2018年も後半に入った。国内では、西日本を襲った記録的な豪雨による災害が相次いでいる。被害に遭われた方、避難を余儀なくされている方に心より、お見舞い申しあげる。 今回は昨年2017年のEコマースについてランキング資料をベースに振り返りつつ、昨年も他を大きく引き離し成長したECモール、「Amazon」と「ZOZOTOWN」について見ていきたい。
経済産業省の「平成29年電子商取引(EC)に関する市場調査」の内容によると2017年の日本国内のBtoC-EC市場規模は16.5兆円であり、国内BtoB-EC市場規模は317.2兆円という内容であった。 国内ECに関しての資料「第69回通販・通教売上高ランキング」調査をみると、上位300社の合計売上高は6兆7131億円で、2016年12月調査時と比べ7.7%増加している。
下の表はその調査内容のトップテンを抜粋したものだが、トップテン企業はどれも売上高が全て1000億円を超えている状況である。
売上高ランキング第1位のアマゾンジャパンは17.6%増の1兆1768億円。2位、3位はBtoBECをメインとするアスクル、ミスミグループである。
4位にはジャパネットたかたのジャパネットホールディングスの1783億2700万円と検討が目立っている。この数値はテレビショッピングやその他事業全体の連結売上を含めた数値である。
Amazonは2017年も増加率17.6%と一昨年に引き続き他の追随を許していない。 また、下の表にはないが、300~500億円未満の企業では、衣料品や家電製品を扱う企業が目立っている。ファッションモールサイト「ZOZOTOWN」は40.4%増の763億9300万円で15位。2018年はトップテン入りすると見込まれている。
EC化率の高い商品群であれば、ECサイトでの売上はアップするだろう、 どこで買っても品質に違いがないのであれは、型番等や製品名がわかれば、1円でも安いものをWEBで探し購入するといのがユーザー行動だ。
EC化率の高いのは事務用品、文房具、家電、書籍、音楽ソフトなどである。 1位の「事務用品・文房具」のEC化率は37.38%と高い数値である。メーカーでいえば、アスクルや大塚商会であるが、事務用品、文房具などはインターネット販売が、一般化、定着していることを裏付けている。
逆にEC化率が低いのが目で見て確かめて買う必要がある食料品である。それらは鮮度など保障されていないとECサイトで購入には踏み切れない商品群だ。食品・飲料・酒類などは2.41%と低い数値である。
2017年、Amazonは都内を中心にAmazonフレッシュをスタートし、生鮮品を最短4時間で顧客に届けるサービスを開始している。このようなサービスの普及が進めば、これまでEC化率が低いとされていた分野でのEC化率上昇につながるだろう。
EC市場規模をみると「衣類・服装雑貨等(アパレル)」カテゴリーが1兆6,454億円でトップである。このカテゴリーはEC化率の高い商品ではない。ファンション関連商品は「着て」、「見て」「サイズを確かめて」買う商品であるからだ。それら商品はECとは相性が悪いとされている。
EC化率をさらに上げ、市場規模を拡大するには、返品無料サービスはもちろん、「着てみたらイメージが違った」「サイズが合わない」などファッション商品ならでは問題を解決する必要があるだろう。
このような問題解決の一つの取り組みとして、「ZOZOTOWN」では2017年11月22日、スマートフォンと組み合わせ、身体を瞬時に採寸できるというセンサー内蔵ボディスーツ「ZOZOSUIT」の無料配布を始めた。
このような画期的なサービスが普及すれば、ECショップで衣類などのサイズ感を間違うことなく購入でき、さらに市場は拡大するだろう。
ファッション関連ネットショップで2016年の売上高トップはユニクロの421億6700万円である。ユニクロの特徴は他のショッピングサイトに比べEC化率が5.3%と低いことだ。
他の企業はEC化率が10%を上回っており、EC販売に力を入れていることがわかるが、ユニクロは全体(リアル店舗)の売上高が大きいためECでの売上も大きい。今後はユニクロもEC販売に力を入れさらに売上を伸はして行くと思われる。
ネットショップに共通なのは、「ZOZOTOWN」影響量に頼らざるを得ない現状、つまり「ZOZOTOWN」の存在が大きいことだ。ファッション関連のモール売上をみると、トップが「ZOZOTOWN」と、2位の丸井と10倍の差で引き離している。
この数字はほとんどのファッション小売店が、「ZOZOTOWN」で売上を上げている構図を示している。今や、「ZOZOTOWN」はファッション界のAmazonなのである。
EC市場は、今や総合販売ではAmazon、ファッション関連ではZOZOTOWNがこの市場を牽引していると言って良いだろう。
「Amazon」と「ZOZOTOWN」に共通しているのは、商品購入の時のスムーズな商品購入プロセス、つまりユーザー体験の設計が行き届いている点である。
ポイントとなっているのは、掲載写真のクオリティ、カゴ落ちさせないシンプルな操作性、商品情報の分かりやすさ、決済方法の多様さである。
「Amazon」や「ZOZOTOWN」では、ユーザーが購入途中で躊躇しないよう、不安になって離脱しないような購買体験やサービスを検証し、システムとして提供している。