想を上回り、ブラックフライデー(25日)の売上は初めて30億ドルを突破したようだ。
米オンラインショップの大手、Walmart、Target、Amazonなどは1週間前から、ブラックフライデーセールを開始しており、Targetのオンライン店舗は、前年過去最高売り上げを記録したと報告している。
さらにその売上のうち、60%はモバイルからのものだったと伝えている。売上の多かった商品はiPad Air 2やApple WatchなどのApple製品、サムスンの4kテレビ、LGのテレビ、マイクロソフトのXboxなどである。
クリスマスプレゼントということで、玩具関連も売れ行きが良い。「レゴクリエイター」や電動スクーターの「レイザー」、トイガンの「ナーフ」、DIJのドローン「ファントム」、「バービードリームハウス」などである。
ゲーム関連は、任天堂のファミコン「NESクラシック」と3DSの「ソルガレオ・ルナアーラ ブラック・エディション」、プレイステーション(PS)4向けのVRヘッドマウントディスプレイ「PlayStation VRバンドル版」、PS 4「コールオブデューティ ブラックオプス バンドル」、Xbox One「マッデンNFL 17コントローラー セット」などはクリスマスに向けての売れ筋商品である。
アメリカのブラックフライデーは日本でも広がり始めている。今年は、イオンやノジマなどもセールを実施し注目を集めた。
どのような企業がどんなセールを行ったのか代表的なものを見てみよう。
流通大手のイオンでは、11/25〜28日にかけてセールを行った。
1000円前後のTシャツが100円と、驚きの価格に多くのお客様が詰めかけたようだ。
GAPは先着100人にセーターを100円で販売。元の価格が1万3000円近いものもあるなど、大幅値引きセールを行った。
トイザらスは全国163店舗及びオンラインストアで2014年からに初めて開催し、3回目となる今年は、11/25〜27日にかけて実店舗及びネットショップにてセールを行った。
対象商品は過去最大の150点以上、それらを特別価格で提供した。
貝印「KAIストア」では、11月25~28日の4日間限定で、キッチン用品を中心とした約100アイテムを最大80%割引で販売した。
越境ECでも、ブラックフライデーは海を越えてやって来ている。越境ECにとってもブラックフライデーは越境ECによる海外販売を成長させる、またとないチャンスでもある。アメリカのこのようなショッピングイベントは越境EC市場を活性化するカンフル剤でもあるのだ。
アメリカでは11月の感謝祭から、ブラックフライデー、サイバーマンデー、12月の第2月曜日のグリーンマンデー、12月の第3土曜日のスーパーサタデー、12月26日のボクシングデーと、11月のブラックフライデーから年末まではクリスマスを中心にイベントデーが目白押しとなる。
越境ECでも「免税・送料無料」などのキャンペーンなどで、価格ハードルを大幅に下げた商品を企画し、多くの日本の商品をアメリカに販売し、売上げを伸ばしていただきたい。
「ブラックフライデー」は、中国、韓国では主要なショッピングイベントとなっている。
日本では11月は、年末商戦前の売上が伸び悩む時期でもある。日本政府はブラックフライデーを消費者の消費喚起策の一つとして、促進されることを期待しており、石原伸晃経済財政・再生相は「ブラッグフライデー」は今、国内に徐々に広まりつつあり、「大型セールが経済の好循環を加速させる」と指摘している。
「ブラックフライデー」は、バレンタインデーやハロウィンのように、今後、日本のイベントの一つとして定着してゆくことを期待したい。