2016年に日本に訪れたイギリス人は29万2,457人となっており、ヨーロッパ諸国では、日本へ訪れた国民が一番多かったのがイギリス人である。
また、イギリス人は旅行支出額が大きいこと、ビジネス関連で訪日が多いのが特徴のようだ。イギリスの人口は約6,490万人、そのうち93%がインターネットユーザーで、ユーザーの81%がオンラインショップを利用している。
そして、イギリスのEC市場規模は中国、アメリカについで世界第3位の規模を誇っている。
今回はそのようなイギリスの越境EC、Eコマース事情について見て行こう。
イギリスは世界でもっとも、オンラインショッピングが浸透している国のひとつである。 イギリスのB2C(Eコマース)の市場規模は2016年は1,740億ユーロ(約22兆円)に達し、前年比17.8%と拡大している。
これは、中国、アメリカに次ぐ世界第3位の規模である。 また、ネット通販のEC化率(物販系分野で13%)も増加を続け、日本の3倍の数値である。
2015年のデータではあるが、人口一人当たり年間販売額は1,532(17万円)ドル、この数字はアメリカ(1,068ドル)以上の数字でもある。
イギリスではAmazonに代表されるネット販売が進展し、さらに総合スーパーや百貨店、家電販売などの店舗がネット販売に積極的に取り組み、熾烈な競争による急成長があるようだ。
また、イギリスではM(モバイル)コマースも重要な動きの一つである。イギリスではスマートフォンやタブレットからの購入が多くを占め、モバイル経由での商品購入は2014年が約1.16兆円、2015年で約2.06兆円と大きく成長している。
wenga-solutionsの調べによると、イギリスでもっともオンラインショップで購入されている商品の1位はアパレル、2位が書籍、3位が家電となっている。また、2015年では38%のユーザーが越境ECで商品を購入している。
購入する国別の上位はアメリカ、次いで中国、ドイツとなっている。 決済もクレジットカード決済が49%、Paypalなどが40%、銀行決済は少なく5%となっている。
イギリスの場合、オンラインショップ最大の問題は物流にあり、日本の宅配サービスとは違い、ユーザーが満足できる水準まで高まっていない点にある。これまでの配送はRoyalMailグループが中心に担っていたが、あまりにも配達時間がルーズであるためか、近年ではAmazonなどネット事業者、店舗事業者は、自ら物流体制の整備を進め、さらに、店舗からの直接配送、クリックアンドコレクト、オムニチャネル等、多様な取り組みで物流の問題をカバーしようとしている。
イギリスの人気サイトはAmazon、eBayが有名なところだが、他にもTesco、Argosなどが代表的なサイトとなっている。
Amazonの欧州進出のきっかけとなったのが amazon.co.uk。 もともとはイギリス最大のオンライン書店「ブックページズ」の買収し、事業展開した。
テスコはイギリスでもっとも多いスーパーマーケット。コンビニエンスストアや金融、電気通信、ガソリンスタンド事業など多種業態に事業を展開している。
argosは40年以上イギリスで、事業を展開しており、玩具、家具、日用品、電子機器、デジタル製品などを扱っている。イギリス国内では750以上の店舗が存在する。
ジョン・ルイスは顧客満足度(品揃え、価格、サービスの質など)で1位を獲得した大手デパートである。ネットで注文した商品を、店舗や受け取り専用の場所で商品を受け取ることができる「クリックアンドコレクト」サービスでも成功している。
2016年のイギリスは越境EC市場規模は、中国、アメリカ、インド、フランスに次ぐ規模で67億ポンド(約1兆96億円)となっている。また、オンライン利用者のうち、36%(2014年)のユーザーが越境ECを利用して買い物を行っているとのデータもある。
イギリスでは日本の人気のブランドは多くあり、食品、雑貨、ファッショングッズ等に人気がある。
当社Live Commerceを利用されているお客様の越境ECサイトから、イギリスの消費者がここ一ヶ月でどのような商品を購入されているかを調べてみると、やはり、越境ECでも国内ECショップ同様、多かったのはファッション関連商品であった。
次いで、美容関連が売れ筋商品となっていた。変わったところでは仏壇など伝統的製品も売れていた。
イギリスのEC市場は世界第3位と市場規模も高く、ヨーロッパのEコマースの市場拡大を牽引している状況だ。さらにオンラインユーザーの約36%(2014年)は越境ECで買い物をしており、日本への訪日観光客もヨーロッパ諸国でもっとも多く、そのマーケットは大きいと言える。
昨年、イギリスはEU離脱を表明し、2019年以降、離脱完了後のイギリス経済がどのように変換するかは不透明ではあるが、ヨーロッパでも年収所得水準が高く、EC先進国イギリスマーケットへのアプローチは今がチャンスと言えるだろう。