訪日外国人客増加、多言語対応が成長のキーワードに

まずは、周知の事実から。

2014年の訪日外国人者数が1300万人を超え※、外国人が日本で消費する金額は軒並み増加しており、訪日外国人を対象とした旅行やお土産ビジネスにおいても店頭で購入した後に、オンラインでも購入できるようにする、オムニチャンネル※への対応は今後必要不可欠となってくることは、だれでも想像の範囲である。

こうした訪日外国人の増加を背景に、国内でもオンライン・オフラインの新たなビジネスが活況となってきている。訪日外交人を対象にしたビジネスの最前線を考察してみよう。

訪日外国人、、韓国・中国・台湾・香港の4か国だけで70%

訪日外国人はよく調べてみると、韓国・中国・台湾・香港の4か国だけで70%近くを占めていることがわかる。
となると、ちょっとした営業的アイディアとして、商品パッケージにURLを記載している会社はほとんどだと思うが、アクセス元の端末の言語に応じて、繁体字・簡体字・韓国語のような多言語に対応したホームページになっているのと、そうでないのでは、その後の消費者の反応が大きく異なるだろう。

ホームページを多言語にするのはもちろんのこと、海外からも商品の購入がオンラインでできるようになっている業者はまだ少ない。1つ1つ調べたわけではないが、土産品の包装紙の裏なんかにURLが記載してあって、そのサイトにいって多言語対応してあるサイトは本当に少ない。

日本に来て、商品を手にとった時がが絶好のアピールチャンスがあるのは間違いないのだが、包装紙の裏側にURLが記載してあって、さらにはサイトが多言語対応できていれば、消費者に購入後のまた違った体験を提供できる可能性は広がる。

訪日外国人向けビジネスの最前線

訪日観光客向けに、地元名産品や地元の観光名所をパッケージ化して販売するニュースは昨年から増え始めている。

~日本土産に雪だるまいかが 北海道で海外観光客向け販売~
JTB北海道が今年から、道内を訪れた海外観光客向けに高さ約35センチの雪だるまの販売を始めた。長年、国内向けに雪だるまの販売を続けてきた北海道安平(あびら)町の町おこしグループ「ハヤキタユキダルマカイ」と連携し、増加する東南アジア諸国からのツアー客をターゲットに注文を受け付ける。

~省略~

 安平町は雪上ゴルフ場など雪の町として有名で、1986年から雪だるまを販売。当時、早来郵便局(現早来雪だるま郵便局)の郵便局長だった真保さんが国内向けに取り扱った。これまで沖縄や東京を中心に、7万1166個を発送してきた。

 海外客向けの販売を提案したのはJTB北海道の福井茂晴さん(51)。東南アジアへ出張した際、雪だるまをお土産に持って行くと、現地の子供や大人が感激して喜んでくれた体験から思いつき、真保さんに協力を要請した。雪だるまは既に同グループのメンバー13人が約600個を制作した。価格は1個8000~1万円を想定している。国内向け販売は現在休止中で、海外向け限定になる予定だ。
スポニチ

こちらは日本郵便が上海の会社と連携してお土産を販売するビジネスだ。

日本郵便 訪日中国人向けEC開始、ネット予約品をホテルに配送
日本郵便(JP)の子会社で物販事業を手掛ける郵便局物販サービス(TS)は、中国のネット旅行会社・上海携程国際旅行社有限公司(Cトリップ)および越境ネット販売などを行うウィ・ジャパンとともに訪日中国人観光客向けの日本商品のネット販売に乗り出す。Cトリップが設ける通販サイトで中国の顧客が旅行前、あるいは旅行中に注文した商品を日本の宿泊ホテルに届ける仕組みで、TSが商品調達、JPが商品配送を担当する。JP側では、訪日中国人観光客の増加とともに拡大する日本の土産物市場に切り込み、物販事業および「ゆうパック」の展開拡大につなげる構えだ。
通販新聞

2020年東京オリンピックで多言語対応が標準化するか

あと5年後に迫った東京オリンピックに向けて、東京都オリンピック・パラリンピック準備局では多言語対応協議会ポータルサイトを開設している。同サイトでは、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向け、都市力の向上のために欠くことのできない表示・標識等の多言語対応の強化・推進を目的に設立され、多言語対応の実施に際しては、 ・ ユニバーサル・デザイン ・ 視認性の確保 ・ 統一性や連続性の確保 ・ 景観、美観への配慮などをどのように決めていくようだ。

ある意味、日本が再開国するべく、公共機関などの看板が今後多言語化されていき、日本もよりグローバルな都市へと成長することを期待することができる。

ホームページの多言語化が今後ビジネスに影響する業種とは

ホームページの多言語化といっても、最も影響する業種といえば

  • 観光業
  • 小売業

この2つであることは間違いない。
特に、小売業は冒頭の通り、訪日外国人者数が増えているため、店頭での多言語対応はもちろんだが、帰国後にもう一度商品を手にとってもらうための仕掛けを作っておくことが重要になる。つまり、越境ECサイトがあることで、帰国後もホームページに再訪問し、そこで日本を思い出してもらうような体験をユーザーに提供していく、こうした未来志向の投資が今後の成長につながっていく。

参考資料

政府の報道資料
訪日外国人消費動向調査平成26年10-12月期結果
~平成26年1-3月期以降、4四半期連続で1四半期の最高値を更新し5,605億円に~
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000237.html

オムニチャンネル
オムニチャンネルとは、すべての可能な購買チャネル、つまり、モバイルインターネットデバイス、コンピューター、テレビ、ラジオ、ダイレクトメール、カタログなど、でシームレスに繋がることをより強調したアプローチである。小売りは、特別なオンラインとオフラインの両方を使って新しい顧客の需要に応えていかなくてはならない。

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