外務省のが昨年2017年9月28日に発表した、「海外在留邦人数調査統計」によると、海外在留邦人数では米国が約42万人と最も多く、次いで中国の約12万人、3位はオーストラリアの9万人と中国以外は前年比増という結果であった。
海外に住む日本人の数は、年々増加の一途であり、2016年は約133万人に増え続けている。 今回は、前回のインバウンド(訪日外国人)から世界で活躍する海外在留邦人に視点を変え、「2017年海外在留邦人数調査統計」の内容を踏まえ、海外在留邦人をターゲットとした越境ECの事例などを見ていこう。
近年は、企業のグローバル化に伴い、海外赴任など海外に住む日本人の数は増加傾向にある。1989年と比べると2倍以上増加となっており、2016年は約133万人の人が海外に在留している。
海外在留邦人とは、外国に住所又は居所を定めて3ヶ月以上滞在するものに限られている。 区分としては、民間企業関係者、報道関係者、自由業関係者、留学生・研究者・教師、政府関係者などとなる。
2016年10月1日の集計では、海外在留邦人の総数は13万8,477人で前年より2万1,399人(約1.6%)の増加となり、統計を開始した1968年以降、最多という結果である。 男女別では、男性が64万2,064人(約48%)、女性が69万6,413人(約52%)であり、1999年以降一貫して「女性」が「男性」を上回っているようだ。
地域別では、「北米」が在留邦人全体の約37%の49万1,844人を占め、1985年以降一貫して首位を維持している。次いで、「アジア」約29%の39万2,216人、「西欧」約16%の21万3,202人の順である。
国・地域別統計では、「アメリカ」には在留邦人全体の約32%の42万1,665人、「中国」には12万8,111人が、アメリカ、中国の両国で在留邦人の4割以上を占めている。
3位以降は、オーストラリアの9万2,637人、タイの7万337人、カナダの7万174人の順となっている。 増加傾向にあった中国では、2012年をピークに在留邦人の減少が続いている。(前年比で2013年は約10%減, 2014年は約0.9%減, 2015年は約2.3%減, 2016年は約2.3%減少と下降線をたどっている。
前年比で増加しているのは、「ミャンマー」約30%(539人)で最高値、次いで「サウジアラビア」約28%(236人)、「カンボジア」約22%(557人)、「メキシコ」約21%(1,953人)、「ベトナム」約10%(1,450人)などの順で在留邦人が増加している。
近年のミャンマーへの日本企業の進出は、繊維業や自動車産業などの製造拠点として注目されており、日本以外でも中国や韓国といった国々も安価で豊富な労働力の確保などの理由から、今後もこの傾向は続くと見られている。
「長期滞在者」は、87万49人(前年比1万55人増加)で在留邦人全体の約65%を占める結果となっている。
職業種別では、「民間企業関係者」が長期滞在者の46万6,103人(54%)で最も多く、次いで、「留学生・研究者・教師」18万18人(約21%)、「その他(無職など)」14万8,697人(約17%)、「自由業関係者」4万8,168人(約5.5%)、「政府関係者」2万3,294人(約2.7%)の順となっている。
職業種別割合で54%を占めるる日本企業の総数(拠点数)は、、2016年10月の時点で71,820拠点。前年と比較して691拠点の増加となっており、過去最多の拠点数となっている。
地域別では、2005年以降一貫してトップをキープしている「アジア」への進出が日系進出企業全体の69.2%を占めており、49,673拠点。次いで「北米」が全体比12.8%の9,225拠点、「西欧」が全体比8.1%の5,810拠点となっており、アジア・北米・西欧の3地域で、全体の9割を占める結果となっている。
国・地域別を見ると1位は「中国」で32,313拠点でこれは日系企業全体の約45%となる。続く2位が「アメリカ」で8,422拠点(約12%)。
この両国で進出日系企業の半数以上を占める結果となっている。
これまで見てきたように、海外に在留する日本人は増加の一途であり、それら在留邦人に向けの越境ECサービスも始まっている。 例えば、昨年2月より販売を開始したiXIT株式会社が運営するワイン販売の越境ECがある。
これはH.I.S.タイ現地法人が運営するプラットフォームを活用したECサービスである。 タイには、東南アジアで最も在留邦人が一番多く、そうしたで在留留邦人をターゲットとした、ワインの越境ECなのである。
タイは著しい経済成長を遂げており、国民の平均月収はここ10年で1.5倍になっており、タイ国内において、高級ワインの消費が右肩上がりに伸びている。
東南アジアは在留邦人が増加傾向にあり、日本人向けの食料品やサプリメントなのの販売は大きな需要を見込めるだろう。 今後は日本国内の事業者と連携した越境EC事業は拡大してゆくだろう。
在留邦人が42万人も住むアメリカにおいても、各都市別に在留邦人数の割合を見ると決して多く数字ではない。日本食など、日本商材の小売店経営が成立するのは一部の大都市だけだろう。
今は、日本の商品を購入したければ越境ECを利用すれば、必要なものを買える時代であり、近くに日本人向けの商材がない場合は、越境ECを利用せざるを得ない現状がある。
iXITような、社会事実を背景に世界中に住む日本人をターゲットとして、越境ECにて必要とされる商材を提供していくビジネスの必要性は今後、ますます増えてゆくだろう。
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